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オフコース 「We are」その3「僕等の時代」

アルバム「We are」のA面2曲めが小田さんの「僕等の時代」です。

1曲めの「時に愛は」は、イントロの鮮烈なメロディでまさに息を呑む衝撃を受け、曲の終わりとともにフッと溜めていた息を吐く、そんな作品でした。

しかし、次の「僕等の時代」は現在の(このアルバムが発表された当時の)オフコースの別の顔を見せてくれます。

シンプルにアコースティックギターの伴奏で始まります。


もうそれ以上そこに
立ち止まらないで 
僕等の時代が
すこしづつ今も動いている

「時に愛は」の後だけにシンプルさが際立った印象です。一瞬、二人時代のオフコースのような曲かとも思えましたが、ボーカルの小田さんの声が二人時代とは違うんですよね。力強く伸びやかな歌声です。それが聴く者を優しく包み込んでいくようで心地良いです。「時に愛は」の緊張が「僕等の時代」で解きほぐされていくようです。

「僕等の時代」の内容は、今、時を同じく生きている全ての人々に対するメッセージとなっています。同じ時代を生きている人達よ、時代は少しづつ動いているから一緒に歩いていこう。このようなメッセージ性にあふれた作品ですね。まさに「We are」です。この曲こそがアルバム「We are」の核心と言える作品なのかもしれません。

同時に、二人時代のオフコースファンに向けてのメッセージともとれます。


時は移りゆくもの 
明日を見つめて 
あの頃は時々
振り向くだけにして

二人時代のオフコースを愛してくれてありがとう。僕たちは進むことを止めない。今の僕らのサウンドを聴いて。あの頃の曲は時々振り向くだけにして。

更に、小田さんから鈴木さんへの強烈なメッセージともとれます。


あの頃に戻って 
やり直したい事 
誰にでもそれぞれ
心の中に

オフコースがヤスの思っていたのと違う方向に進んでしまった。でも、それは…

オフコースも変わったと思うかもしれないけど、変わったのではなく進んでるだけなんだ。いずれはヤスにスポットをあてる時期が来るし、その次は松尾なんだ。だから一緒に歩いていこう。


あゝ心を閉じて
背を向けるひとよ
僕等の言葉に
耳を傾けて

このフレーズ、ライブでは鈴木さんが歌うんですよね。悲しすぎます。

そして、

♪耳を傾けて♪

の箇所は5人のコーラスなんですよね。

鈴木さんが脱退を表明したのは、このアルバム「We are」をリリース後の80年の年末とのことですが、それ以前から小田さんは鈴木さんの異変を感じていたと思ってしまいます。

「デビューして10年、ようやく僕等の時代がやってきたんだ、ヤス」小田さんの鈴木さんに対する想いを感じてなりません。

この「僕等の時代」は、聴く人によって受け取り方が違ってくるでしょうが、後世まで歌い継がれていくべき曲だと思います。この歌が歌われている「時」が「僕等の時代」なのでしょう。歌う人と聴く人、それぞれが同じ時代を生きているのですから。

「時に愛は」と「僕等の時代」は、オフコース通算20枚目のシングルとして発売されました。 

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