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紅麹からサプリメントを考える

連日ニュースで報道される紅麹サプリメントの腎毒性に関する品質問題。関連が疑われる死亡者が4人に増えましたが、恐らくこれは氷山の一角で、まだまだ報告が増えるのでは、と思われます。

被害に遭われた方、不安を抱えて居られる方が一日でも早く平穏な日々に戻れることを切に願いながら、紅麹とサプリメントに関する私見を書かせて頂きます。

① 紅麹とは

紅麹はお米などの穀物に紅麹菌を繁殖させて作る発酵食品で、沖縄の豆腐ようや老酒などに使われるそうです。麹は味噌や醤油作りに欠かせない身近なものですし、発酵食品専門のご飯屋さんなんかもよく見かけますよね。

では、そんな身近な食品がどうして今回のような大きな事故に繋がったのか。それには2つの側面から問題があると思います。

② 紅麹特有の問題

まず、麹菌、すなわちカビは非常にたくさんの物質を作ることができる有能な生物であることが知られています。

紅麹が作る物質の中で注目されているのが、私達の体内でコレステロールを下げるモナコリンK(ちよっと名前かわいい)がですが、ニュースでも報道されるようにカビ毒のシトリニンも同時に作るとされます。

イタリアからですが、以下の論文を見つけました。

Risk Assessment of RYR Food Supplements: Perception vs. Reality
Laura Righetti et al. Front Nutr. 2021.

この論文によると、37種の紅麹サプリメントについてシトリニンの含有量を調べたところ、量の差はあれど全ての製品で検出され、基準値以下のものは4つしかなかった。汚染された製品のうち4つはシトリニンフリーと記載されていた。さらに、約半分の製品がモナコリンKの含量が効果を期待できる値に満たないことが分かったそうです。

ほとんどにカビ毒が含まれていて、そのくせ効果のある成分がちゃんと入ってるものも半分しかない、とは驚きです。

確かに小林製薬の使っていた紅麹菌は、シトリニンを作れない種類だとされていますが、多様な成分を作ることができるカビなので、産生する全ての物質を調べきれていなかった可能性があると思います。

③ サプリメント全般に考えるべきこと


何度か私も記事に書いていますが、サプリメントは医薬品とは違って、然るべき機関の厳しい審査を乗り越えている訳ではありません。
今回のもののように機能性表示食品、というマークがあることでなんだかお墨付きがあるように感じますが、そうではありません。ヒトで安全性や有効性が確認されたものは所謂トクホと記載できるものの、ヒトでのデータ無しに登録されたものが機能性表示食品となります。

世の中には、コレステロールを下げたり、血圧を下げたり、記憶力がよくなったり、痩せたり、という魅力的な作用が期待できると謳った食品がサプリメントとして溢れかえっていますが、やはりこれらと医薬品は別物です。

ダイエット薬に関しては前にも書きました↓↓↓

安易に手を出す前に、信頼できるかかりつけのお医者さんや薬剤師に相談すべきと改めて感じました。

最後までお読み下さりありがとうございました!

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