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『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』 映画と原作

2008年に公開された映画なのだが、わたしが初めて観たのは、2010年ぐらいだったろうか。三浦春馬さんが出演していたということと、主人公たちが組んでいるバンドの曲が好きなので、DVDを購入して観ました。

無気力に生きる平凡な男子高校生、山本が、チェーンソーを持つ謎の男と闘う女子高生と出会い…というアクション映画な面もある作品だけど、ストーリーや表面上なことは追わない観方をするわたしには、その辺りはどうでもよく、登場人物たちの心理面を追ったり、音楽を楽しんで観ました。後に原作を読んでもう一度観てみました。原作を読んだ方が、より理解が深まってよかったです。わたしは能登に惹かれるけど、山本が最後に出した答えに共感する。

「主人公が高校生とか、自分の年代と離れていると、観る気がしない」と
友人が言っていたことがある。内容にもよるけど、わたしは年齢は関係なく観ることができる。『根性なし』が流れるクライマックスでは、自分の高校時代とオーバーラップした。

主人公たちが組んでいるバンド、「俺さまーズ」の曲『根性なし』は、能登が書いた言葉に、渡辺が曲をつけて、という設定だったと思うけど、実際に映画の曲を作ったのはサムシングエルスの今井さんて方(作詞・作曲)。
とても好きな曲です。出だしが演歌調でフザけているけど、カッコいい曲です。

何処まで行けるんだろうって
この身体が知りたくて 遥か遠くまだ見えない
明日に向かって
 
失うこと恐れたら ダイジナモノ守れない
たとえ一人世界中を敵にしたって
何が真実かを知りたかった
いつも一人闇と闘ってた

『根性なし』の歌詞を引用

↑この歌詞の部分が、春馬さんと重なってしまいます(春馬さんが16歳の頃から、甥っ子を応援するような気持ちで、ずっと見守ってきました。
彼が、自〇したとは思えないんだよなぁ)。
そして、長年、世界の真実を探ってきた、わたし自身とも重なります。

↑こちらは、映画のサントラ盤ヴァージョン(フル)。
歌っているのは、渡辺役の浅利陽介さんという説ありです。

↑こちらは劇場版です。アレンジがサントラ盤とは微妙に違うのです。
サビの手前の歌声に歪みのエフェクターがかかっていて、声が二重になっているというか、バックコーラスがある、と言えばいいのか(?)そこの処がサントラ版とは違ってます(0:13のあたり)。
劇場版は三浦春馬さんがメインヴォーカルという説です(劇場版は、フルでは流されていません)。


↓ここからは、原作から引用
『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』滝本竜彦・著

 能登はバカだったくせにいつも悟り顔で、オレと渡辺に、哲学的なんだか抽象的なんだかよくわからない、変な話を聞かせてくれたものだった。

 能登が戦っていた敵は、だけどおそらく、チェーンソー男ほどはわかりやすくない、目には見えない、だいぶイヤらしい敵であったことだろう。
 

 彼の言うことは、いつも理にかなっていた。
 彼の言うことは、いつでもオレには、よくわかった。
 だからオレは、彼が好きだった。彼に憧れていた。
 それでもオレにはわかっていた。彼のように振る舞うことは、きっとオレには絶対にできない。オレはそのことを、よくわかっていた。
 彼は、戦っていたのだ。いつも、戦っていたのだ。彼の相手は、目に見えない、いやらしい、敵だ。
 だからみんなは目をそらす。オレも目をそらす。