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オフコース 「We are」その7 一億の夜を越えて

オフコースのアルバム「We are」のB面ですが、ここで気になったことがあります。私にとっては当たり前の事だったのですが、もしかして「A面B面って何?」と思っている方がいらっしゃるかもしれませんね。

今更ですが、音楽等を記録再生する媒体としてはCDがありますが、その前の世代にはレコードがありました。レコードは表面と裏面の両方に音楽を記録することができ、表面をA面、裏面をB面と呼んでいたのです。

シングルレコードの場合、世間的に広く聴いて欲しい曲がA面に、オマケ的な曲がB面という位置づけでした。中にはB面に収録された曲がヒットする事もありましたが。オフコースの場合、A面が小田作品、B面が鈴木作品といった感じでした。

さて、オフコースのアルバム「We are」のB面一曲めは鈴木さん作曲、作詞は安部光俊さんの「一億の夜を越えて」です。

B面は激しいロックで幕があがります。


いくつもの靴をはきすてた
いくつもの星が 流れた

誰かが言ったまわり道してる
いいさ いいさ
もう迷わない
耳をかさない

突っ走るだけ一億の夜をこえて
信じるがまま心叫ぶまま

歌詞も激しいですね。作詞は安部さんですが、鈴木さんの気持ちを代弁してると言ってもいいです。

人が何かを選択する時は別の何かを捨てているということですよね。選んだものがyesなら、選ばなかったものはnoだったわけです。ある道を歩くために新しい靴を履くということは、古い靴を捨てるということです。

鈴木さん自身も今まで多くの取捨選択をしてきたことでしょう。そして、この時、オフコースを捨てソロになるという取捨選択をしたのでしょう。

そう、この段階で鈴木さんはオフコース脱退を決意したんですね。作詞は安部さんですが、鈴木さんは敢えて作詞を安部さんに依頼したのかもしれませんね。

このアルバム「We are」における鈴木作品を見てみると、鈴木さんの魂の軌跡と言ってもいいかもしれません。

「おまえもひとり」で、迷っている自分自身を叱咤激励し、「いくつもの星の下で」で、自分の決意をパートナーに聞いてもらい、「一億の夜を越えて」で、その決意を表明したのですから。

当時、私は鈴木さんの心情を知る由もなく、ただ鈴木さんらしいロックだと思っていましたが、山際さんの「Give up」を読んで解釈し直してみると、鈴木さんの魂が彷徨った足跡としか思えません。


どんな奴でも
負けたことがある

この歌詞は、「いくつもの星の下で」での


いつもひとり
くやし涙流してきた
男のことを

とリンクしているような気がしてなりません。負け続け、くやし涙を流し続け彷徨してきた男が咆哮するのです。


突っ走るだけ
一億の夜をこえて 
信じるがまま
心叫ぶまま

と。

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