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40代膵臓がんサバイバーです [6]

〜前回のあらすじ〜
運命の月曜日。医師より膵臓がんであることを告げられ、その場で手術を行う意思を伝える。一週間後の手術に備え一時退院し、義家族や会社への挨拶を済ませ、ひとときのお休みを得る。


手術に向けていよいよ入院

月曜日、入院の日です。
入院してしまうとしばらく外食ができないと言うことで、病院へ行く前に使うものの買い足しも兼ねて、ショッピングモールへ寄ることに。
買い物を済ませて、早速レストランのフロアへ。色々と食べたいものもあったのですが…この時は結局オムライスを選びました!!(笑)
意外とシンプルなもの選んじゃうもんなんですかね〜こんな時ほど。しばらくお預けになる外食と家族との楽しいひと時を噛み締めて、病院へ。

手続きなどを済ませ病室へ。今回は大手術なのもあり、大部屋での経験も踏まえひとまず一番安い個室へ入りました。
大部屋は他の方への配慮も当然必要なのですが、間違いなくそれどころでは無くなるだろうと思ったのと、トイレの問題です。遠くもないのですが、移動が幾分あるなどの理由で個室を選びました。これは自分的には正解だったと思っています。手術後のトイレは本当に重要でした。


入院のレクリエーション的なやつと『ヒヤリ・ハット』

看護師さんから治療方針などにまつわる説明を受けて、夕方、麻酔師さんからの説明がありました。

麻酔に関しては大事な確認事項がありました。自分は別の持病で『血がサラサラになる薬』を飲んでいました。検査入院する前の体調が本格的に悪くなったあたりからなんとなく飲んでなかったのですが、もしこれを手術前まで飲み続けていたら手術ができなかったそうです!本当に危なかった!!

検査で入院した時に服薬しないように言われたのですが、その頃からだと結構ギリギリだったみたいです。たまたま前から飲むのをサボっていたのが功を奏しました…。当たり前ですが、入院した時に病気の経歴、飲んでる薬の申告は本当に大切だと思いました。そして、無事に確認は終了。病室へ戻り明日に備えて就寝…ですが、もちろんよく寝れませんでした(笑)。


そして手術当日

手術は大手術なので朝からの手術でした。バタバタと検温やら説明やら色々とあり、手術室へ。どうせ麻酔で寝て、まな板の上の鯉なんだから考えるのやめようと思い、なるべく平静を装ってました。
手術室へストレッチャーで運ばれて、看護師さんや先生に挨拶をすると、看護師さんが緊張がほぐれるように雑談してくださいました。
そしていよいよ、手術台へ。麻酔が効いて意識がなくなりました。


ICUへ

目が覚めたらICUでした。がらんとした一人部屋のICUでした。隣はある程度人数がいるようでした。ぼわ〜んと薄暗い中にあかりがついていて、落ち着くような、か弱いような心元ない明かりが照らしていました。

そして…びっくりするほど体が動きません。全く。瞬きするだけで精一杯です。身体中が、ありとあらゆる管という管に繋がれていました。
布団が暑くて苦しくなってきたので、手に巻いてあったナースコールを押すと看護師さんが現れ、何かを訴える表情の自分の顔をじっと見つめ、「暑いですか?」と尋ねてくださったので、精一杯の瞬きをしました。
隣の部屋では、大声でうなされているというか、叫んでいるような声が聞こえたのですが、またしばらくして記憶がなくなり、気づけば看護師さんが窓際に立っていました。夜じゅうずっと、雨音がすごかったので「昨夜から雨が降っているのですか?」と尋ねたところ「…いえ?、降ってないですよ」と言いながら、カーテンを開けました。

眩しい光がたっぷりと差し込んで、暗かった部屋を一気に照らし出し、闇を追い出していきます。無事に翌日の朝を迎えられたのです。

どうやら術後から強い麻酔の影響で、幻聴や幻覚を見ていたみたいで、かなり意識は朦朧としていました。雨だと思っていたのも、何かの機械とかそういうものの音に過敏に反応していたのかもしれません。
寝ている間も色々な夢をたくさん見ました。とても綺麗な映像や絵が次々と現れて消えていく…そんなことがずーっと起きていました。同時に、自分の心はこう言うものを強く求めているんだな…と、どこかで感じていました。

そして、ICUから自分の病室に戻るときに看護師さんが
「もうここに戻ってきちゃダメですよ」と仰ってくださいました。


頭は朦朧としながらも、しっかりと頷いたのでした。


つづく



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