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台風とルーツと

今回の台風で被害が出たということで、宮崎市の佐土原町の映像がニュースで流れていた。被害に遭われた方には、一刻も早い復旧をお祈りする。

ところで佐土原は「さどわら」と読む。

なぜこのニュースに反応したかというと、佐土原は、わたしの父が中学の時に養子に出された先の苗字であるからだ。
父親の人生については、noteを始めた頃にまとまった文章を書き、マガジンにまとめてある。

父は、鹿児島出身の立志伝中の人物である田口善一の"妾の子"として、東京は世田谷で出生した。
母親は戦時中に亡くなり、実父からはほぼ置き去りにされるような形で東京に残されていたが、ようやく故郷に戻った善一の元に引き取られると、戦後になって隣県宮崎の佐土原家に養子に出されている。
当時の暮らしは貧窮を極め、高校に行かせてもらえるという口説き文句に、父もそれを受け入れたようだ。

佐土原の家は、佐土原町からは少し離れた今の延岡市にあって、父はそこで高校を卒業し、就職し、子供を持った。
この子供というのはわたしで、だからわたしも生まれた時は佐土原姓であった。
その後養子縁組を解消して、田口の名に戻したのが、わたしが3歳になる前である。

父はこの時期の自分のことをほとんど語らなかったので、わたしは延岡が故郷であることは知っていたが、佐土原という地名があることを今日まで知らなかった。

調べてみると江戸時代には島津氏の流れを汲む佐土原藩というのが存在しており、そういえば父から、佐土原家には代々、◯兵衛だか◯左衛門だか、とにかく長子が継がねばならぬ名があって、あのまま籍を抜かなければ、その名を彫った墓に入るところだったと聞かされたことがある。

もしかしたら、佐土原藩で何がしかの役職でも与えられていた家柄だったのかもしれない。

今となっては本当のところは調べようもないのだけれど、とりあえず父は、◯兵衛にも◯左衛門にもならずに、田口家の墓に入っている。
結果としてわたしも墓石には本名を刻めそうである。


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