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マウンティングで自分が成長することはない、というお話

リッカ・コンサルティングのフクダです。

私は飲食店や食関連のコンサルティング案件が多いので、地方に行くと、評判のよいレストランやショップを必ず訪れます。
コンサルティング先、特に開業前や業歴の浅い方には、参考になりそうなお店の視察をおすすめしています。視察する際、かならずアドバイスしていることがあります。
今日は視察のコツについてお話しましょう。


あらさがしをするのは◯◯な人

私が中小企業診断士になって間もない20年近く前、商店街の経営改善に関わる機会が何度かありました。

当時の商店街ってよく視察ツアーをしていたんですよ。戸越銀座とか大山の商店街が人気でした。視察後、商店街のメンバーからさまざまな意見が出ます。その時に気づいたんです。

自分の店が繁盛している店主は「あそこが凄い」「ここが参考になった」と良いところばかり見ている。
自分の店が閑古鳥の店主は「あそこの接客が悪い」「あの店はひどい品揃えだ」と、あらさがしばかりしている。
普段から「見ているポイント」が違うのだなと感じました。

同業者の悪口を言っても、良いことはひとつもない

15年以上、SNSでいろんな経営者のつぶやきを見ていますが、おなじことが言えます。
同業他社の悪口や商売の不平不満を撒き散らす人のお店に行くと、あまり繁盛していないことが多いです。一時的にはうまくいっても、成長に限界があります。

ご本人は自覚があるのかどうかわかりませんが「あらさがし気質」の人のコメントからは
「自分はクールな視点を持っている。業界をわかっている。ウチの店のほうが凄い」
といった気持ちが溢れ出てしまっています。

商売人でなくても、いわゆる「マウンティング」をするひとはいますが、いくら他人を下に見たところで自分は学ぶことがないわけですから、自分自身の位置は1ミリも上に上がりません。

むしろ「あの人、◯◯さんの悪口言ってたよ」という噂が広まって、お客さんや業界の人たちから敬遠されてしまいます。

視察では、徹底して良いところだけ見る

他店舗の視察で私がおすすめしているのは「徹底して良いところだけ見る」方法です。「自分の店より上か下か」じゃありません。
自分のお店ではやっていないこと、自分のお店と違うところ、自分のお店で同じことができるかどうかは一旦置いといて、何が違っていてどう魅力的なのかを、お客さん目線で見ます。
同業者目線じゃなくてお客さん目線です。

「悪いところも反面教師になるじゃないか」という意見もあるでしょうが、視察する先は大抵繁盛店ですから、わざわざ悪いところを見つける必要はありません。欠点があっても、それを補う魅力があれば、お客さんはついてきます。極端な話、95%の人が嫌いな店でも5%の熱狂的なファンがいれば、個人店は生き残れるのです。

「切り口」を整理して見る

お店に入って漫然と見渡しても「良いところ」は見つけにくいので、ある程度自分の中で切り口を作っておいてから見るとよいです。
たとえば飲食店ならこんな感じです。
・外装 店名のほかにどんなことを伝えているか 
    どんな客層を狙っているように見えるか
・内装 どんな雰囲気で、何を目立たせようとしているか
    照明やBGMはどうか
・サービス どうやって楽しませようとしているか
      どんな目配りをしているか
・メニュー 価格帯と内容、メニュー名、おしながきやメニューブックの
      演出など
・料理 味、盛り付けや提供時の演出、ボリュームなど
・その他 webサイトやSNS,予約システムなど

同業者なら必ず挨拶するのがマナー

繁盛店になるようなお店の店主は、お客さんをよく見ています。同業者だとまず100%分かるそうです。
黙ってジロジロお店を見て、写真ばかりバシャバシャ撮って帰っていったら、「失礼な奴だな」と思われてしまいます。今の時代、同業者もお客さんもSNSで繋がっていますから、黙っていてもそのうち正体がバレます。

店主と話ができるような状況であれば、「知り合いから良いお店だと聞いて勉強しにきました」と挨拶するのがマナーです。客商売であれば、失礼なふるまいをしない限り、追い返されることはありません。

丸パクリではなく、自分のお店に置き換えてカスタマイズ

たまに、人気店のメニューを丸パクリするお店があります。あちこち食べ歩いている人は「あ、あの店のメニューをパクったな」と分かってしまいます。器用だなと思うけど、あまりスマートなやり方じゃないですね。

メニューに限らず、繁盛店のやり方をそのまま真似しても上手くいかないことが多いです。繁盛店とは立地も客層も違っているでしょうし、繁盛店だって試行錯誤して「その方法」に落ち着いたのですから。

「あの店はなぜ、こういう方法をとったんだろう」「ウチだったら、どうすれば同じような魅力が出せるだろうか」と、いったん考え方を噛み砕いてから自分のお店にカスタマイズする。このプロセスが大切だと思います。

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