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TikTokでオンライン授業?TikTok、Kwai(快手)、Bilibiliが教育分野に起こす革命

中国では、新型コロナウイルスの影響で、2月の春節明けに始まるはずだった学校の新学期が、無期限延期状態となっている。(2020年3月20日現在)

そうした中で、教育機関の中には、オンラインで新学期の授業を開始する動きも出てきている。

教育機関が利用するのは、従来のオンライン教育プレイヤーだけではない。アリババのビジネス向けチームコミュニケーションツール「Dingding(釘釘)」や、ショートビデオ投稿サービスの「TikTok」や「Kwai」、動画投稿サービスの「Bilibili」も参入し、オンライン教育分野はさながら新戦国時代の様相を見せている。

今回は「TikTok」、「Kwai」、「Bilibili」について、オンライン教育分野での最新動向をお伝えする。


学習塾等と提携し、無料レッスンやライブ配信の取組を開始

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、中国全域が緊急事態宣言を出した頃、ショートビデオ投稿サービス「TikTok」や「Kwai」は、国内のオンライン教育サービス事業者との協業を急ピッチで進めていた。オンライン教育サービス事業者の既存コンテンツを、「TikTok」や「Kwai」のアプリ上で閲覧できる環境をつくることで、自宅から外出できない子供たちに教育機会を無償提供しようと考えたのである。

この新サービスは迅速に実装され、「TikTok」では、小一から高三までの各科目合計5,000時間の教育コンテンツが公開されたほか、名門校教師による特別授業映像も新規に収録された。

さらに、「Kwai」では、学校や学習塾の教師が「仮想授業」を行うためのライブ配信機能を拡充した。これを用いることで、子供たちはオンライン教育コンテンツを閲覧するのみならず、リアルタイムで教師とコミュニケーションをとれるようになった。

また、動画投稿サービス「Bilibili」は、さらに一歩進み、清華大学や北京大学といった超名門大学と連携し、大学教員の授業を次々にアップロードしている。

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「TikTok」のオンライン教育コンテンツ(小学一年生の算数)


勉強をもっと楽しく!人気教師は一躍インフルエンサーに

新型コロナウイルス騒動で一躍注目を浴びる形となった「TikTok」、「Kwai」、「Bilibili」のオンライン教育進出だが、これらのサービスでは、以前から教育コンテンツを投稿するユーザーが一定程度存在した。中には、そのユーモア溢れる内容から、子供から大人まで幅広く愛されている投稿者も存在している。

特に有名なのが、大学院入試塾に勤める張雪峰先生だ。「Bilibili」では、張先生のビデオ投稿が再生回数500万回に達するなど、トップYoutuber顔負けの驚異的な人気を博している。多くの視聴者は大学院入試とは無関係の人々であり、張先生の「純粋なファン」が大量に存在している。さながら、中国の林修先生といったところだろうか。

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「Bilibili」での張先生の授業。コメント弾幕は途切れることが無い

人気教師の「アイドル化」とも言える状況が広がる中、「TikTok」、「Kwai」、「Bilibili」では、教師によるコンテンツ作成をサポートするイントロダクションの充実や、教育コンテンツの表示頻度を向上させるアルゴリズム変更が進められている。アイドル化した人気教師によるエンターテインメント性の高い授業の提供により、「TikTok」、「Kwai」、「Bilibili」は、従来型のオンライン教育プレイヤーには無かった需要の発掘を狙っている。

2020年3月25日現在、日本でも新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、学校や学習塾の自粛が相次いでいる。新型コロナウイルス対応の長期化も予測される中、子供たちに教育の場を提供する上で、既存のビデオ投稿サイトを活用したオンライン教育の拡充は、大きなヒントとなるのではないだろうか。


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