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また患者さんに助けられた

 私は40歳代より住むところと職業を変えて、今は看護師として日本に住んでいる。もともと人間関係も仕事も要領が悪く、日本の社会にも、以前住んでいたタイの社会にもどこか溶け込めない感覚を引きずりながら、未だ生活している。 

 ところで、病院勤務が数年経った今、ある日、先輩看護師から「患者さんからの退院時アンケートにあなたの名前が2回挙げられていた。」と聞かされた。それは苦情ではなく、最初は耳を疑ったが、「優しくしてくれた看護師として印象に残っている。」とアンケート中に記載してあったとの話であった。他の機会に他の先輩看護師からも同様の話を聞かされた。その話が真実なら、私は涙が出るくらい嬉しいことだと、感情を押し殺しながら心の中で喜んだ。
 
 というのも、私は看護師として働いているが、要領の悪さ、技能不足をいつも痛感しながら、自己嫌悪とそこから這い上がるを繰り返す毎日。そんな中、先輩看護師が「あのアンケートにあなたの名前が書いてあったのは、患者さんがあなたを評価してくれている、あなたのやっている看護にもっと自信をもってもいいよ。」と言って下さったからだ。本当にその場で泣きそうになるが、何とか堪えた。でも、本当に本当に嬉しかった。

 そういえば看護学校時代、怖い指導者さんから詰問されて応えにつまり、指導教官からも実習レポートの内容が薄いとか、徹夜で作っていった資料が良くないなどで、実習が合格できるのかハラハラすることが何度もあった。そんな中、実習時私の受け持った患者さんがわざわざ「初めての手術に入院生活で不安だったが、最終的に実習生に受け持ってもらえて本当によかった。」と実名入りで投書をして下さった。そのおかげで実習を何とか合格できたことを思い出した。

 本来ならば、看護師が患者さんをケアする立場であるが、私は患者さんに何度も救われている。何度も助けられている。感謝。


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