キラキラ系ともマジメ系とも仲良くできる理由
中高生時代のことを思い出すのは、あまり得意ではない。
1学年にたった2クラスしかない、エスカレーター式の小さな女子校に通っていた私にとって、その狭すぎる世界はなかなかに厳しい環境だったから。
女子校あるあるなのかもしれませんが、高校生にもなるとヒエラルキーが明確で。上の方にいるのは外部の男子校生とも交流がある、キラキラ系のグループ。
今ではそんな価値観おかしいなあ!と思いつつ、当時は下にいけばいくほどマジメ系……という認識が持たれてたのかなあと。私はマジメ系のオタクだったので(オタクも二次元と三次元に分類されるけど私は三次元のほう)自己評価では中の下、ってところでした。
高校卒業間近になると、周りと比べても大学受験に対してガチ勢だったので、ますますマジメに拍車がかかり。卒業のタイミングでまさかの仲良くしてたグループからハブられるという、なんとも後味の悪い高校生活となりました。
大学に入ると世界は一気に広がって。まず初めての共学だったし、あまりの人数の多さにヒエラルキーの認識をすること自体が一気に難しくなりました。
中高時代と違って、学部、クラス、サークル……といろんなコミュニティがありキラキラ系もいればマジメ系もいて。あまりに多様だったので、自分がその中でどうだったのかはよくわかりません。
自分の立ち位置を自覚したのは、大学3年でゼミに入ったとき。
入る前に見学で先輩方を見たときにはキラキラ要素が強そうで、少しためらったのですが。
理屈抜きに惹かれるあたたかい雰囲気があり、面接にチャレンジすることにしました。
なんとかメンバーに選ばれ、いざ同期に初対面すると……見た目からして想像以上にいろんなタイプが!
文学部ということでほぼ女子でしたが、男子も数名いて。彼らもスポーツマン系からインドア系までいろいろだったし、女子なんて人数がいる分もっと幅がありました。
モデルみたいにきれいな子、愛され力が高そうなかわいい子、頭の回転が早いしっかりものの子、少しアンニュイな雰囲気がかっこいい子。
自分の個性がわからなくなるほど、みんなそれぞれに魅力があってすごいなあと。
ある日、ゼミで特に仲良しだったある子と話してて。そこで見解が一致したんです。「私たちってちょうど中間だよね」と。
安易にキラキラ系とマジメ系に分けるのも失礼な話ですが……もし左をキラキラ系、右をマジメ系とする図があったら、そのグラデーションのちょうど真ん中にいるな!と私たち2人は自覚してました。
どちらに所属するでもなく分け隔てなく仲良くできているという、ある種の自信もあったかもしれません。
なぜどちらとも仲良くできるのか?について明確な理由は見つけられず、でもそのポジションに居心地の良さを感じていたのは間違いなかったかな、と。
激動の就活を経て社会人になってからも、この中間ポジションはなんとなく維持できているような気がしました。
ある仲良しの後輩Aちゃんと話していたときに、「実はAちゃんの同期のBちゃんとも、この間ごはんに行ったんだよね」という話をしたところ……Aちゃんがこう言うんです。
「あ、あのキラキラグループの!私はあまりかかわりないけど知ってます!」
そうか、私から見たら2人とも仲良しの後輩だけど、2人の間にはお互いに意識してる違いがあるのかもしれない……!そのとき初めて、どちらとも仲良くさせてもらっているのはありがたいことなのだと、気がつきました。
なぜどちらとも仲良くできるのか?に対する回答がまだ見つけられない中、ある日突然夫にこう言われて。
「maiさんの武器はアイドル好きなところだと思うよ」
突然のことに、頭の中で「?」が浮かびましたが……彼曰く、私は「アイドル」をきっかけにいろんなタイプの人たちとすぐ仲良くなっている、とのこと。
確かに、今までも「アイドル好き」ということを伝えた途端に、初対面なのにグッと距離が縮まる!という経験は何度もあって。
今でも仲良くしてるオタク仲間たちを思い浮かべてみると、一見キラキラ系の人もマジメ系の人もどちらもいるなあ……でもそんなことを意識したことはないなあ、と。
なぜならみんな「ただ気の合うオタク仲間」だから。
私がキラキラとマジメのどちらとも仲良くできる理由は、もしかしたらここにあるのかもしれません。
不思議なもので、アイドルが絡むと「私とは別世界の人っぽいから、声かけづらいなあ……」なんて躊躇が全くなくなるんです。同じアイドル好きだなんて、嬉しすぎる!早く私も好きだって言いたい!話したい!!!
そんな前のめりなキャラクター、どこに眠ってたんですか?と自分が驚くほどに全ての事情を飛び越えたグイグイな自分が出てくるという。
すごいですね、アイドルの力って。
まあ、アイドルと言ってもいろんなジャンルや事務所の方がいて。実際には同じ事務所かどうか、で距離の縮まり具合が変わるとは思いますが。
それでも、アイドルに限らず「共通の趣味」にはキラキラやマジメなどのタイプの垣根を越える、不思議な力があるなあと思います。
それに、例え同じアイドル好きじゃなかったとしても「アイドル好き」だと伝える前後では明確な違いがあって。
第一印象はマジメ寄りに見えるらしい私ですが、いざ趣味を伝えると「興味なさそうなのに、意外!」と驚かれることもしばしば。自分の意外な一面を知ってもらうという意味でも、趣味の開示は大きな力になってくれますね。
マジメなアイドルオタクとしてヒエラルキーが「中の下」だった自分だからこそ、いろんなタイプの人と「上とか下とか関係なく交流したい!」と思ってきましたが。
まさか、当時はどちらかというとマイナスだと思ってた「オタク」な要素が自分にとって武器になるなんて。何がどう転ぶかわかりません。
それに気づかせてくれた、一番身近にいる夫はさすがだな……自分のことを日々見てくれている誰かがいるというのはありがたいことなんだな……と。
趣味はオープンにせず、自分の世界で楽しむもの!と割り切られてる方もいらっしゃると思います。それはそれで良いなと思いますし、こちらから変に詮索したいとも思いません。
でも、ちょっとオープンにしてみたことがきっかけになって思わぬ人と仲良くなれる!というのもあると思うので。
キラキラかマジメかなんて気にせず。理屈抜きに気の合う人たちと「健やかで明るいオタク」として生きていけたらなあと思います。
中高時代の私へ。
今は中の下に見える世界が、
ちょっとしんどいかもしれないけど。
30代半ばのあなた、なかなか愉快に暮らしてるから。どうか安心して、今好きなことを大事にして生きていってね。
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