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1903年のフェイクニュース

生徒と一緒に英検2級の過去問題を解いていたのですが、2023年第一回2(B)の空所補充長文問題で興味深い事例が出題されていましたので紹介したいと思います!

'The Tale of Mejk Swenekafew'という不思議なタイトルで、テーマはフェイク・ニュース。紹介される事案の舞台は、1903年、アメリカはウエストバージニア州クラークスバーグ。

当時Daily TelegramとDaily Newsという地元新聞社がライバル関係にあったのだが、Telegramの社員はNewsが自分たちの記事を盗用しているのではないかと疑っている。そこであえて実在しないフェイク・ニュースを流すことでそれに食いついてくるかチェックしてみようと。

その記事の内容は、Mejk Swenekafewという男が犬をめぐる口論から撃たれたというもの。もちろんこれは実在しない事件で、その証として'We fake news'を逆さに綴ったSwenekafewという謎のスラブ系(?)じみた名前をつけておいたというのだ!この三面記事を思わせる絶妙にありそうな事件の設定が粋ですねえ。

で、これが当時の紙面。古い新聞って当時の広告とか眺めるだけでも楽しい。。

CAUGHT IN THE ACT, THE DAILY NEWS
PUBLICLY ACKNOWLEGES IT STEELS
NEWS FROM DAILY TELEGRAM
(現行犯で摘発、Daily Newsは
Daily Telegramからニュースを盗用していることを公に認める)

見事Daily Newsは擬似餌に食いついて、記事盗用を公に認めることになってしまったとのこと。

仕込みを入れたフェイク記事というと、1990年代に話題を呼んだ「ソーカル事件」(ポストモダン哲学風に書いたフェイク科学を散りばめた論文が現代思想誌の査読を通ってしまった「知の欺瞞」とも称された事件)を想起したりもする。

英検の問題は、こういった実際にあった出来事を元にした文章もあって読んでいて楽しいし、勉強になるものが多いですね!

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