見出し画像

絵の描き方など何も知らないのだけど


 つい先日左目の手術をしたばかりなので、まだ眼帯で覆われたままだ。
 片目では距離感がつかめないので日常の動作もままならず、当然新聞や読書、スケッチからも遠ざかることになる。

 文字通り、気分も梅雨入りである。

ブラームス ヴァイオリンソナタ
第1番ト長調『雨の歌』作品78
第一楽章  

♠ ♠
 仕方ないので、この際に放ったらしのまま長年ホコリをかぶっていた昔のスケッチブックを引っ張り出して日干しすることに。

 棚の奥から、表紙に「No.1(1998年)」と記しているスケッチブックが出てきた。
 中年にさしかかった25年前、ある日突然衝動的に絵を描き始めた頃のスケッチブックだ。

勉強中の我が子の後姿を
試験監督中の退屈しのぎに生徒をスケッチ
不真面目な教師だった…^_^;
誰を描いたのかも思い出せない(笑)

 それまで絵など一枚も描いたこともなく、絵に「技法」というものがあることすら知らず、ただ闇雲に描きたいものを自己流で描いていただけの、文字通りの「落書き」のようなものだ。

コーヒーとパイプと芯ホルダー
(スケッチの時の僕の三種の神器)

埃をかぶったバイオリン
とりあえず水彩絵の具を使い始める

♠ ♠ ♠
 初めの頃は、とりあえず身近にあるものを見たままに片っ端からスケッチする、素朴な「写生」だった(…というか、それ以外の描き方を知らなかった)。

 好きな食べ物はスケッチの意欲をそそるようだ。しきりに食べ物をスケッチしている(⁠^⁠^⁠)

朝食1 (色鉛筆)
朝食2 (色鉛筆)
海鮮丼と天ぷら
海の見えるイタリアン・カフェにて

本当は美女を描きたかったのだが
モデルがいないので仕方なく妻を描く:⁠^⁠)


♠ ♠ ♠ ♠
 やがて自己流にも限界を感じるようになり、次々と教則本などを買ってきて《技法》のようなものを見よう見真似で勉強しながら方向性を探る「模索」期に入った。

高原の紅葉

「写生(リアリズム)」などには早々と興味を失い、何やら自分の中にうごめく「イメージ」のようなものを描く方向に進み始めた。

川辺の風景
海辺の風景(色鉛筆)
物置き小屋の少年

 やがて、テーマを山や自然に絞るようになったのもこの頃だ。

白馬岳を望む
穂高・涸沢カール
色鉛筆

 写実のように見えるかも知れないが写実ではなく、実景に自分のイメージの世界を重ね合わせ、何らかの物語性をはらむ絵を描くことに熱中するようになる。

穂高・ジャンダルム
パステル
山小屋に夜の帳が降りて


♠ ♠ ♠ ♠ ♠
 その後、ずいぶん美術館にも通ったり、たくさんの画集を見たり、美術書も読んでみたりしたけれど、いまだに絵の描き方は分からないままだ。

◆過去のnoteバージョンのスケッチから、後ろ姿の女性像2題

『フラワーショップの店先』

『サクラの頃』