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人格破綻寸前の母④

小学校高学年期(毒親度70%)


この頃の母はパート勤務に出るようになっていたため

父の転職に伴って発生した金銭的なストレスと、慣れない環境下での労働によるストレス、PTAの役員を任されるなど多様なストレス掛かるようになってさらにピリピリと神経質な状態になっていった

日中の忙しい生活で家事が一切手が着かない時、特に食事の用意が全て母の仕事だと言わんばかりに祖母が何もしなかったので

仕事の残業やPTAの用事で帰りが18時を過ぎるのにも関わらず、帰宅してから1から食事の支度をさせられる事もしばしばあった

こうした経緯もあってこの頃から母から様々な家事手伝いを任されることが日常化していったのだが

要求される仕事のクオリティは子供なのにも関わらず高いものを要求され、時には言いがかりまでつけられた

小柄な子供の体格では扱いこなすのも難しい掃除機を使い、やっとの思いで指定された全部を終わらせてもたまたま掛け忘れた場所を母に見つかろう物なら一々指摘され「体が小さけりゃ頭も悪いのか」など文句をタラタラと言われ

(その程度の事「明日やるときは忘れないでね」くらいで済ませられないのかと)

敷き布団の畳み方はS字で畳めと指示されたものも、その通りにやろうとしても身長が足りずにうまく畳めず

やっとの思いでS字に畳めても今度はそれを抱えて押し入れに入れようとするとズルズルと形が崩れて仕舞えなくなったので

自分なりに畳みやすいG字型の畳み方でやれば「やり方が違う!」「何度言えばわかるんだ」と全否定

事の仔細を話しても聞く耳を持たなかった

洗濯物の効率よい干し方がわからなければ「その歳にもなって平面図形も分からないのか」と目の前でぼやかれた

曖昧な指示を出しておきながら自分の思い通りにならなければ怒られることもあった

特に酷かったのは夕食の支度の時

母が茶の間に居る俺に対して「テーブルできてるの?」と声だけで呼び掛けてきたので「できてるよ」とだけ返した、その前に特に何の指示も無かったので今日は手伝わなくて良いんだと思って、そのまま自分で買った雑誌を読み続けていたところ

いきなり「なにボサッとしてんの!私がテーブル出来てるのか聞いたら出来たもの運びに動きなさいよ!!」と怒られた

ここは会社ですか?

1を聞いて10を理解しろと?

さらにタチが悪いことに、俺が母から指示されて手伝い作業をしていると、祖母が横から「これはこうやるといいんだよ」という感じで口を挟んできた

アドバイスかな?助かるなぁなどと考えて続けていると、台所に入ってきた母が俺の手元を見るなり「なにそのやり方、こうしろって教えたでしょ!」と怒り混じりで指摘された

祖母の指示通りにやったと言うと呆れた様子でボソボソとなにかを言いながら不満そうに、不機嫌そうに隣で作業を始められた

そして、母の言う通りにやると、また祖母に見られたときに「あら?この前教えたのに」と反応されたので「それをお母さんに見られたら怒られた」と言うと「まあまあしょうがないこと……」とその場を後にされるので

当時は自分が家庭内に不和を招き起こしている気がしてならかったのだが、今の感想としては

ここは会社ですか?

の一言に尽きる

派閥争いで対立してる2人の上司とそれに振り回される部下かよ。と

実際、母は出来の悪い俺に文句をつけるとき

「大人になったらもっと厳しい環境になるんだよ」

「会社に入ったらこんなもんじゃ済まないんだよ」

「今出来るようになれば社会に出てから楽になるよ」

という文言を混ぜ込んで自分の過酷なお手伝い仕込みを正当化させていたのだから母としては会社のつもりだったのだろう

家庭の役割を放棄して、子供に過度な重圧を押し付けて生まれるものは何か?

はい、アダルトチルドレンですね

過去の記事『失敗を途轍もなく恐れている話』でも触れているのでリンクを貼らせていただくhttps://note.com/witty_ixora418/n/n289a8936015d


余談だが、この頃見ていたテレビ番組のドキュメンタリー特集でこんなものがあった

病気に罹り余命数年を宣告された母子家庭の母親が、自分が死ぬまでの間に、幼児だった娘に対して全ての家事をこなせるようにすべく厳しい指導のもと家事を教えていたというものだ

洗濯物の畳み方が教えた通りに出来なければ畳み終えているものを全て崩して撒き散らして最初からやり直させる、料理の手順を間違えたらお互いに食事抜きなどのかなり過酷な教え方をしていた

