【子どもが嘘をつく理由】幼いうちから教えたい“お金”のこと
祖母にもらった100円玉を大切にしまっていた。でも友達が帰った後、引き出しに入れていたはずの大切なお金が無くなっていた。他のところも探したけれど、見つけるコトができなかった。とても切ない思い出。
◆祖母からのお小遣い
遡ること、25年以上前。私は家族で祖母の家に遊びに行った。祖母は優しくて賢くて大好きな存在だった。
その帰り道、祖母は私の手に100円玉を10枚握らせてくれた。6歳にとって100円玉10枚は大金なので、嬉しくてたまらなかった。世界中に自慢したい気分だった。
私はお気に入りの真っ赤なキティちゃんの財布に大事にしまったことを今でも覚えている。
◆ピンクの引き出し
自宅に到着し、その財布をピンクの引き出しに閉まった。少し経って、ちゃんとあるかどうかを確認したけれど、ちゃんとそこにパンパンに膨らんだ財布はあって安心した。それを何度か繰り返して、就寝した。
◆友達がわが家へ
翌日、近所の友達が遊びに来た。
私はすぐさま友達に話した。
「おばあちゃんから100円玉をもらったこと。」
「その100円玉は大切にこのピンクの引き出しにしまっていること。」など。
嬉しくて幸せで、その気持ちを共有したくて、すべてをその友達に話した。
◆お出かけ
その後、その友達と「出かけよう」という話になった。子どもの足で歩いて5分くらいのところに小さな商店がある。文房具などが売られていた。
そこに出かけることになり、私はしばし自分の部屋を離れて準備した。
友達と一緒にその商店に出かけた。店の中をぐるりと見渡したけれど、そんなに欲しいモノも無かったので、何も買わなかった記憶がある。外に出ると店前に黄色いガチャガチャを見つけた。
◆ガチャガチャ
友達と「ガチャガチャをしよう。」ということになった。
私は1度だけ回した。
そして友達の番。
1度回した。そしてもう1度回した。さらにもう一度回した。
何度も回すので、「どうしてそんなにお金を持っているの?」とうらやましくなって聞いた。
友達は「お母さんからもらったの。」と言っていた。
◆財布の中身
その後、友達とはお別れして、私は自宅に戻った。
自分の部屋に入り、ピンクの引き出しを開ける。確認のため、財布を開けてみる。心にひゅっと風が通り抜けた気がした。
あんなにパンパンになっていた財布の中身が無いではないか。
アレ?
私は別のところに閉まっただろうか?と部屋をくまなく探した。
兄弟の引き出しなんかも探したと思う。別のところに置いた記憶など全くないのに、部屋中を探した。でも見つからなかった。
◆母が怖い
私は不安で仕方なくて、帰宅した母に打ち明けた。
ものすごい剣幕で叱られた。
「友達に財布の場所を言うモノではない。」と。
「ココにあるから盗ってくださいと言っているようなモノだ。」とも。
私は涙があふれた。まだ6歳なのでうまく言語化できなかったけれど、とにかく心がもやもやして泣いた。後に、私は「自分も悪いけど一番悪いのは、人のお金を盗んだ友達じゃないか?!」と思ったことに気づく。
でも当時は幼くて言えなかった。とにかく母が怒るのが怖いと思った。
◆友達の母親
母が固定電話でどこかに電話をしている声が聞こえた。しばらくして、今日遊んだ友達の母親が訪ねてきた。
母から「財布にはいくら入っていたの?」と聞かれたけど、
もう混乱している私はいくらともいえず「分からない。」とだけ答えた。
祖母からもらったお金なので、少し考えればいくらか答えられたはずだ。でも母に叱られたのが怖くて、もうそれ以上何も言うことができなかったのだ。
母と、友達の母親は何やら話をしていた。
向こうも謝っているし、なぜかこちらも謝っているように聞こえた。
お金を盗られたという証拠も無いので、私の手元に100円玉が戻ってくることはなかった。
◆実は・・・
そのことを今でも思い出す。
幼い子どもにとって、人のお金を盗む感覚は”いたずら”みたいなモノなんじゃないかと。悪いコトだとは分かっているので、大人の前ではやらないけれど、人目を盗んでやってしまうゲームみたいなモノなのだと思う。
なぜなら、私も身に覚えがあるからだ。
友達と出かける前に、自分の部屋を離れた・・・。
そして書斎に行き、父の貯金箱から100円玉を拝借したのだ。つまり私が回したガチャガチャで使ったお金は父のモノだ。私も悪いコトをしていたのだ。
◆友達
あの友達は、いまどうしているだろうか?
私のお金が無くなったことから、不信感でもうあまり一緒にいることもなくなってしまった。友達は友達で、私に対して思うこともあったのだろうと思う。
その友達はたくさんのコトを私に教えてくれた。お金が急に無くなってしまうという気持ち。人を疑ってしまうという気持ち。”お金を大切にする”ということも。
いつかその友達に再開したなら、笑い話として話せたらいい。彼女はもう覚えていないかもしれないけど。
◆終わりに
この一件があってから、私は父のお金を勝手にもらうことはしなくなった。当たり前のことだけれど(笑)もちろん拝借したお金は返金している。
いま私は親になった。
あの一件は、「子どもから見える場所に、お金を置くべきではない!」という教訓になっている。
そして、うちの子が当時の私と同じ年になったら、この話を聞かせてどう思うか、登場人物それぞれがどうすれば良かったか、聞いてみたい。
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