音速の鷲乗りα 34

 

〜小松基地〜

私は今聞いたことを頭の中で整理した。
樹の死因は事故死だが、悪意のある人間によって殺されたこと。
それを捜査するために情報本部(DIH)が動いている。
そして、黒幕は …
「防衛省技術研究本部装備開発別室」と言う所であること。それにうちの基地司令、隣の国が関与している事が分かった。
最後に釘を刺されたのは…神田隊長と大崎の正体について絶対に口外しない事だった。

柊甫「噂には聞いたことがあるけど…まさかね…案外身近に居るんだな…」

とりあえず、私は基地司令である中田稔空将の動向を探り始めた。

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〜303飛行隊長室〜

坂上「良かったんですか?隊長…」

神田「何が?」

坂上「正体を暴露してしまっても…」

神田「勿論、組織のメンツ上は良くはない。」

坂上「ですよね…」

神田「だがな、陸…もう組織のメンツ云々言ってる場合じゃないんだ…お前も分かるだろ?」

坂上「はい…そこは重々承知してます。しかし」

神田「分かっている。クビになるのはあの人だけじゃない、俺の首も賭けての戦いだ…」

坂上「分かりました…そこまでの覚悟なんですね。自分に止められるわけがありません…」

神田「すまない…恩にきるよ。」

坂上「そういえば、大崎経由で本部から情報が入ってきました。」

神田「本当か?本部は何と言っている?」

坂上「それが…」

神田「何!?SFが…」

坂上「それに…奴らが狙う次なる目標の情報も入ってきました。307飛行隊の直枝です。」

神田「理樹が…何故だッ!」

坂上「分かりません…それに、中田空将も隣国と癒着があると報告が来ています。」

神田「厄介な野郎だ…」

坂上「気持ちはわかります…直枝を使って司令を探らせれば、自ずと黒幕が釣れます。」

神田「畜生ッ…こんな時、樹が居てくれれば。」

坂上「本当に惜しい奴を亡くしました…」

必ず無念を晴らしてやるからな…樹…
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〜都内某所 浅田小学校〜

僕は広報のため浅田小学校を訪れていた。
いま、全校生徒の前で航空自衛隊について講演をしている。

理樹「…という訳であり…〜であるからして、私たち航空自衛隊は日本の空を守ってます。
ご清聴ありがとうございました。」

喋り終えると、盛大な拍手を受けた。

理樹「以上で話は終わりますが、何か質問はありますか?何でも構いませんよ」

すると生徒の1人が、手を上げた。

理樹「はい、そこの君。お名前は?」

女生徒「はい、高崎千早です。直枝さんは何故自衛隊員になったのですか?」

理樹「私が自衛隊を志した理由は…幼少期に自衛隊に命を救われ憧れを持ち、国防に携わりたいと思い志望しました。」

千早「なるほどです。ありがとうございます。」

その後、2、3質問受けた後、再び盛大な拍手に包まれ体育館を後にした。


〜校長室〜

校長「いやぁ〜ありがとうございます。津田さん、お陰様で良い機会になりました。」

理樹「いえいえ、こちらこそ。あの子たちの誰かが入隊したら良いなぁと思います。」

校長「そうですなぁ…将来うちの学校から国防に携わる子が出てくると校長としても嬉しいです。」

理樹「そうですね。」

教頭「お茶が入りました。どうぞ」スッ

理樹「ありがとうございます。いただきます。」

遠慮なくそのお茶を飲んだ。
飲んでしばらくした頃だろうか…眠気が襲ってきた。いや…眠い…ナルコレプシーは完治したはずなのに…僕はそのまま眠りについた…


校長「彼らに連絡しろ。」

教頭「はい…」

ガチャッ

島谷「まさか、こうもあっさり捕獲できるとは思いませんでしたよ。ご協力ありがとうございます。」

校長「ここを血の海にしない約束は守ってくれるんだろうな?」

島谷「ええ、約束しましょう。」

教頭「早く帰ってくれッ!」

島谷「言われなくとも、退散しますよ。おい」

部下「はっ!」

島谷「それでは…ごきげんよう。」ガチャッ

教頭「校長…これは、犯罪ですよ…」

校長「仕方がなかったんだ!島谷め…やらなきゃこの学校の生徒の命を奪うと脅してきやがった…」

教頭「生徒の命と引き換えに…校長は立派です…仕方ありません…」

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〜都内某所〜

梨花「こちら、梨花。沙都子聞こえる?」

沙都子〔ええ、感度良好ですわ。〕ザザッ

梨花「標的の室長及び副長はどう?」

沙都子〔はい、今のところ動きはありませんわ。梨花こそ、吉本の動きはどうなんですの?〕

梨花「特に警戒した様子はないわね。」

沙都子〔こちらもですわね…あ、動きますわ!〕

スズ〔了解、そのまま追跡してください。〕

沙都子〔了解しましたわ。〕

梨花「沙都子、くれぐれも気をつけてね…」

沙都子〔分かってますわ!それでは…〕pi

沙都子は室長である岡本と副長の鈴木を追っている。私は、吉本の動向を探っている。
幼馴染である羽入は例の狙われている直枝2尉を追っている筈だけど…連絡が来ないわね。

