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下田のスイーツアーティスト。「糸」が織りなす魅力的なアイシングクッキー。
みなさん、甘いものは好きですか? 今回は下田でとても繊細なアイシングクッキーを作られている「糸 (ito)」の 糸賀まりのさん にインタビュー。元々はパティシエとして働いていましたが、出産を機に退職。「自分が本当にやりたいこと」とパティシエで培ったスキルを活かし、現在は「糸」として個人でお菓子作りをしています。とても魅力的な糸のアイシングクッキーはどのようにして生まれたのでしょうか?子育て中にも関わらず、こんなに素敵なクッキーを作り続けている まりのさんに、アイシングクッキーとの出会いやきっかけ、クッキー作りのこだわりなどを聞いてみました。
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――まずは「糸」さんについて教えてください。
下田の外浦地区を拠点にオーダーのアイシングクッキーやケーキなどのお菓子作りをしています。
『糸を紡ぐように、繊細に優しい商品を作り
日々肌に触れる糸のように、皆様の身近な愛される存在になれますように』
という思いをコンセプトに「糸」という屋号を掲げています。
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――アイシングクッキーやケーキがとても人気となっている「糸」さんですが、どのようなきっかけで始められたのですか??
2年前、息子の出産をきっかけに「糸」が始まりました。
製菓の専門学校を卒業し前職はパティシエとして働いていました。学生時代やパティシエとして働いているときは自分の時間を作ることが苦手で、学業や仕事に追われ「本当にやりたいこと」がうまくできていませんでした。出産を機に退職し、自分だけの時間があることに気づき、今までにやりたいと思っていた(アイシングクッキーの)デザインを毎日作りました。誰のためでもなく自分のためだけに大好きなモチーフを作り、SNSで発信するなどアウトプットしていました。その時のクッキーたちをみてオーダーの依頼が来るようになり、現在の「糸」が生まれました。
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――アイシングクッキーを作り始めたのはいつ頃ですか?
アイシングクッキーとの出会いは高校生の頃に出会った一冊の本がきっかけです。当時好きだったモデルさんのスタイルブックに今までに見たことがないキュートなケーキとクッキーたちが(周りのディスプレイとして)掲載されていました。そのスイーツたちに魅了され、製菓の専門学校へ進学することを決めたほどです。当時、文化祭やバレンタイン、休日などに様々なクッキーを夢中で作りました。今思い出すととんでもなくヘンテコなクッキーでしたが、(作ることが)楽しくて仕方がなかったことを覚えています。
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――そんな素敵な本との出会いがあったのですね。
小学生の頃は動物が好きで、動物に関わる仕事につきたいと思っていたのですが、一瞬で変わってしまいました。
とても魅力的なスイーツをどんな方が作られているのかが気になり本のクレジットを確認した時に、「スイーツアーティスト」という職業を知りました。
専門学校に進学した後、偶然にもそのスイーツアーティスト方がアシスタントを募集されていました。一世一代のチャンスだと思って行動し、その日のうちにすぐ履歴書を送り採用されました。当時の私は未熟だったためクッキー作りに直接携わることはありませんでしたが、憧れのスイーツアーティストの仕事ぶりを近くで見ることができたことは今でも私の宝物です。
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――「糸」のアイシングクッキーはどのように広がっていったのですが?
主にInstagramと地元のお母さんたちの口コミですね。アイシングクッキーの他にケーキも作っているので、誕生日やお祝いごとのオーダーも増えています。
また、親戚が美容室をしているのですが、店内にクッキーを飾ってくれていたり、お客さんにプレゼントしてくれたりとたくさん応援してもらっています。
SNSからの繋がりでは、投稿を見て知ってくれた方からの県外イベントへの出品依頼などもあり、たくさんの方に糸のアイシングクッキーを知ってもらう機会をいただいています。
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――たくさんのクッキーを作られていますが、思い出に残っているものはなんですか?
