磊落

「忘れたくない」を逃したくない大学生の話

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小説 スーパーマリオにのめり込みすぎた小学3年生の末路

起 四角い電子機器と、初老男性との出会い  小3の夏休み、私は待望の3DS を買ってもらった。年齢的にも世代的にも、大人気だったdsを持っている者は一目置かれる傾向にあったので、これからは選ばれし者として見える景色が変わるぞと意気込んでいたかは覚えていないが、とにかく喉から手が出るほど欲しかったdsに、私は爆発しそうなくらい興奮していた。   メタリックのようなキラキラした青のコンパクトなボディーに、高鳴る鼓動を押さえつけ、ふたを開く。カチッという小気味良い音を立ててカセッ

    • JKが忘れたくなかった瞬間の話〜夏の夕方、スイカバー〜

       午後6時半。セミの大合唱を背に駅から家まで歩く影は、夏の夕空によって長く長く地面に映し出されている。  駅前の商店街には、相変わらずオルゴール調の音楽とそれによって醸し出されるのんびりした空気が流れている。    約7時間の部活を終えて家路に着く足取りは、行きのそれとは比べものにならないほど重い。おまけに夏のうだるような熱気がまとわりついて足をすくう。脳内には、「マジ無理」とか「しんどすぎんだけど」といった、JKという言葉の存在を全肯定するかのような言葉が次々と浮かんでは消

      • ブレインフォグが恐ろしい話 〜電車から永遠に下車できなかった日々〜

         2022年8月。コロナに感染した。2019年から得体の知れないウイルスとして世界中にはびこりつつも、どうにかこうにかその網を2年ほど潜り抜けてきた身としては、なんとなく自分と関係ない世界で起きている話、そういう感覚がまだあったことは否めない。  39°近くの熱、咳、鼻詰まり、くしゃみ、吐き気、咽頭痛。寝室で大小さまざまな数字が踊ったり、行進したりしている。。。回る朦朧とした記憶の中で悪夢を見て、這いつくばりながら過ごしていた。  2週間程度で寛解。しかし、2か月くらい咳や倦

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