見出し画像

2023年 RSウイルス感染症が流行しています!~RSウイルスって?~


こんにちは。子育てママのゆきです。
実は今RSウイルス感染症が大流行しているんです。
例年は9月頃から流行し始めるのですが、ここ数年流行の時期が不安定となり、2021年は時期外れで、しかも定点当たりの報告数が例年の約2倍の大規模な流行となりました。
2022年もRSウイルス感染症の小児患者が増えており、その増加のペースは昨年と同様、従来よりも急峻となっています。
2022年以降、中部・近畿を中心とした一部地域で報告数が増加し、その後全国へ拡大しています。

小さなお子さんがいるご家庭では、RSウイルスという言葉を聞いたことがあるかもしれませんね。
私の働く小児科外来でもRSウイルス感染症の乳幼児が増えてきています。
今日はこのRSウイルス感染症についてお話したいと思います。

RSウイルスとは?

RSウイルスは、感染すると年齢を問わず、風邪などの症状を引き起こすウイルスです。
ちなみに風邪の80~90%はウイルス感染が原因です。

小さなお子さんは重篤化の可能性もある

新生児、乳幼児期(特に1歳未満)において非常に重篤な症状を引き起こすことがあるため、注意が必要なウイルスでもあります。
特に出生体重が軽く小さく生まれた赤ちゃんや、心臓や肺の基礎疾患、免疫不全がある場合には重症化のリスクが高いことが知られています。
2歳以上のお子さんは、軽い「鼻かぜ」で終わることが多いですが、1歳未満、特に6か月未満の赤ちゃんは重症化することがありますので注意が必要です。

よく「保育園・幼稚園でRSウイルスが流行っているから心配」と受診される方がいますが、まずはRSウイルスに感染して重症化するリスクのある年齢かどうかを判断する必要があります。
1歳を越えていれば、多くの場合には重症化するリスクは軽減していきます。
1歳になるまで50~70%のお子さんがRSウイルスに感染します。(2歳までにほぼ全員1回は感染します。)
そして何回も感染するのが特徴です。
RSウイルスはどこにでもいる風邪のウイルスで、大人でも何回も感染し、年長児や大人が感染すると鼻の症状だけ引き起こすようなウイルスです。

どんな症状?流行の特徴は?

晩秋~春にかけて流行しますが、近年では夏季より流行が始まるようになってきています。
今年も例年以上に早く流行し始めています。

RSウイルスに感染するといわゆる風邪の症状が出ます。
4~5日の潜伏期を経て、咳、発熱、鼻水などの症状が現れます。
発症前の4~5日(潜伏期間中)から発症後10~14日間ほどでウイルスを排出しますが、時には1か月程度も排出にかかる場合もあります。

赤ちゃんで注意をしなければいけない症状は以下のとおりです。

〇息を吐くときに「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という音がする。(喘鳴といいます。)
〇顔色や唇の色が悪い。
〇胸がペコペコとへこむような呼吸をする。
〇呼吸が速く、呼吸の回数が極端に増えている。

このような場合には、RSウイルスによって引き起こされる重症な疾患である、肺炎・気管支炎・細気管支炎などを発症している可能性があります。
肺炎・気管支炎・細気管支炎を発症したときには、場合によっては酸素投与、点滴などの処置が必要であり、入院し経過をみてもらう必要がありますので、注意してくださいね。

どのように感染するの?


くしゃみや咳によって、ウイルスを含んだしぶきが飛び散り、それが目に入ったり、吸い込んだりして感染します。(飛沫感染)
また、ウイルスが付着したドアノブ、手すり、コップ、おもちゃなどに触れた手や指で、口や鼻、目を触ったりなめたりすることにより、間接的に感染します。(接触感染)
これについては、新型コロナウイルスと変わりありませんね。

つまり、感染予防のポイントは同じです。

基本は手洗い

もっとも重要な対策は、厳重な手洗いと手指の消毒です。
石けんと流水でしっかり洗ってください。
手指の消毒にはアルコール手指消毒薬を使います。

RSウイルス感染症の検査は?


