はじめての入院、膀胱結石の診断

生まれて初めて経験する事は、年を経るごとにだんだんと少なくなってきます。47歳で私は生まれて初めて入院と外科手術を受ける事になりました。その理由は「膀胱結石」。結石の事をダラダラと書いています。


最初の兆候は健康診断結果からでした。普通に会社がやってくれる年1回の定期健康診断の結果が初めて良くないものでした。白血球の値が異常に高い事と血尿があるとの事。「精密検査をうける事」との記述があり、何となく不安になって翌日近所の泌尿器科へ行く事にしました。


思い当たる事は特に無かったのですが、血尿は正直よくありました。激しい運動をすると、その後のトイレでロゼワインかと思うような色で出てきてたりしてました。でも時間を経過すると普通の色に戻っていたのでそれほど気にはしていなかったのですが、今回は合わせて白血球の値が高い事が気になった為です。


<近所の泌尿器科へ>
翌日有給休暇をとり、時間に余裕をもって近所の病院に来ました。社会人になってからはほとんど病院のお世話になる事もなく過ごしていた為、診療所の独自ルールが全然分からない中に放り込まれた感の中で待つ事になりました。さながら部活の新入部員のようです。先輩部員は主におじいちゃんが多く40代は新入りそのものです。初診の質問票に回答し、検尿をして待つ事約40分。診察室から名前を呼ばれて入っていきました。


健康診断結果の用紙を渡し、白血球値と血尿を見た先生は、もうすでにあたりをつけたかの様な素振りです。シャツをめくりお腹を見せて、ゼリーをつけてもらい超音波(エコー)で私のお腹の中を画面を通して見ています。


『あー、いてるね』との先生の言葉に対して「?」と私。『石がありますよ』と教えてくれました。結石というと無茶苦茶痛い痛いというイメージがあった為、「今まで痛くなった事、全くないのですが。」と話すと、先生は、恐らく膀胱内で育ったものと思われる。石が膀胱の壁を傷つける事で血が出て血尿となり、傷を修復する為に白血球値が高くなったと思います。激しい運動をするとそれだけ石が膀胱内で動くからその分壁に傷がつきやすくなって血尿になるんですよというとても分かりやすく論理的な説明をいただきました。でも膀胱内に本当にあるか確認する為にエコーだけでは分かりにくいのでレントゲンを撮りますね、と言われレントゲン室へ。石が膀胱の中以外にあるケースであるんかいな?と思いながらもレントゲン結果は『はい、膀胱内にあります。大学病院の紹介状を書きますから早めに行って診てもらってくださいね』と言われて診察が終わりました。再び待合室に戻り紹介状を待ちます。診察室に入るまでは待合室は勝手が分からず新入部員のような落ち着きのなさでしたが、大学の紹介状がいるような病気とわかり、待合室に戻って来た時には気持ちは「新入部員がすぐにレギュラー獲得」並みの落ち着きで紹介状を待つ事になりました。(病気にすごいもすごくないも無いのですが)レントゲン結果と紹介状をもらいその日は帰宅。会社には翌日も有給休暇申請を出して大学病院に行く事にしました。とにかく「身体から出てくれるものか?」とそればかり気にしてネットで調べまくりました。


<大学病院へ>
大学病院はさすがに色んな方が待合室でまっています。部室ではなく、県大会の控室会場みたいなもので、みんながお互いの力を推し量る様に、探り探りしているかのように静かなものです。一部の患者さんは看護婦さんと仲良く話をしています。こんな人は第一シードの選手みたいなものです。約1時間ほど待っていたらようやく私の名前を呼ばれました。


受付で渡していた一式書類が既に先生の手元にあり、先生はある程度読んでいただいたのでしょう。ほぼほぼ膀胱結石で間違いはないとの診断でしたが『見てみましょう』とおっしゃいます。いやいや、レントゲンもあるし、エコー画像もあるし、それも昨日撮影されたばっかりだから間違いないよ、これ以上どうするの?と思って「どうやって見るんですか?」とお聞きしますと『内視鏡で』と軽い感じで返事がありました。何せ病院あんまりきた事ないし、大学病院はじめてですし、内視鏡は単語としては知ってるけれど、この結石をみるのにどうやって?と思いほぼオウム返しで「内視鏡で?」と聞き返したところ、『先っちょから内視鏡を入れて、膀胱内を見ます』と。その先っちょって、私の”あれ”です。理解出来るけれどイメージがついて来なくて恐怖しかありません。



先生と一緒に診察室から別の診察室に移動します。その距離はたった3メートル。もっと長い距離を歩いたような気がします。『とりあえず、ここでズボンとパンツを脱いでバスタオル巻いて待っていて下さい。』ここまでくれば、「はい」としか言えません。素直に従います。指示された通りにパンツを脱いでバスタオルを巻いて待つ事、数十秒。『ここに座ってください』と言われて座ります。周りに数名の看護師さんがいますが、見られて恥ずかしいとかそんなのはなく、兎に角これから何の儀式が始まるのか?くらいに不安になります。



