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アートをめぐるあれこれ

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さすがに長く生きていると色々考えてきた。 文章にすることで少しずつ思考をまとめようとしたら、 書き散らしているだけだなこれは。
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#404美術館

顔考

顔考

昔、石膏デッサンの下手なやつは、どの像を描いても顔が本人に似る、という都市伝説があった。

これには多少のエビデンスがあって、誰でも人生で一番よく観察している顔は、たぶん自分自身の顔なので、無意識のうちにそれが出てくる、という理屈である。

毎朝鏡で見る顔こそが、ベーシックなものとして、意識に刻み込まれるのではないか、というわけだ。

確かにわたしの経験では、生徒に自画像を描かせるのと、二人組にし

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[覚え書き]柿渋[マニアック]

[覚え書き]柿渋[マニアック]

柿渋(かきしぶ)というものがある。
何かというと、これは日本古来の塗料である。

青柿の実を絞って発酵させもので、これを塗ったものはオレンジ色に染まり、紫外線によって徐々に落ち着いた赤茶色に変化する。
そのままであれば木目を生かした仕上げとなり、
弁柄や松煙と言った顔料を溶かして着色すれば、不透明な塗料にもなる。
要するに昔からある、天然のニス兼ペンキみたいなものである。

家屋の壁、塀、家具、什

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