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15年間起業相談を受けて分かった、起業に成功する人、失敗する人

中小企業診断士のフクダです。
私はこの春まで17年間、中小企業支援機関でお仕事をしていました。
そのうち、足掛け15年くらいは「これから起業する、または起業したばかり」の方々向けにビジネスプランコンテストやセミナーを開催したり、ご相談を受けていました。

同じ組織に長年いると、起業家の「その後」も見えてきます。
そんな経験から、起業を目指す方とお話すると、大体この人は成功できるな、とか、これは難しいだろうな…というのが分かってきます。
今日は「起業に成功する人と失敗する人の違い」について。

✕3年後に起業する。 ◯1年以内に起業する

総合的な内容の起業セミナーを開催すると、全体の3割くらいは「3年後くらいに起業を考えている」と仰います。

ごくごくたまに、3年後本当に起業しました!と挨拶に見えるかたもいらっしゃいますが、ほとんどの方はその後、起業したという話を聞きません。
一方、「1年以内に起業」と仰る方は、結果的に少し遅れることはあっても、ほとんどが起業されています。

起業準備って賞味期限があるんです。3年間、計画的に起業準備を続けて、起業の意志を持ち続けるのは容易ではありません。

起業家は毎日が決断の連続です。起業するという決断だけに何年も費やすようでは、起業後のスピード感について行けません。
起業を決めたら1年以内に。鉄則です。

✕準備を完璧にして始める ◯小さなところから始める

起業セミナーの常連さん(つまり、なかなか創業できない人)には、やたらと大量の資格を取り続けている方がいらっしゃいます。
凄く真面目な方が多いです。能力が高いから、すぐにでも起業されたらいかがですか? と言うと「いえ、私なんてまだまだ、自信がなくて」と仰る。自信がないから資格を取り続ける。

もちろん複数の資格を持っていたほうが有利なこともあります。インプットを完璧にしてからアウトプット(起業)するのではなく、小さくても何かの形で商売(または、その練習)を始めて、必要に応じて資格を取っていった方が効率的です。

また、お金のかかる革新的な事業の場合、いきなり1からマーケットを作って成功させるのは難しいことが多いです。
最初は手堅い事業で「継続的にお金が入ってくる仕組み」を作って、その資金をもとに大きな事業に挑戦していくほうが成功確率が高いです。

✕他人のお金頼み ◯開業時の半額以上は自己資金

初期投資が必要なビジネスで、あまりにも自己資金が少ない方は難しいですね。資金だけは、準備不足ではどうにもならないです。

自己資金が100万なのに融資を1000万円受けたいとか、最初からクラウドファンディングや投資家の出資を当てにしている方は、結局融資も出資も受けられないことが多いです。
最初から他人のお金を当てにする方って、計画性に問題のある方が多いのです。調達できたとしても、開業後に返済や株主比率などで相当苦しむことになります。

今はクラウドファンディングやエンジェル、ベンチャーキャピタルなど、自己資金が少なくても短期間で多くの資金を集めることが可能です。
しかし、実際にそういった投資を受けている方々は、投資を受ける以前に自己資金でしっかりと事業の基礎固めをして、それから綿密な計画を立てて出資を募っています。

✕アイデア勝負 ◯継続的に稼げる仕組みを作る

年に数回は「○○を発明した。特許申請中なので、商品化してくれる企業に権利を売りたい」という方が相談にいらっしゃいます。

また、ビジネスプランコンテストを開催すると、毎年同じようなアイデアで応募が来る「定番ネタ」があります。(貧困対策とか子育て関連など、ソーシャルビジネスが多い)

特許を取ったからといって売れる保証はないし、むしろ商品にするための試作開発に膨大な費用がかかることが多いです。
みんなが思いつくんだけど、世の中にないビジネスは、何か理由がありますね。その深掘りができているかどうかです。
特にソーシャルビジネス関連は、「社会的には必要だけれど、事業として継続的な利益が見込めない」ものが多く、仕組みづくりが重要になってきます。

✕儲からなくてもいい、◯ちゃんと利益を出す

定年退職後のシニアや固定資産を持つ方に多い、
「儲からなくてもいい。世の中の役に立てれば、収支トントンくらいでいい」と言う方。
このタイプはお金を持っているので、起業までは結構行けちゃうのですが、続かない方が多いです。

収支トントンぐらいでビジネスプランを立てると、実際はほぼ100%赤字になります。プラマイゼロと赤字を垂れ流し続けるのとでは、家族の目が全く違ってきます。

飲食店や個人向けサービス業にありがちですが、つい弱気になって、一般的な価格よりずっと安い価格を付けてしまう方も多いです。
本当にその価格でやっていけるか収支計画を立ててください。苦労の割に儲からなくて、続けるのが辛くなります。

起業がゴールじゃない

起業にたどり着けない人の多くは、起業時点をゴールにしています。だから、その手前で力尽きちゃうんです。
ゴールはその先、事業の成功であって、起業のタイミングはただの着火点です。私も自分自身で独立起業してみて、つくづくそう思いました。

今は副業やプロボノなど、いきなり退職するリスクを負わずに、起業に向けたトライ&エラーができる時代です。

食べ物の仕事がしたいならシェアキッチン、クラフトならminneやBASEなどの販売サイト、サービスならココナラなど。事業の所得が20万円以下なら税務申告も必要ありません。事業が軌道に乗ってから開業届を出す方法もあります。
小さな起業体験から始めてみましょう。


私の開業の経緯はこちら

マイナビ農業で、私の開業についてご紹介いただきました!


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