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会社を変えるのに最も重要なこと

2日続けての記事。頑張ったと日分を褒めたいです。

以前、従業員数50名の会社の社長から「将来を見据えて全社的に人事改革プロジェクトを初めたい。会社の期待値に沿ったメリハリがある人事制度にしたいので見て欲しい。」という依頼がありました。会社のプロジェクトメンバーは会社の精鋭でやる気も感じるし、社長も全面的にバックアップしてくれて、滑り出しはとても良い感じでした。数ヶ月後、プロジェクトの一環で管理職約30名に管理職研修を行うことになりました。社労士という堅苦しさや距離感を出したくないので、社長と事前に相談して、黒の長袖Tシャツというカジュアルな服装で行うと決めました。2時間の研修が終了し「最後に何か質問ありますか?」と私が参加者に問うと、ある男性社員から「講師は何故スーツじゃないのですか。私達はお客様ですよ。そのお客様に対してその格好はなんだ。うちの会社をなめてんのか!」との恫喝に近い発言をし始めました。反発がある可能性は考えていましたが、想像を遥かに超える言動で驚きました。発言は全く止まりませんでした。誰も止めません。私はここで怯んではいけないと思い直し、私は「格好に満足されていなければお詫びします。申し訳有りません。ところで研修はどうでしたか?ご理解頂けましたか?」と続けました。その男性社員は「服装が気になって最初から全く頭に入らなかった。」と答えました。この瞬間、これ以上の話を続けても無意味なので私は「では、これ以外のご意見、質問がなければ本日は終了します。」とまとめ研修を終了しました。研修後、社長とプロジェクトメンバーは困惑と発言者への怒りで溢れながらも、私に平謝りでした。二、三日して社長から「先日はすいませんでした。次回の研修はスーツでお願いします。ビジネスイコールスーツという固定観念が強い社員もいますね。」というメールが届きましたが、そういう問題ではないのです。問題は次回研修でスーツを着るかどうかではないのです。研修中に第三者である講師を恫喝したたこと、及び30名近くの参加者がいたにも関わらず、誰一人としてその発言を止めなかったことが問題なのです。研修中の発言は社内ならパワハラに該当します。それ以上に、彼の言動を何事もなかったように放置するということは、参加した30名近くの管理職にあの程度のパワハラを行っても容認されるという間違った認識を与えることが問題であり、信賞必罰を旨とする人事制度見直しプロジェクトの根幹に関わる問題でもあります。さらに言えば、これを問題と捉えられない社長の意識が問題なのです。社長は自らが社員の指針となる行動をとり、本気であることを伝えないと会社は変わりません。多分、以前から社内で問題になっていた言動についても、社長が問題意識をもって毅然と対処していれば状況は変わっていたことでしょう。この旨を社長に伝えたところ、パワハラや社員意識の問題が差し迫ったものに感じられたと感謝されました。しかし、社長は懲戒処分の検討も厳しく注意することも出来ずに済ませたとのことでした。社長は私の言ったことを理解は出来ても、問題の本質と重要性に気付けなかったのか、若しくは自らの行動を変革する覚悟がなかったのでしょう。この研修を経て暫くしてプロジェクトは完了となりました。社長からは今後も継続的にアドバイスが欲しいと依頼されましたが、私はお断りしました。社長自らが変わる覚悟が決まっていないのに社員が変われる訳がありませんし、それに何よりも私が断ることで社長に本気で考えて欲しいと思ったからです。この記事を書いて、久々に社長に連絡をしてみようかと、そんな気分になりました。

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