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相当季節外れのHEAT-TRAINING~深部体温計-COREのススメ②

深部体温とはなにか、なぜ深部体温なのか

深部体温とは脳や臓器など体の内部の温度で、一般的に体温として用いられる体表面温度と異なり、代謝の状況を反映するものである。
漕げば体表面が熱くなり汗ばんでくるのは、運動代謝に付随して発生した深部体温の上昇を抑えるため、皮膚表面で冷却しようとする廃熱処理の生体反応だ。
また身体が感染症のウィルスと闘っているときにもその生体反応の結果として深部体温が上昇する。

自転車乗りの誰しもが経験していると思うがアップをして体温が程よく高い状況は身体がよく動く、しかし過度に高くなるとパワーが出なくなる※。内燃機関やCPUなど機械だけでなく、ヒトも熱ダレする
最新の高効率エンジンはエネルギー効率45%くらい(通常は30%~35%)だが、ヒトは運動強度にもよるが効率20%~25%程度と運動中に糖質や脂質は80%近くが熱になってしまう。このため運動強度が上がれば廃熱処理が物凄く重要になってくる。

(※某有名ブログで「体が冷えているときほど、効果的なパワー出力が高くなる」なる事務系総合職である自分の知性では解読不可能のナゾ文章も見かけたことがあるが、冷えていればいいってものじゃない。暖かいほうがいいけど、熱いのはダメ。)

ヒトが熱ダレするのはなぜか。
それはヒトを構成するたんぱく質のいくつかは42.0℃以上になると変性※してしまう。そのため、40.0℃を超えないように安全装置として運動代謝をセーブする機能があるのではないか、と推測されている(個人差があり、慣れで41℃までいくらしい)。
多くの電動機器には過熱を感知してモーター出力を強制的に下げる、オーバーヒート防止機構があるが、人体にも同様の機構が備わっているようなのだ。

熱ダレはネガティブに取られがちだが、身体を守るための重要なセーブ機能といっていいと思う。
そのセーブ機能に抗ってやり過ぎたり、機能がうまく働かなかったり、高温高湿・脱水・放熱性の低い衣服等々で放熱が追い付かなかったり、それらが重複すると、ヒトもオーバーヒート(熱中症)する
そして、オーバーヒートした機器に不具合が出るように、ヒトも疲労回復が進まなかったり、寝付きが悪くなったり、体調不良を引きずることになる。場合によっては熱中症で重篤なことが起きてしまう。

(※たんぱく質の熱凝固は55℃くらいからだが、たんぱく質でできた酵素や血液成分などは42℃になると性質が変わり、正常に機能しなくなる。その結果、脳を含め多様な臓器に多大なダメージが生じる。)

そのあたりはラン先生のサイクリングサイエンスコラムに詳しい

https://funride.jp/column/cycling-science16/

安全に運動するために、深部体温を意識するのはとても重要なことである。


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