見出し画像

屋久島Ⅰ-ガイアの息吹-

屋久島
ここには、地球<ガイア>の息吹がそのまま息づいている。
その圧巻の姿があまりにも衝撃すぎて、魂の琴線に触れるどころか琴線ごと持って行かれちゃった感がある。
言葉に決してならない豊かさ。
私が長年育んできた様々な枠組みの外にある世界。
時空(タイム・スペース)が外れたところに現れた何か。
この瞳に映っている世界。現象。
私が産まれ、還っていくところ。
地球の意識と神の意識が織りなす世界。
こんな世界があったんだ。
なんて瞬間を今生きているのだろう、と感じさせてくれるところ。

画像1


川は屋久島の自然の中でも私のお気に入りとなった。
木々と水と光が溶け合っていた。
上を見上げると、木漏れ日に輝く太陽の周りを、虹色の光線が何本も光っていた。
こんなに美しく七色が混ざり合った光を見たことがない。
ふと目の前に蜘蛛が上から降りてきた。びっくりすることに蜘蛛の巣も虹色の光を放っている。
あまりの美しさに自分の瞳を疑った。
川の水や遠くに見える木々たちの葉に、たまにブルーやエメラルドグリーンの光、ルビーのような赤い光があった。
ここは光の世界で、光の屈折度の純度が高いか、本当に妖精たちがいるんだと思った。

画像2


たまに心地よい風が額をなでる。同じ場所でも、時間によってその質感が全く違う。
風にも性格や気分があるのだということを知った。まさに気まぐれなのだ。
風によって木々たちが揺れ、それに沿って水や光が空間に混ざり合っていくのを見た。
水は川を流れているだけではなかった。
水蒸気として辺りを満たし、岩を濡らした水たちは太陽が当たると光の粒子となってその空間を漂っていた。なんて自由に動くのだろう。
目を閉じると、川の流れる音が一気に大きくなる。
足しか水につけていないのに、一気にまるで全身を川の中に預けているような気になる。
その瞬間本当に川に包まれた。
最初は慣れなくて足先しか入れなかったが、徐々に裸で全身で川の中へ入ることが気持ちよくなってきた。
水と遊ぶ。最初は冷たいけれど、だんだん心臓の鼓動が水に慣れていく。
頭の先から足の先まで、透明な水が流れていった。
スコーンと何かが抜けた。川と共に私も流れていた。

画像3


ある時、川に聞いてみた。
どうしてあなたはそんなに純粋なのですか?
どうやったらそんなにピュアになれるのですか、と。
川は答えた。
あなたはすでにもう純粋なのですよ、と。
川底に存在する岩や石、植物たちだけに焦点を当てるとそこだけがクローズアップされて自分が純粋な流れる水であることを忘れてしまう。
けれど、それらがあってもあなたはただただ流れる、純粋なピュアな水であり、そこに何の解釈もありません、と。
それは奥から光を反射し、それを見る人の純粋性へと共鳴していくものです、と。
涙が出てきた。
地球に今この川があるように、私の中にもこの川と同じ流れる純粋性があるのだと知った。
それから、毎日朝起きたら必ず川へ行って、その日のチューニングをするようになった。
顔も川の水で洗い、一日の始まりを川で清めた。
そしてその日の意図を決めるようになった。
なかなか意図通りになれない瞬間もあったけれど、こうやって徐々に川と仲良くなれる自分が嬉しかった。

目に映るすべての景色が新鮮で美しく、焦点を絞るのが難しい。
美しい世界に来てしまったことを自覚しつつも、瞳は次から次へと地球の姿を発見することに忙しかった。

つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?