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結んで切れて絡まり繋がる | CRACK

真の友情はゆっくり成長する植物である。
友情と呼ぶにふさわしいところまで成長するには、
度重なる危機にも耐え抜かねばならない。
True friendship is a plant of slow growth,
and must undergo and withstand the shocks of adversity
before it is entitled to the appellation.
(ジョージ・ワシントン)

こんばんは。wisteriaです。

CIRCULATEからの続編です。
それでは、本編です。どうぞ。

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研究活動制限が緩和された6月中旬から、数ヶ月後の晩夏。

1件の連絡が私の元に入る。

私の直属の指導教員ではないが、
いつも良くして頂いているY教員からだった。

Y教員は、Eちゃんの直属の指導教員だった。


Y教員「どうやら、EさんがWさんのことで、
             学生課に訴えに行ったようなんだ。
             分野主任から、僕に連絡が来たんだ。」


私の中の時計が1年前に巻き戻る。
そして、ふと思う。1年越しかと。

なぜ、1年越しに、訴えに行ったのか?

我慢の限界だったのだろうか?
いや、人数制限で、以前の半分くらいしかWさんと遭遇していないはず。
何を主訴としているのか?

もしかしたら、最悪、就活が失敗している原因がWさんにあると訴えているかもしれないな。
(Eちゃんは、その時、まだ内定をもらっていなかった。)


ふぅと息を吐きだし、その疑問に対する答えをY教員から引き出す。

どうやら、Eちゃんの主訴は、

Eちゃん「Wさんがいることで、自分自身もこんなにしんどかった。
                研究室にWさんがいることが、今後、後輩のためにならないから、
                どうにかしてほしい。」

といった内容だったらしい。


そして、話を聞いていると、今回は、学生課が動いているようだった。

当該人(Eちゃん)だけでなく、教員、Eちゃんが信頼する周囲の人(AちゃんとQ先輩)へ面談が予定されているようだった。

だから、私は、変に事に干渉せず、
ただ、Aちゃんのケアを最優先にしようと考えた。


既に知っていることかもしれなかったが、私は、Aちゃんに連絡を入れた。

すると、

Aちゃん「Eちゃんから聞いたよ。面談も行こうと思う。
                 ただ、1年越しってのが気になる。」

と私と同じ疑問を持っていた。

なので、その疑問に対して、聞いたことを伝えると、
Aちゃんは、

Aちゃん「そうなんか....まあ、とりあえず、面談行ってくるわ。」

とまだ腑に落ちない感じではあったが、
Eちゃんのために、研究室のために、面談に行く、Aちゃんの意志を感じた。

また、Aちゃんから、

Aちゃん「このこと、Cくんに伝えとく?」

と聞かれた。

私は、内心、非常に迷っていたのだが、
(また、今度書くが)Cくんに、
これ以上、変な気を遣わせるのは得策でないし、
Cくんは秘密を守る人だから、誰かに漏らすことはないと思うのだが、
これ以上、波紋を広げるのも得策ではない、
と思ったので、

私「Cくんには、伝えないでおこうか。」

とAちゃんに伝えた。
そして、未だに、私からは、Cくんにこのことは伝えていない。

終わったことだから、伝えてもいいんだろうけど、
どちらかというと、
終わったことだから、もういいか、という気持ちの方が強い。

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連絡を貰った数週間後。

どうやら、各方面への面談を行い、終わったようだった。

実際のところは、分からないが、

あれから、WさんとEちゃんをできる限り接触させないようにすることが、
主方針となった。

極めて、シンプルで、短絡的な方針だなと思った。

しかも、その方針を知っている者は、私を含め、非常に限定されていた。

コロナ禍による人数制限がなければ、皆に一発で知れ渡っていただろう。

この方針で、Eちゃんが卒業するまでの半年間を乗りきろうとしている。


つくづく思った。やはり組織は組織を守るなんだなと。

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それから、Eちゃんにまつわる、良いことも悪いことも、
私の耳に入らなくなった。

Aちゃんも、以前の様に、喘息の症状も出ていなさそうだったので、
一応、一安心していた。

耳にしなくなったことが、良いことなのか、よくないことなのか、
私には未だにわからないが、
何事もなかったかのようにされていたことは確かだった。

私が卒業する時に、これらの真実を聞こうかなと思っている。

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その後、私に、
ちょっぴり、寂しくも厳しい踏ん切りをさせる出来事があった。

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不器用な結び目がついた、
複雑に絡まり、擦り切れ、
導かれるように、結びつきを強固にし、
まっすぐ円く繋がった3本の糸の、
以前擦り切れたところから、亀裂が見えていた。

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