鼻粘膜のぬぐい液を使用して、10~15分程度の迅速検査が可能です。
鼻の穴に細い綿棒を入れて検査します。
とはいえ、RSウイルスの検査は、RSウイルス感染症が疑われるすべての患者さんに行う検査ではありません。
生後1~2か月の赤ちゃんでRSウイルス感染症が疑われる場合、経過中に無呼吸発作などの重症な症状を呈する危険があるため、入院し経過観察が必要かどうか判断するために積極的に検査します。
また、その他入院が必要な程度の症状を呈す場合も検査を行います。
1歳以上のお子さんに関しては、重症化のリスクは低く、特別な治療法もないことから、迅速検査で感染を特定する必要性はほとんどありません。

RSウイルスに効く薬は?

RSウイルス自体に効果のある抗ウイルス薬はありませんので、症状に合わせて対症療法を行うのが基本的な治療です。
小児科外来でも、対症療法として、解熱剤や去痰薬など、そのお子さんの症状に合わせた薬を処方しています。

シナジスについて

健常児でも10%程度は入院加療を必要としますが、多くは鼻かぜ程度で済んでしまいます。
しかし明らかに血行動態の異常を示すなどの心臓病を持っている乳児が感染するとしばしば重症化し、人工呼吸器の助けを借りなければならなくなることがあります。
このような乳児がRSウイルスの感染を受けても重症化しにくいお薬があります。
それがRSウイルスに対するモノクローナル抗体「シナジス」です。

弱体化させたウイルスを体内に取り込んで抗体を作らせるワクチン(予防接種)とは異なり、抗体そのものを体内に取り入れ、RSウイルスの増殖を防ぎます。
予防には違いありませんが、体内で抗体を作れるようになるわけではないので、定期的な接種(1ヶ月に1回)が必要になります。

このお薬は注射が必要で、9~10月頃からウイルスの流行時期が終わる3~5月頃までの間、毎月1回注射します。
今年も例年より早く+RSウイルス感染症が流行していることを踏まえ、5月から今年度のシナジス接種を開始している都道府県が多いようです。

このお薬を使うことで重症児が大幅に減ったことが知られています。
またこのお薬による大きな副作用はほとんど報告されていません。
大変高価なお薬(一回につき約80000円~320000円かかります。体重によって金額が変わります。)ですが健康保険の適応を受けていますのでご家族の負担金はかかった費用のおよそ2~3割となります。
さらに乳幼児医療などの公的負担制度を併用すると負担金は大幅に減るものと思われます。

このお薬が健康保険適応になる心疾患児

●在胎期間(出生時の妊娠週数)が28週以下で、12か月齢以下の乳幼児
●在胎期間が29~35週で、6か月齢以下の乳児
●過去6か月以内に気管支肺異形成症(BPD)の治療を受けたことがある、24か月齢以下の乳幼児
●24か月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患(CHD)の乳幼児
●24か月齢以下の免疫不全を伴う乳幼児
●24か月齢以下のダウン症候群の乳幼児

注射の開始時期や投与回数は、生まれ月や疾患により異なりますのでかかりつけの医師にご相談ください。

さいごに


保育園、幼稚園でRSウイルスが流行っていても、正しい知識を持っていれば必要以上に心配することはありません。

うちの子は重症化するような年齢(1歳未満、特に生後6か月未満)なのか、リスクがあるのかをしっかり考えて、まずは対症療法、そして落ち着いて医療機関を受診してくださいね。
小さなお子さんがいる方に読んでいただき、少しでも安心に繋がる情報となればいいなと思います。

本日もお読みいただきありがとうございました。


ぜひその悩みを助産師に相談してください!
コラムの内容についてなど、ご相談したいことがありましたらお気軽に助産師へご相談ください。
日本初、全国の助産師を可視化した助産師検索サイト「Meets the Midwife」はコチラ!

「株式会社With Midwife」では、企業専属の助産師が24時間365日従業員の方々をサポートする「The CARE」や助産師同士が繋がれるコミュニティサービス「Meets the Midwife」などを運営しています。
詳しくは、弊社コーポレートサイト「What We Do」をご覧いただけますと幸いです。

他にもママや子育てに関する情報をこちらのマガジンで発信しておりますので、あわせてご覧ください(^^)

Meets the Midwife 公式LINE配信中!


公式LINEでイベント情報など配信しております。
LINEお友達登録はこちらからお願いします(^^)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?