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オフコース アルバム「ワインの匂い」その4 鈴木さんと小田さん

アルバム「ワインの匂い」は鈴木さんと小田さんのバランスが良くて、初期オフコースの代表的なアルバムです。そこでB面の作品についても見てみましょう。

B面で私が面白いと思ったのは、小田作品の「少年のように」と鈴木作品の「雨よ激しく」です。というのも、この2つの作品に鈴木さんと小田さんの性格の違いが現れているような気がしたからです。

少年のように

「少年のように」はとても短い作品ですが、


でも和らかな日々も
哀しいくらいの愛も
思い出の中へ
かたちを変えては消えてゆく

そんなとき僕は少年のように
果てしない夢を追いかけてゆく

小田さんは、愛が消えていったら夢を追いかけると歌っています。これに対して鈴木さんは「雨よ激しく」で

雨よ激しく


雨よ雨よ激しく
明日に少しでも
愛のかけら残さぬよう
夜どおし降り続け

中略

雨よ雨よ雨よ
すべてあらい流せ
雨よ雨よ雨よ
愛をあらい流せ

と歌っていますね。愛を失ったとき、小田さんとは違い鈴木さんはオール・オア・ナッシングです。こういう性格の違いが色々な場面で現れてきたでしょうし、これ以後も影響をしていったのでしょう。

大学卒業時、鈴木さんは決まっていた就職先を切って音楽の道へ進むことを決意しました。小田さんは一旦大学院ヘ進み猶予期間を設けたわけです。鈴木さんの決断力と小田さんの柔軟性といったところでしょうか。

ですからアルバム「ワインの匂い」以降、新メンバー加入に対しても、小田さんはオフコースがバンドとして飛躍していく夢を追う方向に気持ちを向けていったのに対して、鈴木さんは一旦拒絶反応が出たのかもしれません。もちろん鈴木さんもその後のレコーディング作業を新メンバーとともにしていく過程で、オフコースがバンドへと変わっていくことを受け入れていくわけですが。

剛の鈴木さんと柔の小田さん

この性格の違いが、同じ愛を失くした時の反応の違いとして現れたのが「少年のように」と「雨よ激しく」だと思いました。そして、これが後のオフコースの悲劇へとつながっていくのかと思うと悲しいものがあります。やはり、どうしても避けられなかったものなのでしょうね。

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