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オフコース 「We are」その8 せつなくて

オフコースと言えば、どうしても小田さんと鈴木さんの存在が際立っています。これはもう仕方がないですよね。このお二人はオフコース結成当初からのメンバーですから。

新たに参加された清水仁さん、松尾一彦さん、大間ジローさんのうち松尾さん作曲し、松尾さんと大間さんが作詞されたのが「We are」B面の2曲め「せつなくて」です。ボーカルは松尾さんです。

この曲、こういうことを言うと誤解を招くかもしれませんが、当時の私にとっては、いわゆる箸休め的な存在でした。本当に良い意味なんです。

というのも、A面は「時に愛は」で緊張し、「僕等の時代」で緩和、「おまえもひとり」で緊張し、「あなたより大切なこと」で混乱。そして「いくつもの星の下で」で至福と、聴いている私は翻弄されました。で、レコードを裏返しB面を聴くとハードな「一億の夜を越えて」です。どうなることかと思っていたら、ミディアムテンポで、どこか楽しげなイントロが流れてきたのですから。

そして松尾さんの甘く優しい歌声。この曲はいわゆる失恋ソングなのですが、何故か悲しくないんですよね。男が失恋して思い出の街を彷徨い歩くって内容なのですが、曲調のせいなのか松尾さんの声のせいなのか、悲しさをあまり感じさせない不思議な曲です。自分を客観視している歌詞のせいなのか、この失恋をした状況なのに悲しさやせつなさを超えて、どこか楽しんでる感じさえしてしまいます。

「あはっ失恋しちゃってるよ、コイツ」という自分を客観視することは大事なことかもしれないですね。悲しみに引き摺り込まれない秘訣かもしれません。それがマスター・オブ・ライフなのでしょう。この曲は、そんなことを思わせる逸品です。

そして、この曲を聴くとその後必ず頭の中で繰り返し響くんですよね。「せ〜つ〜な〜く〜て〜♪」って。噛めば噛むほど味わえてホントに中毒性のある曲です。松尾さんのメロディメーカーとしての才能がうかがえます。稲垣潤一などに提供した松尾作品も大好きですし。

更に、この曲って小田さんと鈴木さんがコーラスしてるんですよね。当たり前と言えば当たり前なのですが、改めて考えると凄い事ですよね。こういう贅沢さを味わえたのは松尾さんだけかもしれませんね。この曲を歌う松尾さん、気持ち良かっただろうな…

松尾さんの歌声に重なるコーラス、それらをバックから支える大間さんのドラム。ある意味、5人のオフコースが松尾さんを中心にまとまった曲と言えるでしょう。癒されます。

そう言えば、オフコース解散後にメンバー全員と共演してるのは松尾さんだけなんですよね。可能性はないでしょうが、オフコース再結成のキーマンは松尾さんかもしれないですね。可能性はほぼないでしょうが。


つめたくて
夜が ベッドが
あの歌さえ今は

と歌う松尾さん。
でも、最後に微かな希望が、一筋の光が、見え隠れするのです。


つめたくて
でも 君の心は
まだ あたたかいの?

5人のオフコースの再結成はないと思うのですが…
Cメロ、時を超えてファンの気持ちを代弁してるかのような…


待ちくたびれて
しまったんだね
もう少し
ほんのもう少しだけ

アウトロ


でも 君の心はまだ…
せつなくて

せ〜つ〜な〜く〜て〜

あゝ、5人のオフコースに思いを重ねると、やはり悲しくてせつない歌だわ、これは。




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