結果的にその娘さんが中学1・2年になる頃には家事などは完璧にこなせるようになり

程なくして彼女の母親は病気によってこの世を去る

事の顛末を見れば、病気の母の目論見通りに娘さんは生活能力を身に付けたわけだが

それと引き換えに娘さんは今、生き苦しい思いを抱えながら生きているのではないか?
そんな考えが過ってしまう

この番組を見た母は「自分のやり方はなにも間違っていない」と言わんばかりに何の行動も改めはしなかった


この頃、母に大きな災難が降り掛かってしまった

ある日我が家に、中○出版のセールスマンが上がり込んできた

そいつは在宅していた祖母に「お孫さんにに話がある」と言うと祖母は俺を客間に呼びつけた

話の内容を要約すると「来年から中学生なので今の内から勉強するための教材を買いませんか?」と言うものだった

祖母と俺とセールスマンの3人でかなり長い時間話し込んでいたらしく途中で祖父が部屋に入ってきて

「あんたは一体いつまで居座る気だ! もう夜の8時だぞ、迷惑だ! 常識ってものがないのか!」

とセールスマンを一喝したのだが祖母に宥められて去ってしまった

夕方の5時あたりに上がり込んできてその時間までセールスマンはあの手この手を使って、祖母と俺を籠絡しようと話を聞かせたり教材の実物を見せてはその目新しさをアピールしてきた

『赤いフィルムでページを覆うと答えの文字が隠れる』

ただそれだけの要素を見て俺は「面白い!」などと言ってしまった

当時の自分にとっては見たことないものだったのだから素直な感想でもあったのだが

「大人が喜ぶ発言をしなくちゃ」という考えをすでに身に付けていた俺は深く考えず相手のペースに呑まれていった

その結果、祖母もセールスマンに乗せられて商談をまとめてしまった

最終的に提示された金額は50万

そこへ残業を終えた母が帰ってきたのだが、そんな母に対して祖母は事の経緯を話すと

「息子の物なんだからあんたが払ってね」

金銭の負担を寝耳に水の勢いで母へと押し付けた

驚いた母の様子を見て後から事の重大さに気付いた俺は、ホイホイとセールスマンの口車にのせられた自分自身を殺したくなっていた


そしてさらに母の心労が増大する事件が起こった

東京で暮らしていた叔父が精神を病んで無職(ニート)になっていた事が判明し、そんな叔父が実家に戻ってきた際にとんでもない事を白状したのだ

嘘か真か分からないが「中学生の女の子を(性的な意味で)襲った」と言っていたらしい

その告白の時に祖母はおらず、母と祖父がそれを聞いており
叔父は祖父に「僕は悪い子なんだから殴ってください!」と懇願していたと母は言っていた

母はその告白の前後に、叔父が入っている布団の中から妹が出てくる場面を見ていたらしく、この一件以降叔父に対して小児性愛者なのではないかという疑念が爆発し、完全に敵視するようになった

妹は特に何かされていた様子ではなかったようだが、自分がレイプ魔だと自白するような人間と自分の子供を同じ空間に置いておきたくないというのは親としては当然の反応だろう

結局叔父のこの事件についての話はかなり断片的にしか伝わってこなかったので警察に自首をさせたかどうかも分からない
自首しても証拠や証言・被害届けなどが不十分で相手にして貰えなかったのかもしれないし、自首させずもみ消したのかもしれない

だが精神を病んでいるにもかかわらず精神科を受診させるような事も無かったようで、母は「精神病院に行かせりゃいいのに世間体気にして行かせないとかマトモじゃない」と、祖父母に対する愚痴を漏らしていた

この一件の後も叔父は東京で10年以上ニートとして過ごしていた

時々祖父母や実兄と義姉の続柄である両親が様子を見に行っていたようではあるが、部屋がゴミ屋敷となっていて足の踏み場が無かったらしい

(この時引き上げられてきたゲームソフトがちょっとだけ俺の助けになっていたりもする)

こんなことがあったせいか母も以前より増しておかしな様子が増えていった

そして、この頃から日常的に俺の前で愚痴をこぼし始める

入浴中、剣道の送迎の車内、隣町へ向かう車内、家事の最中、就寝前

特に、周囲に他の大人が居なくなるタイミングで会社での不満、父への不満、祖母への不満などを俺にぶつけてきたのだ

愚痴に関する詳しい話はまた今後の記事で書く機会があるのでそちらで書く


日常的に母から暴言を浴びせられる事が増え、自己肯定感を失っていたこの時期の口癖を今でも覚えている

「アウストラロピテクスの馬鹿野郎」

学校の授業で習った人類の祖先、それに対する怨嗟の言葉だった

親を、家族責められなかった俺が敵視したのは途方もないほど過去の先祖だった

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