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『親不孝介護 距離を取るからうまくいく』を読んで

 この本はつらくしんどい、出来れば目を背けたいと思われがちな「介護」というものの固定概念がガラリと変わる本なので特にまだまだ親の介護なんて無縁だな、と思っている若い人にもぜひ読んでいただきたいな、と思っています。


書籍の編集者である山中浩之さん(この本では実際にお母様の介護に直面するYさん)がNPO法人「となりのかいご」代表の川内潤さんにご自身の体験談を挟みながらインタビューしていくうちにまさに《目から鱗》の介護に対する心得を読者とともに発想転換していく、この手の本に多い「こうした方がよい」「それは間違いでこれが正解」というようないわゆる指南書ではないので非常に抵抗感がないのです。

 本の“はじめに”で山中さんは「介護=親のそばにいる=親孝行」という強固なイメージが多くの方が悩んでいる原因であり、これを打ち破れば介護はグッと楽になれる。親と適切な距離を取ること、近づきすぎないようにすること。しかし「そばにいる=親孝行」のイメージがあるため難しい。
そこで距離感を忘れずにいるために、あえて「親不孝介護」という言葉を作ったそうです。

この「親のそばにいるのが親孝行」というイメージ、実は私の身近にいる人間がまさにそのイメージに強固に捉えられています。
それは、、、義母と夫です。

義母は「自分の息子(および嫁)が面倒をみるのが当然、施設なんて絶対入らない!」その思いを夫は引き受け、母親の最後のわがままだからと同居に踏み切りました、、、。

いまだにいるんですねぇ。高齢だからというより地方出身の人の方が多いのでしょうか?義父が苦労して購入した土地を子どもに渡したい、とか。義母は決して長男の嫁である私をイビるようなタイプではないのですが。嫁である私に面と向かって「私の面倒みてね」「私の様子をちゃんと見てて」と言います。私は嫌です~面倒みませんよ、と言っているのですが、、、笑
どうやら自分より若い(と言っても60~70代)ご近所の方々にも「私の面倒みてね」と言っているらしいです。う~ん、、、。

編集のYさん(山中さん)はご家族と東京暮らし、お母様は新潟にお住まいの微妙な距離感。そして一人息子さん。「となりのかいご」代表の川内さんはそれはとてもいい条件だとおっしゃいます。離れて暮らしているからといってすぐに自分の住む場所の近くに呼んだり一緒に住んだりしてはいけません、とおっしゃいます。親を思うあまりどうしても自分の生活を壊し、ついには親を憎むようになる、と。うむ。公的な介護サービスを上手く利用するためにはどうすべきか、という難題を親御さんの状態が深刻になるうちに早めに解決策を考えましょうと提案してくれます。あと兄弟がいる場合どんなに普段から仲が良くても親の介護となるとどうしても負担の重さに差が出てしまいますよね。何で俺が~とか。一人っ子だと相談も出来ずに一人で抱え込みそうなものですがあえてよかったとおっしゃる。

Yさんのお母様とのドタバタ?介護サービス体験談がとてもわかりやすく、少しユーモラスに描かれているのが微笑ましいです。はたから見ているからでしょうか?言い方は悪いかもしれませんが外面の良いお母様にいかにおだててスムーズに公的サービスを受け入れてもらえるか、Yさんの必死の努力を川内さんは絶賛されています。

あと会社という組織の中で仕事ができる人ほど、介護でも完璧を求めて資格を取るほどに極めようとしてしまう方に警報を鳴らしています。安易に仕事を辞めてまで介護に専念する必要はないのです。

さて、義母の思い通りに同居を決めてしまった、自ら地獄への道?に進もうとしている私たち夫婦は今後どうしたらいいでしょうか。

その場合親も子も同居だからと安心しがちですがそれがいけません、と川内さんはおっしゃいます。「子どもがいるから外部のサービスは受けません」となる。そうなると子どもに負担がかかる。

同居している人は親の様子を「あえて見ない」努力をしませんか(!)それが選べないなら親が元気なうちに「適切な距離を取るための丁寧な会話」ができると良いそう。

誰だっていきなり“自分で生活できなければ施設に入れ”と言われるのって嫌ですよね、、。親と会話を通してこれから先どうしたい?と聞くことによって自分の親が生活の中で何を大事にしていこうとしているかが見えてくる。そうすると子どもの不安感が下がるそう。

「親は一人の人間であり、私とは違う欲望を持って、それに殉じた人生を送りたがっているのだ」と理解するために距離を取ることが必要、であることがわかりました。

しかし休みの日や仕事帰り、やたら頻繁に一人仮住まいをする義母を訪ねたり電話を掛ける我が夫。

「だって今お袋倒れているかもしれないじゃんか!?」

、、、私は夫と距離を取りたいです~。

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