〈内視鏡診察〉
先生は、バスタオルの中から私のあれをつまみ『先っちょに麻酔のゼリーみたいなのを塗りますね。1分くらいで麻酔が効いてきますから』と言うやいなや、手際良くゼリーを塗ります。でも1分経ってないのに、『じゃあ入れていきますよ』と内視鏡を挿入します。自分からは、あの黒いケーブルの一部だけが見えるだけ。入っていく感覚は、異物が入ってくるものの、今までにない感覚。途中で痛いっと言っても所詮どうすることも出来ず。看護師さんは『力を抜いて、深呼吸して』と優しく声をかけてくれます。その通りにゆっくり呼吸しますがよくわからない。途中先生は『あー、ここちょっと狭いから痛いかもね』と言いながらも、スピードは全然変わりません。本当に痛い。痛い。でもどこにも逃げれない。そして痛みがなくなったのか、痛みに慣れたのかくらいの時に、『あー、見えた。いるね。大きいね。』と言って映し出された膀胱内を見せてもらいました。看護師さんの1人が『わあ、大きい』と言うと周りの看護師も続々と集まります。映し出されたのは、綺麗なピンク色の膀胱壁とその壁に貼り付く直径約2センチの結石。結石は茶色と白色とが混ざり合っています。恐らく茶色が古くからあるもので、ひとつひとつは、二等辺三角形の形をしたものが折り重なっています。全体的な形は丸みを帯びているものの、ひとつひとつが尖っている為、この三角形の角が膀胱壁を傷つけていたんでしょう。その隙間に白いものが詰まっている様です。最近出来た結石の素みたいなものが、茶色と茶色の隙間にうま〜くハマっていってるようです。結果直径2センチ。オーディエンス看護師さんからは、「うわー」と歓声なのか何なのかとにかく声が上がります。自分自身含めて一通りの人が画面越しに私の結石を見たあと、内視鏡を抜いて儀式は終わりました。『はい、このタオルで身体を拭いて、ズボン履いてもらってまた診察室に戻ってきてくださいね』と先生は軽くおっしゃって先に診察室に戻りました。さっきまで集まってたオーディエンス看護師さんは、あっという間に自分の仕事に戻られます。画面に映る膀胱内の石には興味があっても股間に興味のある人は誰もいません。そして誰もいない空間でゼリーと生理食塩水でビチャビチャになった股間を拭きながら、とにかく終わった事に安堵していました。いや、結石が分かっただけでどうやってこの石を出すのか?という解決策を聞いてないのですが、兎に角結石を画面越しに見ることで安心したのが本音です。



〈手術の決定〉
『手術の日程を決めましょう』と診察室に戻ってすぐに先生はおっしゃいます。『今、空いている日はね〜』と言いながらカレンダーとにらめっこしてます。いやいや、手術内容は?って話で。そこをまず聞きました。


『経尿道的結石砕石術』
簡単に言うと、オシッコと一緒に出てくる大きさではないというのが前提。次に身体の外から石をめがけて超音波をあてて破壊する方法もあるそうですが、先生が説明してくれたのは、内視鏡で尿道を進み、レーザーで石を破壊して細かくしてから、つまんで取り出すとの事。また内視鏡か…っていう感じです。それが確実という事なので、反論の余地もありません。


一番早くて2週間後には出来ると言うので、もうそれでお願いします、とお願いして人生はじめて手術を受ける事になりました。金曜日にPCR検査を受けて陰性である事を確認してから、週明けの月曜日に入院。この日は歯の治療や麻酔科の先生からの説明を受けました。全身麻酔が局部麻酔かでさんざん迷いましたが、手術時間が1.5時間くらいとの事で、これは尿道に内視鏡が入っている間の時間としては長過ぎる、我慢できない心理状況になってもどうする事も出来ないから全身麻酔でお願いしました。


その後は、夜ご飯をいただき、ひとりでゆっくりと過ごす時間の中で不安になりながらも早く石が無くなってほしい、それだけを祈ってました。


翌日火曜日の午後1時過ぎくらいから手術の開始。手術室に入り、眼鏡をとり指輪を外します。『じゃ、これから麻酔していきますね。目の前がボーっとしてくるからね』と言われて点滴がスタートしますが、麻酔ってそんなに早く効くの?と思っていたら…マジでした。いつの間にか寝てて、目が醒めたら手術が終わっていました。そして私の股間には、カテーテルがつながっています。そこから見えるのは真っ赤な液体。多分石が出ていく時に通り道(尿道)が傷ついたんでしょう。


ここから2日間は、カテーテルが取れません。この時間がほんとうに長かったです。身動き取れないし、カテーテル繋いだまま、歩けるけど痛いんです。股間が。管に引っ張られるんです。一回レントゲンを撮る必要があり、レントゲン室まで歩いたのですが、一年分のあぶら汗が出ました。


カテーテル取る時も先生が、勢いよくするので痛かった事!とはいえ、後は退院目指して水分を取ってオシッコを出していきます。オシッコを全量取ってガーゼに濾して全部保管します。基本ロゼワインなのですが最初の頃は、血の塊がボコッと出てきました。石でも無さそう。血が固まってるのか?尿道で出来たのか、膀胱内なのか?分かりませんが、これがつまる事でオシッコ出なくなったらどうしようとかなり不安になり、水分をとるようにしました。最初の頃は、砂みたいなものが沢山混じっていたと思います。また、オシッコの都度、尿道が痛かった。退院する日まで痛みは続きましたが一週間で退院する事が出来ました。退院後数日は1日20回くらいトイレにいってました。(退院して5日後に、転職活動でリアル面接を受けましたが、面接半分、トイレ半分の気持ちでした)


最後に、結石は再発し易いと言われます。水分は常日頃から摂るようにしましょう。私は膀胱内に石があったケースで痛みはありませんでしたが尿管に石が詰まると本当に痛いそうです。健康第一です。駄文を最後まで読んでいただきありがとうございました。

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