品ってなんだろう。

品がいいとか気品があるとかいうけれど、品ってなんだろう。ググったたら、

よしあしの程度。くらい。その物にそなわるねうち。等級。階級。 「品がよい」(上品である)

と出てきた。上品でググると、

じょう‐ひん〔ジヤウ‐〕【上品】
[形動][文][ナリ]品格のあるさま。 品のよいさま。 また、味などの洗練されているさま。 「上品な立ち居振る舞い」「上品な味」「上品に着こなす」⇔下品。

と出てきた。品格でググると、

1.人の品(ひん)のよしあし。「―を重んずる」。すぐれた気品。
 「―のある人」
2.品物のよしあし。品位。
 「―上乗の家具」

で、結局、品ってなんなの?良い悪いってジャッジして、「悪い」の反対の「良い」のが品が良いということ?
だとしたら「品が良い」には悪いけど、ちょっとがっかりだ。

品が良いってなんだろうと考えながら夜道を歩いていると、小料理屋さんが見えてきた。女将さんがスーツの中年男性のお客さんと話していた。お客さんが別れを告げて歩き出す背中を女将さんは見つめていた。お客さんが角を曲がって見えなくなるまで。

今日配信のLobsterrニュースレターで、スイス人の哲学者で作家のアラン・デ・ボトンを知った。「頭の上に物が落ちてくるような事故や交通事故、病気など、世の中には無作為の要因があまりにも多すぎるため、すべての人を正当に評価することは難しい。純粋な実力主義社会を築くことはクレイジーな発想で、不可能な夢なんです」と言っているらしい。
https://www.lobsterr.co

同じくLobsterrの3名の著者たちの取材記事より。ニュースレターはというかたちは紙に近い。いま流行している無限スクロールではなく、上から読んでいって読み終われるパッケージ型。スローメディアであり、文量が多い。WEBと違って、タイトルから気になる記事に飛ぶこともできない。だからタイトルをキャッチーにする必要がない。
https://www.houyhnhnm.jp/feature/398938/

こういうのが品が良いってことじゃないかなと思う。利他であり、「自分」が限りなく透明。

今日の本
まとまらない人/坂口恭平
躁鬱とともに生きながら、歌ったり本を出したり絵を書いたりしている坂口さん。どんどん手を動かしてものを生み出しているのは政治的な活動。本当はみんな小さい頃は自分のための自分だったのに、社会の圧力で自分を抑え込んで「人間」になる。それっておかしい。だから著者は、魂を心を押し潰そうとしてくる現実を生きるために、思い立ったらいろんなことをやって、どんな状況にも対応できるようにしている。人は一貫性があるのが「当たり前」でそうでない人は「愚か」だと考えている人は少なくないと思う。心理学では「一貫性の心理」と呼ぶらしい。一貫性がある自分を見せたいという心理は、人が一貫なんてしてないという事実の裏返しだ。トランプ大統領は嫌いだけどアメリカは好きとか、雨の日は嫌いだけど長靴を履くのは好きとか。みんな意識していないだけで矛盾を抱えてる。だから坂口恭平さんの「政治的行動」は極めて自然で理にかなっていると思う。とても関心があるビブリオセラピーを坂口さんはもうやっているのかしら…!?本には未来形で書いてあったけれど。気になる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?