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嘘くさい物語でノート指導・後編

 月・火曜は学校教育の話です。今回は、前々回や前回の続きで、国語のノート指導について書きます。
 今回紹介するのは、「ん」以外の一画で書ける平仮名を全部学習した後の授業です。
 最初に、ノートを開かせて日付を書かせました。その後、

 「今日も、お話を作ったから、ノートに言葉を書いてください」

…と説明してから活動開始。
 まず、ノートに「しろ」と書かせました。全員書いた事を確認した後、1マス空けて「のしのし」と書かせます。その後、

 「大きなお城さんが散歩に出かけました。
  元気よく、のしのし歩きます」

…と語ります。
 次に、隣に「しろ」と書かせた後、1マス空けて「のそのそ」と書かせました。ここでは、

 「お城さんは疲れてきたらしく、歩き方がのそのそしてきました」

…と語ります。
 そして、また隣に「しろ」と書かせ、1マス空けて「のろのろ」と書かせてから語ります。

 「お城さんはくたびれちゃったようです。
  もう、のろのろとしか歩けません」

子供たちの中には、「全部『の』が付いてる」と言う子もいました。
 それから、またまた隣に「しろ」と書かせると、「また『の』の付く言葉でしょ」と言ってくる子がいます。そこでニヤッと笑って、「くてっ」と書かせます。意表を突く展開に、ちょっと子供たちは驚いた様子でした。

 「とうとうお城さんは、くてっと倒れてしまいました。
  お城さん、ピンチ!」

…と語ると、ノリの良い子が緊迫した表情になります。
 因みに、小さな「っ」は教えていませんが、「つ」自体は教えているので何とか書けます。私は、これはアリだと思っていますが、厳密に言うとダメかもしれません。
 ここで、またまたまた隣に「しろ」と書かせると、1マス空けて「のって」と書きます。「えっ?」と言う表情の子供たちに語ります。

 「とんでもなく大きなトラックさんがやって来ました。
  そして、お城さんに『乗って』と言ってくれました」

 ホッとした表情の子を見ながら、いよいよ最後です。「しろ」と書いた後、子供たちに聞きました。

 「お城さん、何て答えると思う?」

 ノリの良い子供たちが口々に言います。「乗りたい」とか「乗せて」とか言うので、「『た』は習ってないよ」とか「『せ』は習ってないよ」と答えました。すると、「乗る」と言う子がいたので、「ピンポーン! 正解!」と言ってノートに「のる」と書きます。

 「お城さんは『乗る!』と言いました。
  そして、大きなトラックさんに乗せてもらいました。
  お城さん、良かったね」

 今回もハッピーエンドなので、子供たちも安心した表情です。 
 この後、書き終わった子供たちと一緒に、ノートに書いた言葉を読みました。合間に、再度、物語を伝えていきます。

 全員「しろ、のしのし」
 教師「大きなお城さんが、のしのし歩いて散歩に出かけました」
 全員「しろ、のそのそ」
 教師「お城さんは疲れてきて、歩き方がのそのそしてきました」
 全員「しろ、のろのろ」
 教師「お城さんはくたびれて、のろのろとしか歩けません」
 全員「しろ、くてっ」
 教師 「お城さんは、くてっと倒れてしまいました。ピンチ!」
 全員「しろ、のって」
 教師「トラックさんが来て、お城さんに『乗って』と言いました」
 全員「しろ、のる」
 教師「お城さんは『乗る!』と言って乗せてもらいました。良かったね」

 やってる事は、書ける言葉をノートに書き、習った文字の練習しているだけです…が、ただ書かせるより楽しく取り組めます。実際、ノートを使った練習になると、「やったぁ」と言っている子もいました。
 これが絶対に良いとは言いませんが、こう言う方法もアリかな…とは思います。

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