「フルーツ便り 檸檬(※1)」に掲載していただいたクッキーたちです。
女性2人組のユニットが制作するフォトブックに女の子や刺繍、素敵なイラストや物語と一緒にアイシングクッキーを掲載していただきました。産後、好きなように作ったクッキーがこのような依頼に繋がりとても嬉しかったですし、自分の好きな世界を信じることができるきっかけとなりました。
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(※1)フルーツ便り 檸檬:「bundle(バンドル)」という女性2人組のユニットが発行している冊子。写真、イラスト、エッセイ、小説、短歌、戯曲、レシピなど檸檬にまつわるエトセトラ。
――糸のアイシングクッキーのこだわりを教えてください。
こだわりは、お客様やプレゼントされるお相手の好きなものを理解すること、「糸」でしか表現できないお菓子にすることです。
ありがたいことに最近はお任せデザインでオーダーをしてくださるお客様が増えています。お任せでご依頼いただいた場合、お客様の好みや雰囲気を確認し、その分野についてたくさんの情報を集めます。そこからピッタリなモチーフをピックアップして形を決めていきます。画集や映画、色彩などを参考にしながらひとりひとりたっぷりと時間をかけて考案します。デザインが決まったら輪郭を紙に描いて切り出し、クッキー生地に当ててデザインカッターナイフで切り抜きます。
実はデザインを考えている時間はクッキーに直接描いている時間よりもずっと長いのですが、この工程が大好きです。
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もう1つ、色作りにも時間をかけています。例えばロゴなどの場合、できる限り色を近づけるようにしています。100万色の色を認識できる人の目に対して、アイシングで全く同じ色をつくるのは困難ですが、大切に作られたロゴをなるべく再現できるよう心がけています。
アイシングの色は色素を加えて混ぜた瞬間に完成ではなく、時間の経過、水分量、乾燥、光の反射によっても見え方が変わるため、難しくて日々苦戦しています。パレットの上では完成したように見えるのに、コルネ(フィルムの絞り袋)に入れると反射で違う色に見えてしまうなど、一色の色を作るのに1時間以上かかる場合もあります。
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――そのこだわりの工程の中に「糸」の世界観が凝縮されているのですね。
材料にもこだわりがあり、下田ブルー、シモダソルト、北海道四葉バター、沖縄のきび糖、国産小麦粉などできる限り安心なもの、地元のものを取り入れています。見て楽しい、食べておいしいを心がけています。
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――子育てをしながらのお仕事で大変だと思いますが、やりがいや大変さを教えてください。
納品後にお客様に喜んでもらえることが大きなやりがいです。送っていただく笑顔のお写真や嬉しい感想のメッセージなどにいつも癒されています。お誕生日の準備や片付けで大変なお母さんたちが、わざわざ(お礼の)ご連絡をしてくださることがとても励みになります。
ちょうど2歳になったばかりの息子はまだ保育園に通っていないため、日中はほとんど作業をしません。とんでもなくパワフルで驚きの毎日です。子育ては大変ですが、そもそも息子が誕生しなければ「糸」も存在していないので息子にも感謝しています。最近は「たまご、こむぎこ、ぎゅうにゅう、まぜまぜ」などの言葉を覚えて私の真似をして成長が見られるところもやりがいです。
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――今後どのようなことをしていきたいですか?
親子でお菓子作りをするワークショップをやってみたいと思っています。
学生の頃に「子供が描いたケーキの設計図をもとにしてケーキをつくる」というレポートを書いたのですが、下田へ来てからこれを実現することができました。子育てしながらのお菓子作りは大変な部分もたくさんありますが、子供と一緒に作れる楽しさもあります。
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大人気となっている「糸」のアイシングクッキーやケーキ。高校生の頃に憧れから始めたお菓子作りを、今は自分のライフワークとされています。パティシエで得たスキルをUターン後に活かし、下田にはなかった分野で新しいスイーツを作り出しています。まさに下田のスイーツアーティストですね!
まりのさん自身がそうであったように、「糸」のスイーツに憧れパティシエを目指す人や、スキルを学びたいと思う子供たちも出てくるのではないでしょうか?「糸」の活動は始まったばかりですが、いろいろな分野での広がりに期待が膨らみます。子育て中の大変な時期ではありますが、楽しんでお菓子作りを続けていただきたいですね。
WITH SHIMODA ライター:温泉民宿 勝五郎 土屋尊司
写真提供:糸さん(3〜5、7〜9、12、15枚目)、土屋尊司
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糸 - ito -
Instagram:https://www.instagram.com/marino_shark/
【お問い合わせ】
InstagramDM、公式LINE、またはMail(itocookies@gmail.com)まで
ーー 出店情報 ーー
第2回 開国てづくり市 (下田市民文化会館)
2023年4月29日(土)〜4月30日(日)
https://kaikokutezukuriichi.localinfo.jp
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