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数字(MQL)をコントロールすることの難しさと対処法

本noteはB2Bマーケティング Advent Calendar 2023および株式会社IVRy 紅組 Advent Calendar 2023へダブルエントリーしています。現在、株式会社IVRyでは紅白に分かれてAdvent CalendarのPV数を競い合っています。株式会社IVRy 白組 Advent Calendar 2023もぜひご覧ください。ともに、15日目のアドベントカレンダーです。
アドベントカレンダーの記事や感想に関してはXのハッシュタグ「#B2Bマーケアドベント」をご覧ください!


はじめに

こんにちは。IVRy(アイブリー)でマーケティングチームのマネージャーをやっている泉山(@izumiyama)と申します。なんだかんだでB to B SaaSのマーケ歴は7年を超え、改めてB to B SaaSのマーケの奥ゆかしさを感じながらカオスな毎日を奔走しています。
僕のプロフィール詳細は以下の記事をご覧ください。

数字(MQL)をコントロールすることの難しさ

僕の最初のキャリアは、2012年、伝統的な日本のメーカーの販売促進室でした。メーカーで「マーケティング」と言えば、商品企画をする部署のことなので、普段やっているWebの制作とか広告運用が世の中でマーケティングと呼ばれていることを知らないまま、なんとなくマーケターとしてのキャリアを歩みはじめました。販売促進室は、営業の後方支援的色合いの強い部署でした。KPIは結構真面目に法人向けWebサイトのPVだったりしました。PV目標なんてインドあたりで広告回したら、一瞬で達成できそうです(ダメ)。

そして、2016年春、2社目で、freeeに入りました。ここでは、マーケティングの意味合いが劇的に変わりました。事業の起点なのです。MQLが計画を割れば、後続のKPIは当然総崩れです。

この恐ろしくも、やり甲斐がある環境に飛び込んで、現在まで、多くの時間をマーケティングマネージャーとして、MQL目標と戦ってきました。現代の有力なマーケティングチャネルは、コントロールが非常に難しいものが多く、マーケターやマーケティングマネージャーのみなさまにおかれましても、さぞお困りのことかと存じます。

正直、急にGoogleの順位が落ちるのも、突然競合が入札を強めるのも、雨が降って幕張メッセの客入りが悪いのも、サービス名と同名の歌手の人気が出てきてNクエリを侵食されるのも、そしてMQLの進捗率について詰められても、知らんがな!!ですよね。

知らんがな!!ではあるのですが、事業計画は下がってきてくれないので、コントロールできないものをコントロールするのはやめて、別のことをして、なんとか目標を達成しないといけません。それが、マーケター、とりわけマーケティングマネージャーの仕事なのです。

今日は、これまでの苦しみとHack(通称:四苦Hack)の中で、編み出したTipsを書こうと思います。最近あまり記事を見かけない、メールの話です。正直、内容は薄めです。銀の弾丸はありません。我慢できるマーケターだけ、この先にお進みください。

ところで、アイブリーちゃんという、偶然にも弊社社名・サービス名と同名の方がいるのですが、めっちゃ歌上手いです。SEO上のライバルだけど、応援しています。このnoteも、ロビンソンを聴きながら、締め切り直前に、急いで書いていますw

メールマーケの魅力(本題)

頑張ってやっても、MQL的リターンの絶対量が少ないので、クローズしていたりテキトーに維持していたりする方も多いと思います。もしくは、MAベンダーにそそのかされて、複雑怪奇なナーチャリングシナリオを作って、100通くらいメールを書いて、何も成果が出なかったみたいな涙なしには思い出せない辛い経験をしたことがある方もいるかもしれません。

そんな中、僕がメールマーケを好むポイントが、いくつかありますので、紹介します。

1.安定感

なんといっても安定感が魅力です。メール送信枠に対して、競合が入札を強めてくることもないですし、同名歌手が流行っても、雨が降っても、CVRが下がるなんてことはありません。期待通りのMQLを回収しやすいです。

