「本当にかっこいい人」4

「かっこ悪い人間は、世の中に多いのう」
モーリスはまず、拝金主義者が嫌いだった
金至上主義、金のためなら、なんでもやる、儲けた人間が勝ち組だ、などと考える輩たちだ
特に高齢者を狙う詐欺師、若い人に覚醒剤を売る者
最悪な人間たちだ
普通成人になれば、ある程度善悪の判断はつく
「なんでじゃろうのう、確かに金はわかりやすい代物じゃが
 やはり、あの人の言葉は重いのう」
モーリスは元弁護士、山之内の言葉を思い出した
「覚醒剤が世の中からなくなると、反社会組織はなくなりますよ、でも、それは難しい
そして彼らにも、見てやるべき事情があるんですよ」
山之内によると、反社会組織に属する多くの人間が、幼少期から不遇な境遇であったという
虐待やネグレクト、不当な差別など
「彼らは子供の頃から愛情を知らない
愛情を持って育てられた人は、反社会組織に入りません
いや、そもそも入れないんです」
なるほど
不遇な境涯が世間に対する、憎悪や不信を生むのか
「愛、か」
モーリスは日本酒を棚から取り出した

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