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【雑談】ポケモン世界における「成人」について考える

㊗新成人の皆様おめでとうございます㊗の雑談

さて、本日1月8日は成人の日ということでポケモン世界における「成人」について考えてみよう。

ポケモン世界における「成人」といえば、アニポケ無印編のシリーズ構成である首藤剛志氏による『ポケットモンスター The Animation』というノベライズで語られた「小学校卒業みんなが大人法」(別名:10歳大人法)が有名な設定として知られている。

しかし、ここではそれについて詳しく掘り下げるつもりはない。現行のアニポケと食い違う面もあるし、アニポケ以外のメディア展開との整合性もとれていないからだ。「10歳大人法」は主人公が10歳になったらポケモンを貰って冒険するという物語の都合を補完する設定ぐらいに考えるのが無難だろう。

ポケットモンスター(1997) EP1「ポケモン!きみにきめた!」

ただし、ポケモン世界における「大人」が現実世界のそれと全く同じかと言われるとそれも怪しい。というのもどのポケモン作品においてもポケモンに関することで「子ども」という理由で制限されることがほとんどないからだ。

ジムリーダー、四天王、島キング/クイーン、そしてチャンピオン…この世界の役職の多くがポケモントレーナーであることが前提となっている。逆に言うとポケモントレーナーであれば、後はバトルの実力なり、守り神ポケモンに認められるなりの実績さえあればそれらの役職につくことに障害はない。

特にジムリーダーや島キング/クイーンはコミュニティの自治を司る役職で、ポケモン以外の仕事(祭りごとの主催など)も担っていることも多い。実力のあるトレーナーというだけでスキップできることが余りにも多いことは念頭にいれておくべきかもしれない。

ポケットモンスター サン&ムーン EP109「しまクイーン誕生! サトシの大試練!!」

もちろん通常の仕事に加えてポケモントレーナーを兼任する場合もあるし、ポケモンに関わらず生きている人もいるだろう。ポケモンがいるのは当たり前でもポケモンとどう付き合うかは十人十色。ポケモン世界における人間の在り方は近年さらに掘り下げられるようになっている。

昨年12月末にNetflixで配信された「ポケモンコンシェルジュ」では恐らくポケモンとは関係ない仕事をしてきた主人公「ハル」が転職の末、ポケモンリゾートのコンシェルジュというポケモンと関わる職に就く様を描いている。

ハルはポケモンに関係ない人間関係や社会生活について悩んでいた。現実世界に近い位置づけだが、ポケモン世界の大人として生きている。

ポケモンコンシェルジュ

近年のアニポケでは登場人物の「子ども」性にフォーカスをあてる展開も目立っている。特にJNのコハルについては「子ども」の未来への選択可能性をテーマとしてストーリーを展開していた。コハルはアニポケにおける子ども観のリアリティラインを引き上げたキャラと捉えることができる。

そして、現在放送されているHZシリーズの主人公リコもコハルが築いた子ども観の延長線上に置かれている。10歳という年齢は自分の将来を決定する時ではなく、「子ども」らしく悩んでもいい時だというメッセージを打ち出している。

では、彼らはいつ「成人」するのか…と思わず考え込んでしまうところだが、ここは敢えて曖昧にしている部分なのだろう。ポケモン世界には「子ども」も「大人」もいるが、現実世界の「成人」のような明確な区切りがない*1。

このような区切りがなくても成立するのは、ポケモン世界においては「人間はポケモンの前では平等である」という価値観が通底しているからではないだろうか。ポケマスの「おとなのおねえさん」は次のように語る。

大人なポケモンとのつきあい方をいつも心がけているわ。
まず相手の気持ちを考えること。されて嫌なことはしない。
次にできるだけ一緒にいること。寂しい思いはさせたくないの。
…… …… …… …… …… ……
別に大人に限ったことではないわね。ポケモンに子どもも大人も関係ないわ。

ポケモンマスターズEX

大人になるのに気負っている方もいるかもしれない。でも大切なことは子どもでも大人でも変わらない。「人と成る」ことを目指して歩んでいこう…To Be Continued

*1 サンムーンシリーズの「島巡り」は例外的に子ども→大人のイニシエーションを表現しているといえるかもしれない。今後要検討。


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