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The Carpenters - I Need To Be In Love / 青春の輝き - 1976

カーペンターズも、忘れてはいけない兄弟デュオですね。
カレンの伸びの良い、透き通った美しいアルトの声。それを支える、兄リチャードの繊細なピアノ。

昭和40年代から50年代にかけて、カーペンターズの曲は、日本人の誰もが親しみ、知っている洋楽と言った印象があります。事実そうか。

すべての世代の人が、安心して聞けた、優等生の音楽と言ってもイイかも。

CMにも、たくさん使われてたことも大きいのでしょうけど、洋楽はよく知らないし聞かないけども、カーペンターズなら知ってるよ…という人も多かったんです。実際、カラオケで歌われる洋楽と言えば…

一位「トップ・オブ・ザ・ワールド」
二位「マイ・ウェイ」
三位「レット・イット・ビー」なんて具合に

今の時代は変わりましたけどね。

「Top Of The World」1972

あなたに愛されて、私は世界の頂点に立ってるようだわん、という、恋愛特有の頭がお花畑状態、舞い上がってまーす!! を歌った歌ですねww

「Close to You / 遥かなる影」1970

カレンの英語はとっても聞き取りやすくて、彼らの歌はよく英語の教材としても使われてました。美しい英語の手本みたいな? アメリカ人ですけど、クイーンズイングリッシュ?

「Yesterday Once More」1973

カーペンターズを語る上で、上記の三曲は欠かせないなあ。(当時の)日本人なら誰もが知ってる三曲…ってくらいの代表曲。

そして月曜日になると、とくに雨の月曜日には絶対に聞きたくなる、思い出してしまうこの曲。

「Rainy Days And Mondays / 雨の日と月曜日は」1970

この曲を聞きながら「仕事行きたくないっっ」と、月曜日の憂鬱と戦った人は少なくないでしょう。

「Superstar」1969

レオン・ラッセルの曲です。レコードのギタリストは、なんとエリック・クラプトンです。

でもって、これ、ストーカー…いやさロックスターのグルーピーの、相手に対しての思いを綴った歌なんですよねー むむむ。

「Only Yesterday / オンリー・イエスタディ」1975

これは、イエスタディ・ワンス・モアの二番煎じで作られた曲っっ

「Sing A Song / シング」1973

これは日本武道館でのコンサート。そして、この曲はセサミ・ストリートの挿入歌でしたねー。

彼らはカバーも結構歌っていたりする。私がカーペンターズを知った時、リアルでヒット(チャートイン)していたのは、

「Breaking Up Is Hard To Do / 悲しき慕情」1976

この曲でしたね。ハーマン・アンド・ハーミッツの曲。とはいうものの、オリジナルはニール・セダカで彼の曲だったり。

Neil Sedaka オリジナル 1960

「We've Only Just Begun / 愛のプレリュード」1970

ポール&ロジャースのカバー。

Paul Williams & Roger Nichols オリジナル 1970

「Please Mr Postman」1975

マーベレッツのカバー。

The Marvelettes オリジナル 1961

「Ticket To Ride」1969

ビートルズのカバー。

The Beatles オリジナル 1965

「This Masquerade / マスカレード」1973

これはレオン・ラッセルのカバー。オリジナルもいいんですけど、カレンが歌うと聞きやすくなります。言葉をひとつひとつ丁寧に歌っているからかな。

Leon Russell オリジナル 1972

ラッセルは、陰鬱な曲を作ることが多いですよねw

「There's A Kind Of Hush / 見つめ合う恋」1976

Herman's Hermits オリジナル 1967

たぶん、彼らがオリジナルかと思いましたけど、あってる?

そして…

「I Need To Be In Love / 青春の輝き」1976

この曲、カレンの一番のお気に入りだそうです。歌詞がとてもいいんですよね。ちなみにタイトルを直訳すると、「私は愛の中にいる必要がある」になってまうのですがっっ 青春の輝き…っていう邦題にした意味がわかりませんっっ

当時はビートルズと同様、カーペンターズって、そこいらで流れていたから、またカーペンターズかい!って…いささか聞き飽きた感もあって、随分と聞かない年月がありましたけども。改めて聞いても、やはりいい曲がいっぱいあって、良さを再認識させられます。

山岸涼子さんの作品で、「グリーン・フーズ」という短編があるのですが、これがどう読んでも、カーペンターズがモデルだろうって話だったりするんですね。

モデルと言うか、兄弟デュオと拒食症という設定を少しもじっているだけで、実際のカレンとリチャードの関係とはまったく類似性はないのですけどね。カレンの生い立ちと過食症を発症した背景から着想を経て、この兄弟をモチーフにしたって、それだけの話だと思いますけど。

厳格で兄を贔屓して妹のカレンに目を向けなかった母親。その母親からの得られない愛に飢えていたことから拒食症に走ったカレン(母はカーペンターズの名声・成功は兄リチャードのピアニストとしての技量のお陰であり、妹のカレンは単なる添え物と思い込み まったく認めていなかった)。

こうした家族との確執・背景をモデルにしたのは間違いないでしょう。たった一人の母親という存在、お母さんに褒めて欲しくて、認めてもらいたくて、自分のことをもっともっと見て欲しくて、シンガーとして一生懸命歌い続けたカレン。 

お母さんにの愛を得たいと望み、認められたいがためだけに走り続けたのに、けれど得られないと気づいて、壊れてしまった。

「Jambalaya (On The Bayou)」1974

拒食症(過食症)っていうのは、愛情の過不足の問題が身体に現れたもの。等身大の自分を受け入れられず、認められないという心の病気。食べるということは生きることそのもの、自己肯定そのものの力。

母に愛されない自分を、一番愛して欲しい人からの愛を得られない、ありのままの自分を受け入れず、生きることの基本的な目的を見失って、自己の存在そのものを否定する力が食を否定させるのですよね。

カレンのあの繊細で、物悲しくも儚いけれども、伸びの良いあの声が、そのような思いから振り絞って奏でられたものであると思うと、なおいっそう彼女の生き方が悲しくもあり、歌声が愛おしくもあります。


他blogに書いてあるものを、訂正・加筆・リンク修正の上、こちらに再度マガジンとしてまとめてUPしています。

「My Favorites〜音楽のある風景」
 2020/11/23 掲載記事より転載


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