自転車トレーニングとデカルト還元主義②
2,ターゲットの設定が真剣な取組みを。
その、自分がどんなレースでどんな成績をとるのか、目標を具体的に設定することが、まずもって大事なことである。ヒトは明確な達成目標を示されると、そこに向かい集中しチカラを発揮出来る生き物だから。
これは個人の価値観だが、それがどんな小さな草レースでも、勝利でなく10位以内とかでも、自分がそれに向かって真剣になれるものであれば、それは全て尊いと思っている。
また、レースのリザルトでなくてもよくて、自分なりのタイムなど、具体的な達成水準を定めることで本当に真剣に取り組むことが出来る。
結果のためにはいつまでに何をしなければならないか、何をしてはならないか。トレーニングや栄養摂取など取組みの一つ一つが充実したものになり、「毎日が驚きの連続だった青々とした日(チリヌルヲワカ)」を送ることになると思う。
3,行き当たりばったりのトレーニングが行き当たりばったりの結果を
そしてただ目標を決めただけでは、中途半端である。
そしてトレーニングも漠然と120kmのレースだから今日は120kmくらいのライドかな、くらいで決めていたらいつまで経っても結果はついて来ない。
そのような行き当たりばったりのトレーニングでは、求める結果の為に必要なパフォーマンスが獲得できないからである。
なんとなくいつものチーム練でなんとなくいつもの練習をしているという沼にはまってしまっているなら、一度陸に上がってみるのもいいかもしれない。
目標に向かってトレーニングをするなら、ゴールまでの距離を計算して、そこまでのマイルポストを建て、計画的に取り組まなければならない。
決戦のその日までに、求められるそれぞれのパフォーマンスを獲得し、それを維持し続ける。また、それらを複合的に組み合わせて発揮できるようにそれぞれの連動も確かめておく。
4,分解して組み立てる②
ここではトレーニングで求められるパフォーマンスを獲得することに絞って述べる。
求められるパフォーマンスが想定できたら、そこに向けてトレーニングするだけである。しかし、どうやって?
先に挙げた事例で、2分と7分を5周回それぞれ7倍と6倍である程度の余裕をもってこなすパフォーマンスを獲得したい。そう考えたら2分の坂と7~8分の坂をリピートすればいいのだろうか。
また、ヒルクライムで70分を65分に縮めたい、というときに何度も乗鞍をリピートすればそれが出来るのだろうか。
そんなに簡単なら、漫然とトレーニングしていてもそれなりに出来るようになる。皆が苦労して、トレーニング手法についてあーだこうだと議論になることはない。
「2分」とそのインターバルについては、そのリピートがかなり有効だがそれでも、ただ漫然とやってそれが出来るならもっと上を目指せるし、もっと効率的に獲得して他をやった方がいい。
「65分」については、そのリピートは殆ど意味がないと言ってもいいだろう。
これも、まずはその人個人の全体のパフォーマンスやそのバランスを考慮し、「2分」なり「65分」に求められるものを分解して組み立てることで、ポテンシャルを引き出せる、と考える。
その具体的な理論や手法について、、、は、内緒。というか、自分で考えることが大事だと思う。
どうしても知りたいひとはコンタクトを取ってくれれば。
5,自転車トレーニングはプロジェクト・ポートフォリオマネジメント
人のポテンシャルは限りがある。体力も回復力もそれぞれの限界がある。またトレーニングやフィジカルケアに割ける時間も有限である。費用については、自転車の機材やトレーニング程度ならほぼ無限な富豪もいるかもしれないが、普通は制限のある中でやり繰りしていると思う。
まず、それらリソースをいかに潤沢に確保するか、生活を見直す。そしてそれらの限られたリソースをいかに有効に配分するか。リスクを把握し、不確実性をいかにつぶせるか。
そのマネジメントが自転車トレーニングを効率的に、成功に導く。
求められる多様なフィジカルに対して、それぞれの領域にどのくらいリソースを投入するか。スプリントばかりをやって中強度を疎かにして千切られては意味がなく、いくら登坂を磨いてもついてこられてチョイ刺しされてハイオワリでは切ない。
どんなトレーニングをどんなタイミングでどれだけのボリュウムで行うか、またその効果をどう確認するか。
周りのうまくいっていない事例をみると、その多くがやらないで良いトレーニングを過剰にやっているようにみえる。
求める結果に対してそれは既にクリアしている、その領域で一段高い目指す指標をクリアするには別のパフォーマンスを伸ばす必要がある、という状況なのに、同じことをたくさんやって、向上する機会を浪費している。
また、全体のバランスが悪くベースがないのに中高強度ばかりやってしまうケースもよく見る。相対的にレベルの高い練習会に出て、いつも千切られそうなときだけ頑張って千切られたらダラダラというものである。いつも千切れるのは5倍以上で4分くらい引っ張られるときだからそこが肝要だ、というのはわかるがベースが低すぎるひとが5倍や6倍をちょっと頑張ってもフィジカルに適切な負荷をかけられていないので、無駄になっている。
6,自転車レースは複雑系
デカルトの時代は解っていることも少なかったが解らないことも膨大でなく、要素還元主義という考えは一定の支持を得た。しかし、科学が進展することで様々な解らないことが増えてきて、現代はその多くの分野で複雑系の考え方を採用するようになっている。
自転車レースも同じく、どんなに要素を抽出しそれに対応してきたとしても、不確定要素はゼロにはならない。
それ故に、結果だけが全てではなく、結果を求めて何をしてきたが問われるのではないだろうか。
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