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野菜ってどのくらい摂取するべき?含まれる栄養素とその働き

健康のために野菜をしっかり食べましょう!とよく言われています。実際、野菜が不足してしまうと、どのようなことが起こるのかご存知ですか?今回は、野菜の摂取目標量や野菜に含まれている栄養素と働き、不足によりどのような影響を及ぼすのかについて解説します。

日本人は野菜が足りていない!

野菜は1日にどのくらい食べれば良いのでしょうか。
健康日本21(第二次)では、生活習慣病などの予防、また健康な生活を維持するために、野菜摂取量の目標を成人で1日あたり350g以上としています。
厚生労働省が行っている「国民健康・栄養調査」によると、令和元年では、野菜摂取量の平均値が280.5gとされており、ここ10年間は有意な増減はみられません。
つまり、1日あたり70g程度の野菜が不足しており、これは小鉢1~2皿程度足りていないと考えられます。

野菜にはどんな栄養素が含まれているのか

野菜は、カロテンの含有量により大きく2つの種類に分けることができます。原則として可食部100gあたり600μg以上含まれている野菜を緑黄色野菜、それ以外をその他の野菜としています。
緑黄色野菜には、かぼちゃやほうれん草が該当します。また、一部トマトやピーマンのようにカロテンの含有量が600μg未満でも、食べる量や頻度が高いものは緑黄色野菜に分類されています。緑黄色野菜はカロテンの他、ビタミンCやビタミンK、葉酸、カルシウムなどのミネラルを多く含んでいる傾向があります。
その他の野菜はカロテンの含有量が少ないですが、ビタミンCや食物繊維、カリウムなどのミネラルを豊富に含まれています。

野菜が不足するとどうなる?

野菜には、ビタミン・ミネラル・食物繊維が多く含まれていることから、野菜の摂取が足りないと、これらの栄養素が不足しやすくなります。
ビタミンはエネルギー代謝や体の機能維持、ミネラルは体を作る材料になり、体の働きを整える作用があるため、これらの働きを十分に行うことができず、欠乏症などのリスクにつながります。また、食物繊維が不足すると腸内環境の悪化につながることが分かっています。
野菜は適量摂取することで、脳卒中や心臓病、それらにつながる生活習慣病のリスクを下げることができるため、不足しないように摂取することがとても大切です。

野菜を意識して摂取しよう

野菜には、ビタミンやミネラル、食物繊維が含まれており、野菜をしっかり食べることはさまざまな病気へのリスクを下げることにつながります。国は1日350g以上の野菜をとることを推奨していますが、目標には届いていないのが現状です。いつもの食事に1皿野菜料理をプラスすることや、汁物に入れる具に野菜を1種類追加してみるなど、できることからやってみましょう。毎日取り組むにはハードルが高すぎる、どうしても難しいという場合は、サプリメントの活用も検討してみてください。

【参考文献】
・公益財団法人 健康・体力づくり事業財団「1 栄養・食生活 (1)疾病・健康との関連-栄養状態、栄養素(食物)摂取レベル-」
健康日本21
https://www.kenkounippon21.gr.jp/kenkounippon21/about/kakuron/index.html(閲覧日:2023年1月24日)

・厚生労働省「令和元年『国民健康・栄養調査』の結果」
厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14156.html(閲覧日:2023年1月24日)

・厚生労働省「+70gの野菜で食生活を見直そう!」
SMART LIFE PROJECT
https://www.smartlife.mhlw.go.jp/tools/web_learning/eat(閲覧日:2023年1月24日)

・厚生労働省「野菜、食べていますか?」
e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-015.html(閲覧日:2023年1月24日)

・厚生労働省「緑黄色野菜」
e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-037.html(閲覧日:2023年1月24日)

・吉田企世子・松田早苗「正しい知識で健康をつくるあたらしい栄養学」
髙橋書店(2021)

・上西一弘 栄養素の通になる第5版
女子栄養大学出版部(2022)

【執筆者プロフィール】

宮﨑 奈津季
管理栄養士、離乳食アドバイザー、薬膳コーディネーター。
女子栄養大学栄養学部実践栄養学科卒業後、医療系食品メーカーに就職。病院や老人保健施設、薬局、有料老人ホームなどへの営業、勉強会講師などを担当。その後、独立し、レシピ開発、商品企画、記事執筆、栄養価計算、会社の立ち上げを経験。
現在はフリーランスの管理栄養士として、特定保健指導・記事執筆・栄養価計算などを中心に活動中。