再会---再開
本当に謝りたかったのは、わたしの方だったのに、
昨日は、彼女の謝罪から始まった。
真面目で、しっかり者の彼女が、
遅刻したり、予定を忘れたりというのは、
これまで経験したことも、聞いたこともなかった。
わたしも突然のことで驚いた。
でも、お互い、もう社会人。
それに彼女には家庭がある。
何かあったのかな、と想像しながらも、
新たにコーヒーを淹れ、飲みなおす。
予定時刻から、30分が経過した。
ああ、今日は難しそうだな、
そう思って、気を取り直して、
気が紛れそうなトピックを探し始めた時、
スマホが震えた。
「ごめん!」
それから、しばらく、スマホの震動が止まらなかったが、
わたしが「大丈夫!」となんとか宥めた。
画面の向こう側でも、ずっと謝ってくれて、
逆に申し訳ないことをしたとまで思った。
こうして、正対して話すのは、いつぶりだろうか。
彼女は、大学の同期で、友人だった。
だけど、あることをきっかけに、
わたしたちを取り巻く環境が変わった。
彼女が、当時の上司との関係がこじれて、
精神的に参ってしまったのだ。
その上司から、直接話を聞けていないし、
どちらが悪いとか、今となっては野暮なこと。
そんな彼女に対して、
わたしは、もっと優しく接しないといけなかったのに、
わたしの至らなさで、関係性を壊してしまった。
だから、ここ2-3年、まともな話ができていなかった。
もう友人だと思ってくれていないとさえ思ったこともあった。
わたしは、このことを謝ろうと思っていた。
ごめんねって、言いたかった。
だけど、言うタイミングを逃してしまった。
言い訳ではないが、正直、言うことに逡巡した。
素直になれなかったわけではなく、
彼女の心の傷が癒えていなかったから。
時々、フラッシュバックするそうだ。
その言葉を聞いて、
当時の話をするのは得策でないと思ってしまった。
「また今度、埋め合わせをするから!」
彼女は、遅刻の埋め合わせをすると言ってくれた。
彼女の優しさ、度量の大きさに感謝。
このような友人を持てたことは、本当に幸せなことだ。
そうだなぁ。
わたしは、
これから彼女に優しくすることで、
埋め合わせをしよう。
過去から脱却して、現在と未来に生きよう。
その時が楽しみだ。
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