後悔だらけのあの頃も確かに"青春"だったらしい。

私は高校時代、音楽をたくさん聴いていたと思う。

当時、私は音楽にドハマりしていた。
学校帰りに渋谷まで行き、トイレで着替えてコインロッカーに学生鞄と制服を突っ込み、O-EASTに繰り出していた。
小さな箱にもよく出かけていた。CDを自主出版するような小さなバンドもすごくかっこよかったし、大人だと思っていた。

当時はタバコもお酒もまだフィクションだった。
ライブハウスに入ると、タバコの煙が立ち込めていた。
でも吸おうなんて思ったことはない。
なぜならそれがリアルではなかった。
あくまでそういう煙が立ち込める場所なだけであって、その煙の発生源が自分であるリアルはなかった。
今思えば、小さな箱は21時でライブが終わり、その後打ち上げだと言っていた様な気がする。
そんな世界は全然知らなかったから、
21時に終わったライブと同時に満足感と共に帰っていた。
本当であったら、お酒の入ったそのライブハウスで、あのカッコよかったバンドマンともっと親密になれたのかもしれない。
でも私には、21時に帰るライブハウス、それだけで本当に満足だった。

アラサーとなった今、
あの高校時代には、もっとこんなことがしたかったと思うことがよくある。
私はスポーツ観戦が好きだから、
もっと部活とか一生懸命やりたかったなと思う。
やっぱり学生といえば、部活=青春。
その方程式は揺るがない。少なくともわたしの時代は。
誰かと話していて高校や大学までスポーツをやっていたと聞くと、
私もやっていたかったな、そしたら選手の気持ちやその想いももっとわかるのではないかと思う。
観戦だけでなく実際にやってみたい、でも今やったって青春ではない。
今更やっても仕方がない。
なんでやってこなかったんだろう。
なんで部活に入らなかったんだろう。
"青春"とやらをわたしも作りたかった。
ただ、バイトをしてなんとなく時間を費やしていた。
バンドを見に行くという楽しみはあったけど、
それは部活をやっている人にとって、取るに足らない、どうでもいい娯楽だという悲観があった。

でも、今日バンド好きな先輩が
「もっと早くライブに行きたかった。CDだけを聴いていた高校生の自分に、もっと早くライブハウスに行けと思う」
と話していた。
若いうちから好きなものに触れていたかったと。
アーティストにも終わりがある。
もっと早いうちから触れるべきだと。

隣の芝は青いとはよく言ったものだ。
わたしの後悔だらけの、やり直したいこの高校時代を、いいなあと思ってくれる人がいるらしい。
それを聞いて私の高校時代ももしかして"青春"だったのではないかと思った。
私のあの瞬間は誰かにとって眩しいし、当時の私は確かにその時間が眩しくて楽しかった。
今の私がもっとこうしたかったと思うことはあるが、
確かに当時のわたしはその瞬間を謳歌していた。

憧れられたいわけではない。
でも、後悔だらけの私の人生にも確かに"青春"があったこと、
それが気づけたことがただ単純に嬉しかった。

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