ザザッピー

羽入〔こちら羽入、柳本さん応答願うのです!〕

スズ〔はい柳本、古手2曹どうされました?〕

羽入〔大変なのです!直枝2尉が何者かに拉致された可能性があります!〕

梨花「何ですって!羽入!アンタ…」

羽入〔すいません。校内には流石に入れませんでした…でも、怪しい人物を確認しました!データで送りますです!〕

スズ〔了解しました。仕方ありません…校内は我々も立ち入ることが出来ません。データ転送確認しました。引き続き監視をお願いします。〕

羽入〔了解しました!ザザッ〕pi

梨花「柳本さん…羽入が申し訳ありません…」

スズ〔大丈夫ですよ。これも想定内です…〕

梨花「え?そうなんですか?」

スズ〔はい、こんな事もあろうかと直枝2尉の時計に発信機を付けてあります。〕

梨花「そうでしたのね…取り乱してごめんなさい。」(流石、防衛省ね…)

スズ〔安心してください。いま、別の隊員が直枝2尉の行方を追っています。ですので、梨花さんは自身の任務に集中してください。〕

梨花「了解なのです。」

私は吉本を尾けた。尾行中、何度か気配を感じたが任務続行のため気づかないフリをしていた。恐らく、情報本部の人間か…川澄警視が言っていた、公安の人間だろう…公安がマークするとか相当やばい奴ね。
直枝さんが連れ去られた事を川澄警視に話すべきなのだろうか…

