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オフコース アルバム「over」その2 「愛の中へ」

「心はなれ」(Instrumental) で幕を開けたオフコースのアルバム「over」ですが、A面2曲め「愛の中へ」が「心はなれて」の余韻を吹き飛ばします。

そう、吹き飛ばすという表現がふさわしいイントロです。歌の無い「心はなれて」の美しいけど悲しげな雰囲気のメロディを粉砕するイントロです。

「We are」の1曲めである「時に愛は」で小田さんは力強く歌いました。


時に愛は力尽きて
崩れ落ちてゆくように見えても
愛はやがて二人を
優しく抱いてゆく

アルバム「over」の1曲めと2曲めは、「時に愛は」のこの歌詞を体現しているように思えます。


時に愛は力尽きて
崩れ落ちてゆくように見えても

→「心 はなれ」(Instrumental)


愛はやがて二人を
優しく抱いてゆく

→「愛の中へ」

オフコースの終わりを感じる小田さんの最後の叫びだったかもしれません。愛の強さを信じて、メンバーやスタッフやファンをひっくるめて全てのものを愛の中へ連れてゆく、そんなオフコースサウンドの集大成が「愛の中へ」という曲だと言えるでしょう。

オフコースの新しいアルバムが発売されたと耳にした私は早速レコード店に買いに走りました。アルバムのタイトルを見て、私はショックを受けました。英語の小文字で「over」だったからです。解散の噂も囁かれていたこともあって、私は暗澹たる思いでレコード針を落としました。

「心はなれて」が流れ「あゝやっぱりか」と思った私の心を打ち破ったのが「愛の中へ」でした。「オフコース、なんとかなるかも」と思い直せた曲でした。鈴木さんたちのコーラスも輝いていました。大間さんのドラムがそれらを力強く支えていました。

結果的に、この「愛の中へ」は、「灯火(ともしび)消えんとして光を増す」という言葉のような曲となりました。ロウソクの炎が消えようとした寸前に一瞬明るくなる感じです。その明るさは目がくらむくらい明るかったです。私にとっては。まさに「愛の中へ」連れていかれるような感じでした。

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