2.コスト

今さらなのですが、この記事で「メール」と呼んでいるものは多岐に渡ります。自社リストに対するメールも、外部媒体のメールマガジンに載せる広告メールも「メール」と呼んでいます。自社リストへのメールは、配信の度のコストは1通あたりはほぼ0円に近い(SendgridやMAを使っていることを想定して)ですし、外部媒体メルマガも驚くほど単価が安いものもまだ多くあります。大手メディアのメルマガや成果報酬制のメニューは、かなりLTVが高くないと合理性を見いだせないと思います。一方、業界特化型の小さい媒体やメガベンチャーによる新しいサブサービスには、お宝が眠っているように思えます。個別契約を重ねる工数を払えば、塵も積もれば巨大な配信分母を安く確保できます。
※IVRyがSMB〜Enterpriseまで、かつ業種も問わない(そこに電話機があればOK)、ホリゾンタルSaaSで、捨てるリードがほぼないからという、バイアスは多分にあると思います。

3.検証を回しやすい

2のコストの安さによる産物でもありますが、失敗したときに失うものが少ないです。

突然ですが、問題です。以下の左右のメールは、資料請求数÷送付通数をCVRとしたときに、どちらかのCVR水準を1としたときに、もう片方は3もあります。どちらのほうがCVRが高いでしょうか?

正解は、右です。正答率は6割くらいなんじゃないかなと思います。左は、メール冒頭にタップ(クリック)できるエリアが大きい画像が配置されているため、CTRは高いのですが、よく読まないまま無味乾燥なフォームに飛んでしまうので、フォームフィルアウトする理由がないんじゃないかなと思っています。

少しずつ仮説をもって、コスト安く、検証を回していきやすいのも嬉しいポイントです。

4.古いようで新しい(こともある)

改めてメール施策について書いてみると、随分、古典的なことをやっています。一方で、配信の媒体とクリエイティブの組み合わせは、無限にあるので、これを全部目視で確認するのは、現実的に難しいので、かなり細かい粒度までUTMパラメータを切って、BigQueryに送り込み、Looker Studioである程度デジタルに異常値(良い意味も悪い意味も)を検知できる必要があります。

またクリエイティブのパターンの制作も工数課題があるので、LLMを上手く使っていく必要があります。

弊社での実現はもう少し先になりそうですが、MAを使って、疑似1to1ではなく、真の1to1のトリガーメールを、きっと近い将来、送れるようになっている気がします。

いにしえから続くメールマーケも現代のテクノロジーでだいぶゲームチェンジが起きているように思います。

5.サービス名と同名の歌手の人気が出てきてNクエリを侵食されて、未達になりそうな週があったとして、その週にメールを送って取り戻すことができる

これが一番大きいかもしれません。インバウンドマーケティングは素晴らしいと思うし、どちらかというと、ずっとSMBマーケばかり、つまり検索ボリュームがそれなりに多いニーズに向き合ってきている僕はインバウンドマーケの熱烈な信者だと思います。しかし、前半述べた通り、インバウンドマーケは短期で見ると、知らんがな!!と思う事態に遭遇する確率が相対的に高く、不安定化することも珍しくありません。そんなときに、プッシュで刈り取りができるメールチャネルは、メインのインバウンドチャネルの補完的チャネルとして、最高に相性が良いと思います。

オンラインマーケに毒された読者の方の中には、そんなときはGDN・YDNぶっ放せばいいんだよという乱暴なご意見の方もいるかもしれないですが、記事内やフィード内のバナーは景色として読み流されてしまうのが惜しいところに思います。メールは読み物として読まれるから、伝えたいことが伝わって、その後の課金率も一般的に高くなるように思います(弊社の場合はインバウンドと変わらないです。媒体によって、想定外に下がるときは、MQL判定が覆されますので、媒体特性の見極めも重要です)。

雨が降っても、Googleが暴れても、どんな非常事態が今後発生しても、きっちり耳を揃えてMQL目標を倒せると思えるのは、メールチャネルが、あるからです。

おしまい

俯瞰してみたときに、実は、見捨てられているけど価値があるチャネルって山ほど眠っていると思います。世の中を塗り替える方法を必死に考えると、きっと、自社のプロダクトに合った素敵なチャネルが見つかるはずです。

今日は見捨てられがちで可哀想だったからメールの話ばかり書きましたが、僕は、メール信者ではありません。メールに代表されるようなテールのチャネルにも張って、ポートフォリオはできるだけ分散させて、知らんがな!!と叫びたくなるあらゆる事態への耐性を高めることが数字(MQL)をコントロールすることにつながると思っています。

大変ですが、IVRyは、展示会も手紙もメールもSEMも、全部やります。みんなで知らんがな!!と叫びながら、助け合いながら、なんとか大きな山を登っています。

途中でも述べましたが、IVRyは真にホリゾンタルで捨てるリードがないので、ありとあらゆるマーケ的スキルを受け入れ、自分たちのポートフォリオを強くできると思っているので、SaaSマーケなんて未経験で、今日のこの記事の横文字も意味わからんよ〜というような人でも、少しでも興味を持っていただいたならば、ぜひ一度カジュアル面談にお越し(オンライン)いただけたらなと思います。

余談(読まなくていいです)

ところで、この記事のサムネイル、AIが描いたクリケットの試合風景が、塗り30%で一部組み込まれています。なんですかこれ?

