新章突入 くのいちからアーティストへ
「ちょっと聞きたくないな」
彼女は嫉妬を滲ませながらそう呟く。
私はそんな彼女の様子にどこか満足する。
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私たちは新たな関係性に突入していた。
地震という偶然が一瞬2人を再び交差させたあの日。
「今日だけでいいから愛してると言って欲しい」と言われたあの日。
一度壊れた2人はそう簡単には戻らない。
2人の気持ちがどうだったのかは自分でも分からない。
ただ事実として元の関係に戻ることはなかった。
「他に好きな人ができたの」
彼女から唐突に終了宣言されてからというもの、私は新しい恋を見つけるため、持ち前のフットワークで自由に動き回っていた。
大学の友人にいい人いたら紹介して欲しいと伝え、その友人の彼女イチオシの女の子を紹介してもらった。
名前はゆずちゃん。
ゆずちゃんは同じ大学の農学部にいる同級生。
とてもピュアで真面目な女の子。
紹介してくれた友人カップルを含めた4人での飲み会で最初に会った。
くのいちとは違って裏表のないひとに見えた。
このひといいかも。また会いたいな。
そんな素敵な出会いに心がときめくと同時に、くのいちにどう報告するかを考える自分がいた。
結局頭の中からくのいちが離れない。
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そして冒頭に戻る。
「実はこの前すごくいい人を紹介してもらってん。めっちゃ優しくて楽しかったから今度は2人で会おうって約束したんよ。」
「そうなん。マイトンさんよかったね。
でも
ちょっと聞きたくないな」
付き合ってる当初とは違う呼び方になってしまった2人。
相手の気持ちを試すように新しい人と出逢ったと伝える男と、わかりやすく嫉妬する女。
気持ちはどこにある?まだお互いに残してきた?
やっぱり戻りたいのか。
それとも散々振り回された仕返しに、とにかく相手を困らせて自分が主導権を握っていると思いたかっただけなのか。
どちらからともなく近況報告しようと言って遊びに行く私とくのいち。
お互い寂しがり屋だから一時的な雨宿りをする関係。
そんな曖昧な関係が一年ほど続いたある日、とうとう私も次のステージに進み始めることとなる。
ちなみにゆずちゃんとは結局前に進むことはなかった。
2人で会って楽しく盛り上がり、さらに次のデートの約束までとりつけた。
ところが急に友達も呼びたいと言われ、当時の私はその行動の意味が分からなかったのだ。きっと第三者の目も入れてちゃんと判断したかったのだろうけど、私からしたらせっかく仲良くなったのに 一歩戻ったような感覚でしかなかった。
そのままなんとなく前に進まず自然消滅してしまった。
あとから紹介してくれた友人づてに聞いたところ、ゆずちゃんは私からの告白を待っていたそうだ。
どんな時でも秒で告白してきた私がたまたま弱気を見せた結果がこれだ。
そして、これから始まる新しい物語のお相手は同じ研究室の後輩だった。
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場面は展開し京都の四条大橋へ移る。
先斗町や祇園も近く、多くの歩行者で溢れかえっている場所。
ある土曜の夜、そこで私は叫んだのだ。
「好きです!あなたのことを幸せにする自信があります。付き合ってください!!」
ドラマか何かと振り返る人々。
私のせいで渋滞が発生している。はっきり言ってめっちゃ迷惑だ。
でもそんなの関係ねえ。(ハイ!オッパッピー)
急な告白に戸惑う後輩ちゃん。
「マイトン先輩、ワタシはーーーー」
ここから新たなマイトンと後輩ちゃんの物語が始まった。
つづく?
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この話は期せずして連載モノとなっております。
そして今回第四弾。くのいち編終了でございます。
くのいちとのエピソードは実は腐るほどあって、多分半年くらいは書き続ける自信あるのですが、残っているのは生々しいエロ話ばかりなので自粛しました。需要があれば有料で公開しますのでこっそり教えてください。笑
ということで新章突入です。
次のお相手はラボの後輩でありながらアーティストタイプの女の子。
当時の私は気づいてもいませんが、これまたクセのある方でした。
ここから不定期ながら続きを書いていきますのでご興味あれば読んでいただけると嬉しいです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございます。
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皆さんの1日が笑顔と安心で満たされますように。
サポートいただきありがとうございます😊嬉しくて一生懐きます ฅ•ω•ฅニャー