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【新作小説】『神の国大和』①2人の刑事編

【首都高速道路パトロール隊駐車場】
ヒミコ「ヤマトぉー、何でいつも俺の愛車に乗ってるんだよ」
「マジ、ぶっ殺すぞテメェー」
ヤマト「固てェーことゆーなよ、ブスが」

2人は、首都高速道路パトロール隊に転属となった警察官。
転属の原因は、半年前、御徒町の宝石店に人質立てこもり事件があった。
その事件で、2人は上司の指示を無視して、ヒミコ刑事は人質の太ももを
拳銃で撃ち抜いた。人質が床に倒れこみ、犯人が人質から離れた。
その瞬間、ヤマト刑事が発射した銃弾が犯人の頭を撃ち抜き即死だった。
そのペナルティとして、交通機動隊に転属となった。

2人は、小松川から船橋方面であおり運転発生中との緊急通報があり出動したところだった。
ヒミコ「テメェーは、覆面パトで行けや!」
ヤマト「ヤダねー、俺はこいつが気に入ってんだ」
ヒミコ「ざけんなー俺んだってんだろーテメェー」
ヤマトは、渋々助手席に乗り込むヒミコが腰を下ろした瞬間に車を走らせた。
タイヤが悲鳴を上げ、急発進した。ヒミコはGで引きつった。

【市川付近】
2人は罵りあいながらなんとかあおり運転中の車を発見した。
ヤマト「アイツだ!」
ヒミコ「イケーヤマトぉー!」

「ぶっ殺せー!」
ヒミコが車の窓開けて、屋根にパトランプを乗せた。
ヤマトがアクセルを目いっぱい踏み込み、犯人の車の前に差し込み停車した。
犯人の車の後ろには被害者の車もいた。
ヤマトは、犯人の車へ向かい、ヒミコは被害者の車に向かった。
ヒミコが窓を覗くと運転していた20代女性が震えていた。
ヒミコが窓を少し下ろすよう伝えると、
ヒミコ「もう大丈夫、このままここにいた下さい」と優しく話しかけた。
一方ヤマトは、取り敢えず冷静なふりをして、加害者運転手にドアを開けて外に出るように指示した。
車から出て来た男は、如何にも格闘技をしている事が分かる体格だった。
年齢は60代後半、世間の荒波を乗り越えて来た年輪が窺える人相だった。
加害者「兄ちゃん、何かあったのかのぉー」
ヤマト「後ろの車の人から被害連絡があったんで、事情を聞かせてください」
「あっ、手帳落とした」
ヤマトは、落とした手帳をかがんで拾うと、勢いよく上体を立ち上げた。
すると、加害者も下を覗いていたので、ヤマトの後頭部が加害者の顔面に見事にヒットした。
ヤマト「あああ、大丈夫ですか?」
加害者「いってーなテメェー、鼻が折れたぞ」と言って平手を打って来た。
ヤマトは平手を顔で受けて、大げさに後ずさった。
ヤマト「いてーなぁ」と加害者を殴りかけた時、
ヒミコ「よーし、公ー務執行妨害ダー!」と飛び蹴りして来た。
不意を突かれた加害者がモロにヒミコのキックが顎にヒットして背中から落ちた。
加害者が必死に立ち上がろうとしたところに、
ヤマト「寝てんじゃねぇーコノヤロー」と更にヤマトのキックが顔面を直撃した。
2人は、被害者からドラレコデータをコピーして、加害者を署に連行した。
加害者は気絶したままだった。

つづく





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