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〜某埠頭倉庫内〜


理樹「ん…ッ…ここは?」

島谷「目が覚めましたかな?直枝さん」

理樹「島谷さん…ここはどこです?」

島谷「そうですね…とある埠頭にある倉庫とでも言っておきましょう。」

理樹「最初から僕を拉致するつもりだったのか…目的は何だ!?グッ…」

僕は近くに居た男から蹴りを浴びた。

男「あまり、調子に乗るなよ若造が…お前さんの生殺与奪は俺たちが握っているんだぞ。」

島谷「という訳だ、大人しくしていてもらおう。もうすぐVIPのご到着だ…」

ゴゴゴゴゴッ

鋼鉄の扉が開き…見知った顔の男が倉庫内に
入ってきた。

理樹「貴方は…」

中田「いやぁ、島谷君 遅れてしまったよ。」

島谷「はっ!中田空将、お早いお着きで…」

中田「それにしても殺風景なところだねぇ」

島谷「申し訳ありません。人目につかない場所がなかなか無くて。」

中田「構わんよ、それより彼はどうしたのかね?せっかくのベビーフェイスが台無しだ」

島谷「はっ、小学校講演会後に拉致しました。」

中田「直枝君だったね。」

理樹「中田空将…貴方はそちら側の人間だったんって訳ですね…」

中田「人聞きが悪いなぁ、直枝君…私は彼等が外交するにあたって手助けをしているだけだよ。それに、君も何かコソコソ嗅ぎ回ってるそうじゃないか…」

理樹「ええ、そうですよ。熊岡3佐の死が不自然すぎましてね。」

島谷「よく、「触らぬ神に祟りなし」と言ったものだ…首を突っ込まなければ君も死ぬことがなかったのになッ!」バゴッ

理樹「ぐはっ…ッ」

僕は意識が遠のいていく感覚を覚えた…

中田「こらこら、殺すなよ?彼には人質になってもらわんといかんのだからな。」

島谷「分かっております。殺さぬ程度に痛めつけております。それに、そろそろ彼等が…」

岡本「遅くなりました。中田空将」

中田「おお、来たか岡本君、それに鈴木君」

鈴木「お久しぶりです。中田空将」

中田「技研での研究はどうかね?順調かね?」

岡本「ええ、お陰様で」

中田「それは良かった。上の目を盗んで韓国と手を結んだ甲斐があったよ。」

岡本「それは、何よりです。」

しばらくすると、韓国人らしき男が数名来た。
そして、中田空将に声をかけ始めた。

韓国人「ハァイ、ナカタサーン、キョウハヨロシクオネガイシマース!」

中田「よろしく、Mr.シウ 早速ですが、例のお金は用意できてますかな?」

シウ「コチラニィヨーイシテマース!」パチン

シウの部下の男達が大きめのアタッシュケースを数個運んできた。
その中には、一万円札の束が何百束と入っていた。


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〜倉庫街〜

中田空将の後を尾行してたら、大変な場面に遭遇してしまった…かつての部下である直枝が…

柊甫「まずいな…しかし、ここはどこなんだ。」

私はバレないように、監視を続けた。

柊甫「直枝…死ぬなよ…お前に死なれちゃ俺は樹の墓前に立てなくなる。もう、知り合いが死ぬのはたくさんだ…」


〜同じく倉庫街〜

羽入「直枝2尉のビーコンを頼りに、倉庫街に来ました。直枝2尉を発見しましたッ…でも…」

スズ〔了解、でも?〕

羽入「直枝2尉、男数人に酷く暴行を受けているのです!顔も痣だらけなのです…」

スズ〔何ですって! あ、すいません…それで、詳しい状況は?〕

羽入「はい、あれは…映像送ります!」

スズ〔了解!〕

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〜情報本部〜

羽入から送られてきた映像には衝撃的なものが写っていた。
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男「オラァッ」

理樹「ぐはっ…」

中田「直枝君…君も災難だったね。」

岡本「大人しくしていれば良いものを…」ゴッ

理樹「ゲホッゲホッ…」

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スズ「こいつら…部長ッ!」

矢矧「SFはどうなった?」

通信担当官「はい、吉本を捕らえたそうです。」

矢矧「了解した、至急SFをこの倉庫街付近にて待機させろ。」

通信担当官「了解ッ 本部からSF」

隊員〔こちらSF 〕

通信担当官「至急、都内〇〇倉庫街に向かわれたし。作戦概要については後ほど説明します。」

隊員「SF了解。」

通信担当官「部長、SFを倉庫街に向かわせます。」

矢矧「了解、こいつらが移動する前に現場を押さえるぞ!」

スズ「映像、続きが届きました!主モニターに回します!」

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シウ「ナカタサーン、ヨキョウハイイデース。ソレヨリモハヤク、ジッケンヲミセテクダサーイヨ!」

中田「分かってますって。そう急かさないでください。せっかちな男は嫌われますよフフフッ」

シウ「ソウデスネー、マチマース トテモワクワクシマース。」

鈴木「室長…吉本に連絡がつきません。」

岡本「何?本当か?」

鈴木「ええ…太田主任開発担当官も繋がりません。」

岡本「チッ…やられたか…まぁいい私と君だけでも改革を成し遂げるぞ」

鈴木「はい!」

中田「どうしたのかね?岡本くん、鈴木くん」

岡本「いえ、何でもありません。お待たせしました。始めましょう。」ウィィィィィィン

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矢矧「奴らめ…韓国人と手を組みやがったか…」

スズ「しかも、現役の小松基地司令まで…神田1佐の情報は確かでしたね。」

矢矧「ああ、ん?何だあれは?」

スズ「え…」

タカトシに妙な装置が向けられていた。

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シウ「ヘイ、ナカタサーン、コノソーチハ何デスカー?ブラックボックスデスカー?」

中田「これは電磁波発生装置と言いまして、一時的に強力な電磁波を発生させる装置です。 まずは、彼を使って実験をします。見ていてください。おい」

岡本「はい」

岡本1佐がボタンを押そうとした瞬間

柊甫「ヤメロォォォォォォォォ!」バッ

岡本「ぐはっ…」

鈴木「何だ!?」

中田「お前は…安村ッ!」

柊甫「お前らが…お前らがアイツを殺したのかッ…俺は許さんぞッ」

島谷「飛んで火に入る夏の虫だな。安村2佐」

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羽入〔大変なのです。1人乱入者がッ〕

スズ「あれは…」

矢矧「なぜ、安村2佐が!?まずい…SFは今どこにいる?」

通信担当官「現在、品川から大崎上空です。後5分で現着します!」

矢矧「急がせろ!」

通信担当官「了解」

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〜倉庫街〜

私のいる場所からは1人の男が倉庫内に入っていくのが見えた。

梨花「そんな、無茶よ…」

沙都子〔梨花、応答してくださいまし。〕

梨花「こちら梨花、沙都子…直枝2尉を助けに1人の男の人が…」

沙都子〔それは誰なんですの!?梨花ッ〕

梨花「分からないわ…でも、中田たちとは顔見知りのようね…」

沙都子〔梨花、その人もしかして安村2佐じゃございませんこと?今、写真を送りますわ。〕

沙都子から送られてきた写真は、先程単独で突入していった男の人そのものだった。

梨花「この人よ…直枝2尉を助けに…中へ…」

沙都子〔なんて事を…わかりましたわ。梨花はそのまま待機してくださいまし、私も直ぐに向かいますわ!〕pi

梨花「沙都子…早く来て…」

そう願っていると、倉庫が見えるビルのベランダにとある人影が見えた。あれは…見覚えのある顔だった。

梨花「何で…」




     続く…
   

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