この記事、元々は「2028 लॉस एंजेलिस ओलंपिक में जापान का क्रिकेट के प्रति उत्साह: अंतरराष्ट्रीय प्रतियोगिता की नई आश」というタイトルの日本でもクリケットが盛り上がっているという主旨のヒンディー語の記事でした(!?)。その名残です(!?)。ヒンディー語のクリケットの記事をこの度、日本語で上書きしたものが、今お読みいただいているこの記事です(!?)。

インド(MetaのDAUが世界一らしい)で、ごく少額のMeta Adsで着火して、多くのインド在住のみなさまにお読みいただきました。

これにより、冒頭で述べた紅白に分かれてAdvent CalendarのPV数を競い合っている戦いの勝利を確定的なものとしました(ダメ)。

めちゃくちゃ芸術点の低いやり方ではありますが、本業にも活かせそうないくつかの教訓が含まれます。

普通はやらないことは、みんな普通はやらないので、やれば競争力の源泉になりうる

  • メールの細かい改善も

  • ちりつも大量の個別契約も

Key ResultsではなくObjectiveが重要

  • PVはあくまでKRであって、Objectiveは採用であり、僕を育ててくれたエコシステムへの知見の還元である

  • つまり、現時点においては日本語を使う人に読まれないと本質的には意味がない

  • "MQL"と呼ばれるKRを追うときは、しっかりとQualifiedのクライテリアで制約をかけないと、芸術点の低い暴走が起こるリスクがある

    • 今回ほど酷い暴走はないにしろ、全然SALにならない"MQL"を稼ぎまくってしまうことはカジュアルに起こる

余談が、長くなりました。お決まりの宣伝と次回予告をして筆を置きます。ご清読ありがとうございました。

カジュアル面談、大募集中です

IVRyに興味を持って頂いた方は、採用ページを見ていただいたり、カジュアル面談の応募していただいたり、お願いします!

どんなオフィスやお店にも1台は電話機があると思います。
スマートフォンはどんどんアップデートされているけれど、オフィスやお店にある電話は、何十年も機能据え置きの機能も固定の電話です。

そんな機能据え置きの固定電話を、電話番号もそのまま、ハードウェアもそのままにAI搭載にしてしまうのがIVRyです。そしてAI搭載になった電話が、人手不足に悩むみなさんの代わりに予約を取ったり、質問に答えたり、電話が鳴る前に業務を完結させてくれます。かなり雑な説明ですが、嘘ではなくて、スモールビジネス〜誰もが知っているような大企業まで、すごい速度で浸透していっている面白いサービスです。

身も蓋もない話ですが、向き合う市場が大きくて、伸びていれば、中長期的には広げたマーケティングチャネルは順風を受け続け、拡大していくと思います。

つまりは、今日述べたようなミクロな施策の前に、向き合う市場がそもそも重要だと思います。一方で、そんな魅力的市場には強いプレイヤーがいっぱい集まり、企業間の戦略レベルの同質化が起こっているように見えます。自分がやる意味とは・・・と感じる日もたまにはあるかもしれません。

IVRyの向き合う市場も、きっと同じことが5年後くらいに起きると思いますが、今はまだユニークな存在として、電話を起点とする業務フローを解きまくれます。とりわけやり甲斐がある市場であると思います。

獲得マーケに閉じず、世の中を塗り替える最適だろうルートを様々スキルを持ったみなさんと、探していくことが楽しみです。

明日は、B2Bマーケティング Advent Calendar 2023 は、SaaS事例のモジカク代表の大木 一真さん(@ooki_kazuma)で株式会社IVRy 紅組 Advent Calendar 2023は、私にとっては2度目の同僚でインサイドセールスのリーダー・Keisuke Kudo(@kudok779) の記事です!ぜひお楽しみくださいー☆