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【龍が如く8】

2024年6月プレイ開始
総プレイ時間:約80時間

【ストーリー】

★★★★☆ 4

前作から3年後。本作の主人公・春日一番は伊勢佐木異人町のハローワークで契約社員として勤務していた。
しかしある日、突然上司から契約終了を言い渡されてしまい職を失ってしまう。それは、かつて共に戦った仲間たちも同様であった。

行き場を失った春日は、「横浜星龍会」のある男から衝撃の事実を告白され、ハワイに行くことを提案される。
今は亡き渡世の親・荒川真澄を慕い続ける春日は、ある目的を果たすため、地上の楽園――ハワイ・ホノルルシティを目指して出発する。
そして、ハワイで巡り会ったのは、「堂島の龍」と呼ばれる伝説の極道・桐生一馬だった。

春日と桐生、日本とアメリカ。
二人の主人公と二つの国が交差し合ったストーリーは、やがて現代社会の問題点へと切り込んでいく極上のエンターテイメントへと昇華していき、「生きる」ということについて深く考えさせられる人情物語として高く評価できる。
『7』やそれ以前の過去作を遊んだプレイヤーには嬉しいファンサービスが豊富な点も見逃せなず、本作はまさしく現時点での『龍が如く』シリーズの集大成と言っていいだろう。

しかし、個人的に唯一腑に落ちない点があった。
それは、一応前作にあたる『龍が如く7外伝 名を消した男』の存在である。
制作期間の都合上――といったゲーム外の要因だとは思うが、『外伝』を遊んだ上で本作をプレイした身として、話の整合的に若干の違和感を覚えることがあった。
また、” とあるキャラクター ” の扱いについては、非常に納得がいかない。
『外伝』で見せてくれたあの姿は、一体何だったのか?
考え過ぎだとは思うが、僕はどうにも心に引っ掛かってしまっていた。

【ゲームシステム】

★★★★★ 5

本作の戦闘は、『7』にて初めて採用されたターン制のコマンド型RPGシステムへと戻った訳だが、本作は「新ライブコマンドRPGバトル」と銘打たれた、もはや新システムと呼んでいいほどに洗練されたシステムへと変貌を遂げている。
そもそも『7』の時点では、やはりシリーズ初ということもあり、粗削りな印象だった。
しかし、今作はそれらの粗を悉く取り除くことに成功しており、高いアクション性と戦略性を思う存分に味わうことが可能だ。
元々「汚いペルソナ」という愛称を付けられていたが、本作で更に『ペルソナ』シリーズに近づいたように思う。

また、遭遇する敵の上にアイコンが表示されるようになったことで、所謂初見殺しのような状況に陥ることが無くなり、ストーリーを進める上での推奨レベルも提示される、といったゲームの進行を手助けしてくれる要素も非常にありがたい。
「クイックバトル」の導入もゲームのテンポを良くするのに一役買っている。

そして、今作が初舞台となるハワイの街の作り込みも尋常ではない。
広大なマップは、もはやオープンワールドと呼んでいいほど自由度に富んでおり、眼前に広がったハワイの風景は圧倒的である。
充実したサブクエストでは、そのハワイの風景や文化に触れることで、日本が舞台の作品とは一味違った体験ができ、まるで旅行に出掛けているような気分に浸ることができた。

その他にも、「春日のアトリエ」こと「ドンドコ島」の開拓や、前作から続投の「スジモンファイト」など遊び尽くせないほどのミニゲームが存在し、メインストーリー以外にも至る所にプレイヤーを楽しませようとする要素が散りばめられている。
これらは必ずしも遊ばなくてはいけない物では無いため、プレイヤー自ら取捨選択できる点も配慮がなされていると感じた。

あくまで『龍が如く』としての延長線上で、新たな試みを詰め込みまくり、結果これほどまでに纏め上げた制作陣は流石だ。

【キャラクター】

★★★★★ 5

本作に登場するキャラクターは概ね『龍が如く7 光と闇の行方』から続投されており、加えてこれまでのシリーズの主人公である桐生一馬が参戦する。

シリーズお馴染みのゲストは、成田凌長谷川博己といった俳優、人気ロックバンド・King Gnuのフロントマンである井口理、その他にもお天気キャスターやYoutuberから数名が登場。
ほとんど違和感なく本作の世界観に溶け込んでいる。

しかし、総合格闘家である朝倉未来だけは例外である。
彼の演技は発売前から既に物議を醸していたが、特に修正など行われないまま収録されており、冗談なのか本気なのかイマイチ掴み切れず仕舞いだった。
……弟の朝倉海君にやらせた方が良かったんじゃないだろうか。
まぁ、本編に特別絡まないのがせめてもの救いか。

【音楽】

★★★★★ 5

本作のBGMは二人の主人公に合わせて、舞台毎に曲調が変わるよう工夫されている。

春日編ではハワイアン・ミュージックのような南国チックな曲調が多く、ウクレレといったアコースティックの楽器の音色が非常に心地良い。
もちろんボス戦ではこれらの楽器は鳴りを潜め、攻撃的な音色によって緊張感を演出してくれる。

一方、桐生編ではかつての『龍が如く』を意識した曲調が多く、エレキギターが縦横無尽に駆け回るアップテンポの曲が多い。
また、過去作からのアレンジや流用も多く、使われているシーンでは非常に没入感が強まる。

ちなみに本作の発売まで、椎名林檎の楽曲が本編で使用されることが伏せられていたことでも話題となっていた。
そしてKing Gnuは特に関係なかった。

【総評】

95点

僕は『龍が如く7』が実はあまり好きではない。
ストーリー面は非常に秀逸なのだが、如何せんRPGとしての完成度が高くないように感じ、イマイチのめり込むことが出来なかったからだ。

だが、本作の戦闘システムはコマンド型RPGの究極と言っていいのではないだろうか。
クリアした後、僕はハッキリとそう感じた。

アクション形式の『龍が如く』が恋しくない訳ではないが、ここまでの完成度を見せつけられては、次作がどういうテイストで来るのかプレイヤー目線で非常に迷ってしまう。

ところで、桐生一馬の扱いは今後一体どうなるのだろうか。
そして、敵対勢力側の在庫(?)もいよいよ尽きかけているように感じた。
極道の描き方も、どんどん難しくなっていくだろう。

どういうアプローチをしてくるのかは全く読めないが、僕はひとりの『龍が如く』ファンとして、今作を越えてくるような作品が生み出されることを願いたい。

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