音速の鷲乗りα 32



〜防衛省情報本部〜

スズ「その情報は本当ですか?」

沙都子〔ええ、確たる情報です。確かに、吉本は電磁波発生装置を開発してますわ。〕

スズ「分かりました。潜入お疲れ様でした。
今日はゆっくり休むよう伝えてください。」

沙都子〔分かりましたわ。それでは、〕pi

北条2尉からの連絡を受けた後、私は少しの間
呆然としていた…呆然とする私を我に帰らせたのは部長だった。

矢矧「柳本君、大丈夫か?」

スズ「は、はい…大丈夫です。部長、吉本の裏が取れました。」

矢矧「ほう…聞かせてくれ。」

スズ「はい、まずはコレをお聴きください。」

私は北条2尉から送られてきた。ボイスレコーダーの録音を再生する。

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梨花「さっき、話してた貴文さんが開発された機械って何なんですの?」

吉本「あまり大きい声では言えないのですが…極端に言うと電磁波発生装置です。」

梨花「電磁波発生装置…?」

吉本「そうです。例えば、精密機械を電子レンジの中に入れるとどうなると思います?」

梨花「爆発もしくは発火しますね。」

吉本「ええ、そうです。その原理を利用して飛んでいる航空機を意図的に使用不能にする事ができる装置を開発したんです。」

梨花「凄く怪しいのです…」
 
吉本「怪しくないですよ〜w」

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矢矧「待て!電磁波発生装置だと!?」

スズ「はい、これには続きがありまして…」

私は続きを再生した。

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吉本「それをですね…この間試運転で使ってみたんですよ。そしたら、実験は成功。想像以上の性能を発揮してくれました。まぁ…1人亡くなりましたが、必要な犠牲でしょw」

梨花「は、はぁ…」

吉本「コレで儲かるんですからw」

梨花「そうですね…」

吉本「元気ないですね?どうかしました?」

梨花「いえ…少し、気分が優れませんの。」

吉本「そうでしたか…家まで送りますよ!」

梨花「いえ、歩いて帰れますので…」

吉本「また、よろしくです!」

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矢矧「くそっ…反吐が出る内容だ…」

普段温厚な部長が怒りを露わにするのは珍しい聞いていた私も吐き気を催す内容だった。

スズ「間接的ではありますが…コイツが熊岡3佐を…」

矢矧「柳本君、大至急この男に関するデータ及び、技研本部装備開発室別室に関する情報を集めてくれ。」 

スズ「了解しました。早速、潜入班を編成します…班長は…」ピリリリリリ

その時、私の携帯が鳴った。相手は大崎2尉だった。何だろう…

スズ「はい、柳本です。」

吉本〔大崎だ、至急部長に繋いでくれ!〕

スズ「わ、分かりました。 どうぞ…」

矢矧「矢矧だ…大崎君どうした?」

良樹〔部長、大変な情報を仕入れました。奴らが狙う次なる標的は…〕

それを聞いた瞬間、私も腰を抜かしそうになった。部長はと言うと…無言になり驚きを隠せない様子だ…

矢矧「どうして彼が…この際、狙われる人間は後だ、それがいつ頃実行されるのか出来るだけ詳しく探ってくれ!君の隊の神田君には私から話を付けておく。」

良樹〔分かりました。 お願いします…〕プツッ

スズ「……。」

矢矧「思ったよりも厄介な事になりそうだ…」

その場にいた通信担当官さえも顔を青くしていた。それだけ衝撃的だったのだろう…

スズ「まさか…彼が狙われるなんて…」

矢矧「これは早急に対応せねばならん。全パラミリ班(準軍事工作担当課)の工作員に情報を共有し技研本部装備開発室別室の人間を全員マークしろ! 後…SiCFに出動準備を…」

スズ「部長…それは…」

矢矧「隊長の伊藤2佐に至急連絡を頼む…」

スズ「分かりました…」 

SiCF(情報特別急襲部隊)…標的対象を必ず制圧もしくは殲滅する。それが彼らの流儀…

隊長の 伊藤健一 2等海佐は一言で言えば…
冷静冷酷である。任務遂行のためなら手段を選ばない冷酷な人間と聞いたことがある。
一方で作戦立案などは冷静な分析で正確な情報を得てから遂行すると言う一面も持つ。

隊員は特殊作戦群や特別警備隊の隊員から選抜される。はっきり言ってこの課だけ、治外法権だ…雰囲気が違いすぎる…


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〜警察庁公安部〜

舞「そう…そんな事があったのね。」

梨花「はい…人間の所業ではありませんわ…」

舞「人間とは呼べないわねそんな奴…」

梨花「ええ…私もそう思います。」

舞「分かりました。引き続き、捜査の続行をお願いします。辛いだろうけど頑張って…亡くなった恩師の為に…」

梨花「はい…」

舞「あと、貴方の耳に入れておきたい情報があるんだけと…いいかしら?」

梨花「何でしょうか?」

舞「ここでは話せない…場所を変えましょ。」

そう言い、先輩は給湯室へと私を誘った。

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梨花「え、それは本当ですか!?」

舞「ええ、確実な情報よ。ゼロが動いているわ…気をつけて。」

梨花「分かりました…」

ゼロ…噂に聞いた事がある。
警察庁警備局警備企画課 通称(ゼロ)
主な業務内容は警視庁や都道府県警の公安職員の作業指導だが、本当の任務は
日本という国の安定を脅かす組織…
例えば、右翼団体、テロ組織、自衛隊クーデター、日本共産党、朝鮮総連などの情報収集が主任務だ…そして、任務遂行のためなら手段を選ばないのがこの組織だ。

梨花「まさか、本当に動いてるとはね…」

舞「くれぐれも気をつけて…」

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〜防衛省空幕広報室〜

理樹「本日はよろしくお願いします!担当をさせて頂く 直枝2等空尉です。」

島谷「こちらこそよろしくお願いします。浅田小学校教諭の島谷です。」

僕は、白石3佐と会った数日後に栗原隊長へ申し出て広報室に臨時勤務に来た。

理樹「それでは、早速ですが。こちらの映像をご覧になってください。」

島谷「はい」

俺は島谷先生に空自PVの映像を見せた。

〜15分後〜

島谷「なるほど、これならウチの生徒たちも理解できそうですね。」

理樹「もっと、詳しい内容が必要でしたら。自分が出向いてお話する事も可能ですが…」

島谷「本当ですか!?それは是非!」

そう言って話は進んだ。

〜1時間後〜

理樹「ふうっ…」

白石「直枝2尉、お疲れさん」

理樹「あ、班長 お疲れ様です。」

白石「初めてにしては、なかなか上出来だ。」

理樹「ありがとうございます!」

白石「講演会がんばれよ!」

理樹「はい!」

臨時勤務で約半月ではあるが、僕の広報官としての仕事が始まった。



      続く…

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