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小市民ギャップも愉快な『オーバーロード』

 木曜はライトノベル…と言う事で、前回に続けて『オーバーロード』の話です。因みに、前回の記事はコチラ(↓)を御覧ください。

 念のため、ざっくり内容を紹介しますと、少し未来の日本からゲームの世界に転生した主人公モモンガ(途中からアインズに名前を変更しますが、この記事ではモモンガで統一します)。彼は圧倒的な力を使い、自分たちが作り上げたギルドを守るため、転移(転生?)した世界を支配すべく動き出します…と言う物語です。
 ところでライトノベルでは、往々にして有りがちな主人公設定があります。例えば、「主人公は自分に自信がない」とか、「主人公は恋愛感情に鈍感である」とか、「主人公は世の中の常識に疎い」とか…まぁ、そんな感じの設定です。
 そんな主人公設定の中に、「主人公は気が小さい」というものがあります。『オーバーロード』の主人公モモンガ…正にソレです。
 現実の世界でのモモンガは、どこかの企業に勤める一般人にすぎません。別に役職がある訳でもない、ただの平社員です。だから、転移した世界では圧倒的な強者であるにも関わらず、心は小心者の一般人である…このギャップが、何とも言えない面白さを生み出しています。
 ネタバレになりそうなので詳細は書けませんが、小市民的に挨拶に行ったら、相手が深読みしすぎて降参する事になったり、自分が気付いてない事を誤魔化すために言った言葉が、相手には深遠な発言をしたと受け止められたり…随所に、そんな話が織り込まれています。
 前回の記事で紹介した様に、どちらかと言えば悪役が主人公の『オーバーロード』。ともすれば、凄惨で暗~い物語になりそうな展開が続きます。
 しかし、この小市民的なギャップがある事で、何とな~く場を和ませ、ぎりぎりポップな雰囲気の物語にしてくれています。
 とある漫画作品の中で漫画家の大和和紀先生が、「面白さというのは、本人が真面目に行っている事が、現実との間にギャップを発生させている時に生じる」的な発言をされています。『オーバーロード』を読むと、「確かに、その通りだなぁ」と感じさせられるのです。

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