音速の鷲乗りα 28

 

〜307飛行隊隊舎〜

僕は件の人物を見つけて、声をかけた。

理樹「あ、あの三浦1尉ッ!」

三浦「直枝君か…どうしたゾ?それに、俺の事は〔ミュウラ閣下〕と呼べと言ったはずゾ」

理樹「すいません、ミュウラ閣下…実はお尋ねしたいことがありまして。」

三浦「神妙な顔つきをしてどうしたゾ? 」

理樹「三浦1尉は確か大学を出てましたよね?」

三浦「あぁ、それがどうした?」

理樹「1尉の知り合いで本省勤めの方はいらっしゃらないかと思いまして…はははっ」

三浦「お前、防衛省に行きたいのかゾ?」

理樹「ええ、少し興味がありまして。」
(なるべく自然に振る舞って…)

三浦「そうか、確か大学の友達が入省してるはずだから聞いてみるゾ」

理樹「ありがとうございます!」

三浦「いいゾ〜それ、また、聞いておくから待ってくれ。」

理樹「分かりました。恩にきます。」

まずは一歩前進だ、長い道のりになりそうだ。

理樹「ん?」

後ろに人の気配を感じたが気のせいだろか…?



沙都子「……。」(直枝さん…)

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〜防衛省技研本部〜

室長「例のネズミの動きはどうだ?」

2佐「はい、以前動き回ってますが真実に辿り着けていない様子です。」

室長「まぁせいぜい、嗅ぎ回ればいいさ個人レベルではどうにもならんのだからな…フフフフフフハハハハハッ」

2佐「そうですね…犬の情報によれば以前話していた整備員とは機体について話していただけだそうです。」

室長「そうか、漏れてないならば良しとしよう。」

2佐「北山からの情報によれば…各機体に例の装置の取り付けが終わったそうです。」

室長「そうか…いよいよ我々の計画が始まるのだな…」

2佐「ええ…計画成功の暁には我々は」

室長「んふっ…それ以上は駄目だぞ。」

2佐「失礼しました。」

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〜防衛情報本部〜

矢矧「柳本君、君は彼と知り合いなのかね?」

スズ「ええ、幼馴染です…」

矢矧「そうか…実害はありそうなのかね?」

スズ「いえ、全くと言って良いほど無害です。個人的にこの件について何かを嗅ぎ回っているようですが…辿り着けていないと北条2尉から報告がありました。」

矢矧「ふむ…直枝君か…優秀なパイロットなようだね。見たまえ彼の経歴を…」スッ

そう言って部長は資料を手渡してきた。

飛行教導隊に臨時勤務、本勤務に誘われるもの辞退…組織編成については暗記してるものの部隊の内容には疎い私だが…アグレッサーにスカウトされるくらい優秀だということが伝わってきた。

スズ「本当に優秀なパイロットですね…」

矢矧「君もそう思うだろ。」

スズ「はい…ただ犠牲にしたくはありません…」

普段私情を仕事に持ち込まないのが私の主義だが、今回は違う2人も知り合いを失いたく無い…それが本音であった。

矢矧「分かった…こちらでも手を打とう。」

スズ「ありがとうございます。」

その時…

ピリリリリリ

私の携帯が鳴った

スズ「失礼…はい…」pi

電話の相手は北条2尉だった。

沙都子〔突然の連絡すいません。実は直枝2尉が上司の1人を使い防衛省に探りを入れようとしている事が分かりましたわ。〕

スズ「それは、誰か分かりますか?」

沙都子〔情報を送りましたわ。〕

流石は北条2尉ね、仕事が早くて助かるわ。
画面上に映し出されたのは。
ごく一般のパイロットだった。

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1等空尉 三浦智将 (みうら ともまさ)

・身長体重 178cm 75kg

・生年月日 198X年10月9日 31歳

・学歴

国立下北沢大学機械工学部 卒業
筑波大学大学院機械工学宇宙創造学科 卒業
航空自衛隊幹部候補生学校 卒業

・家族構成 
  父:浩二 母:善子 姉:星羅

空に憧れてパイロットを志望。
パイロットになるかホモビ男優になるかで父親と喧嘩した末、大学院卒業と同時に家を出て幹部候補生課程入校。
ウィングマーク取得後 
304飛行隊→203飛行隊→307飛行隊勤務

勤務態度は良好。
上司部下からも厚い信頼を置かれている。

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とても優秀なパイロットだと分かる  今のところクロでは無さそうだ。

スズ「確認しました。引き続き監視を続行してください。」

沙都子「了解しましたわ。それでは…」プツッ

矢矧「北条君からか?」

スズ「はい、そうです。直枝2尉に接触した人物が居るそうです。」

矢矧「ほぉ…どんな人間かね?」

スズ「情報送りました。」ピッ

矢矧「…。なるほど、彼はシロだな。ちなみにどんな情報を得たか分かるかね?」

スズ「どうやら、彼の知人に防衛省に勤務する人間が居るそうで、その人間を使って情報を得ようとしている模様です。」

矢矧「そうか…また、分かり次第教えてくれ。」

スズ「分かりました。」

直枝君…アナタ…本当にこの組織の闇について追うつもりなのね…

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〜街中〜


子供「お巡りさんありがとう〜ッ」

梨花「どういたしまして気をつけて帰るのよ〜」

子供「は〜い」

私は今、公安の仕事をする傍ら表向きの顔である生安課の仕事をしている。

梨花「ふうっ…二足草鞋なんて疲れるわね…」

???「あの、梨花先輩ッ」

休憩していると後ろから声をかけられた。
この声は後輩の関根しおり巡査の声ね

梨花「どうしたの?しおり」

しおり「先輩って、お付き合いしてる人とかいらっしゃるんですか?」

梨花「何よ…藪から棒に…居ないわよ。」

しおり「そうなんですね!あの、実は…」コソコソ

梨花「え〜ッ嫌よ…私が男嫌いなの知ってるでしょアンタ…」

しおり「お願いします!人が足りてないんですッ それに、男性陣の中に防衛省勤務の人が居るそうなんですよ!狙い目ですよッ!」

梨花「へ〜そうなんだ…」
(防衛省勤務…これは使えるわね。)

しおり「お願いしますよ!先輩ッ」

梨花「分かったわ…私の負けよ…で、合コン決行の日はいつなの?」

しおり「明後日の、19時からです!」

梨花「分かったわ…」
(防衛省だなんて…大きな獲物が釣れそうね)
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〜公安部 公安外事第二課〜

しおりと別れた後、私は本庁の自分の机に向かっていた。

梨花「ふうっ…」カタカタカタカタ

???「どうしたの?ため息なんかついて。」

梨花「あ、舞さ…いえ、川澄警視……」

舞「何かあったようね」

梨花「はい…実は…」

上司である川澄警視に先程の事を全て話した。
川澄 舞 警視は、この外事第二課の課長で
私の大学の先輩でもある。
表向きは、
警視庁組織犯罪対策四課(通称マル暴)に所属する刑事でもある。
(私と中の人が同じよ)

舞「梨花も大変ね…表と裏の顔を両方演じなければならないなんて…」

梨花「仕方ありません、仕事ですから。」

舞「それで、その飲み会で探りを入れるつもりなのね。」

梨花「はい、もしかしたら大きい魚が釣れるかもしれません。」

舞「分かった、くれぐれも慎重にね」

梨花「了解しました。」

私はその日、仕事を早く片付けて早めに帰路についた。

          続く…




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