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オフコース 「We are」その4「おまえもひとり」

アルバム「We are」においてメンバーが担当した曲数で言うと、小田さんが6曲、鈴木さんが共作も含めて3曲、残りの2曲は松尾さん、清水さん、大間さん等の共作となっています。

つまり、この「We are」で小田さんと鈴木さんのバランスが崩れてしまったわけです。それまでのアルバムでは、ほぼ同数の曲数でしたから。後に鈴木さんが「この時期は曲が作れなくなった」と回想している通りの状況が見て取れます。

そんな苦しい状況の中で作られた鈴木作品が「おまえもひとり」です。

内容は、二股している友人を叱責するという鈴木さんらしい骨っぽい作品です。サウンド的にも格好良く仕上がっています。

今、改めて聴いてみると鈴木さんから小田さんへのある種批判的なメッセージなのかなと思ったりしました。


ふたりのおんなを相手に
どうするの 何を考えてるの
俺にさえ ひとことも
打ち明けないでいる
いい加減にしろよ 
うぬぼれるのは 
もう答えを出す時だろう

「ふたりのおんな」はオフコースと俺(鈴木)の比喩で、小田さんに対して「小田は俺かオフコースかどっちをとるんだよ」と問いかけているのかと思ったりしました。

でも、次のフレーズがその思いを否定しました。


さよならを二回
言えばいいだけさ 
きらわれるのが
そんなにこわいの

うーん、対象が小田さんなら、小田さんは、さよならを二回言う必要は全くありません。小田さんがオフコースと鈴木さんに別れを告げることまで鈴木さんは望んでいなかったはずです。鈴木さんはあくまでも自分がオフコースを脱退することを望んでいただけですから。自分が辞めた後は代わりの誰かを入れればいいと思っていたようですし。

小田さん自身は「ヤスのいないオフコースは考えられない」と、オフコースの解散までも考えるまでに追い込まれたようです。でも、それは小田さん自身の内面の問題ですから。

ということは、この曲は鈴木さん自身の自分に対する叱責だったと考えれば納得できます。

小田さんとオフコースにさよならを告げればいいだけだろって。何を迷っているんだって。

こう解釈すると、当時の鈴木さんの苦しい胸の内を少しは理解できるような気がします。

自分に対する叱責は続きます。


そのまま続けるもいいさ
ひとは見て見ぬふりするだけ

このままオフコースを続ければ、表面上は平穏に過ごせるだろう。でも、おまえはそれでいいのか?


そうさ 俺には何も言えない
中途半端な口出しは 
わずらわしいだけ

オフコースを続けるとしたら、今のオフコースに対して、おまえは何か言えるのか?
今の流れを変えたりはできないだろう。中途半端な口出しをするより辞める方がスッキリするだろう。


誰にも消せやしない
誰も止められない 
おまえひとり 悩むがいい

悩んでいるのは、おまえひとりなんだよ。


さよならを二回言えばいいだけさ 
あとは振り返るな 
もう二度と

辞めればいいだけ。自分の信じる道を行けばいい。

小田さんの「時に愛は」や「僕等の時代」の問いかけに対して鈴木さんはこういう形で内省していったわけですね。


アルバム「We are」の小田作品は外に向かってのメッセージですが、鈴木作品は内省していく作品群となっています。


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