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死は最高の気晴らし 〜北斎の辞世の句〜

koto著『いとエモし。』に紹介されていた、私が大好きな言葉を一つ。
それを読んだ時、頬を殴られたのかと思うくらい衝撃が走った。


人魂で行く 気散じや 夏野原
(ひとだまでゆく きさんじや なつのはら)


葛飾北斎の辞世の句。
辞世つまり、世を辞める=死が近い時に読んだ句。

気散じとは気晴らしということらしい。

俺は魂になって、ちょっくら気晴らしに夏野原へ翔けてくぜ、ってこと?

なんだろ、なんか、すっごく明るい。
死ぬ時にこんなに明るい言葉を出す力強さ。
死ぬことをワクワクしてるような、
やっと重たい体を抜けて自由になるのを待ち望んでるような、死へ対する晴々とした気持ち。

ああ、死に際にこんな言葉を残すこの人は、たくさん楽しいことも嫌なことも経験して、すべてを面白がったのではないか?
生きることを心底楽しみ尽くしたのではないか?

北斎の真意はわからないけれど。

もしかしたらもっとのんびりと、やっと気晴らしできる、って解放された感じだったのかも。
いや、死ぬのが本当は嫌だけどヤケクソで詠んだのかな?

いろんな想像ができるけど、私は読んだ時に物凄い、底知れない明るさと力強さを感じた。その勢いに体が震撼した。

この句、ぜひ『いとエモし。』の中で、美しいイラストとkotoさんの素敵な言葉と共に味わってほしい。

北斎さん、江戸の世からエールをありがとう✨

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