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【参考書レビュー】『大学入試 英語長文×英作文 SPARK』姜昌和・蔭山克秀

普段は出たばかりの英語参考書についてレビューすることはまずないのですが(ある程度生徒と使いこんでみないと評価は難しいので)、この本は私が普段教えているような受験生層にぴったりの良い本だと思ったのでいち早く紹介します!

まずコンセプトとして特筆すべきは代々木ゼミナールの英語講師(姜昌和)×公民講師(蔭山克秀)、そして英語長文×英作文のダブル・コラボ企画ということ。これは英語長文の社会背景知識をより深く正確に理解して、それを基にアウトプットする力を養うことにつながると。ただあくまでも英語メインの教材であって、社会科の体系的知識がこれで身につくというものではないけれど。

◎強くおすすめのターゲット層
国公立大学二次試験で長文読解と自由英作文が両方必要な受験生。特に私が普段教えている岡山大学医学部志望生には激しくおすすめ!

英検二級・準一級受験生。英文のレベル感がこの2クラスにぴったりで、扱われているグローバル化、少子高齢化、最新テクノロジーなど英検でも頻出のものばかり。英検ライティングにも間違いなく役に立つ!

◎良い点
・私が本書で一番素晴らしいと思ったのは一段落ごとに「パラグラフの要点」がついているところ。周知の通り英検の新ライティング問題で「要約」が加わったけれども、この段落ごとに要点・論理関係を意識しながら読む訓練は、こちらの対策にも役立つだろう。他の長文や過去問を読むときにもこのような段落まとめを取り入れると要約だけでなく、読解・自由英作も含めた英語総合力の向上に資すると思う。

社会科専門の先生の解説により、簡潔で的確な時事問題への背景理解が得られること。これは普段高校生に接していてよく感じることだけど、びっくりするぐらい社会への関心がなかったり、また逆にあってもSNSなどの影響で尋常じゃなく捻じ曲がった社会理解をしているか妙な陰謀論にはまっていたりすることが少なくない。前者のタイプは昔からいるけど、後者のタイプはここ10年くらいで増えてきている印象。保守であれリベラルであれ最低限の知識を持った上でどのような見解を持つかは自由だけれども、意味も理解せず「ポリコレ」とか言って揶揄した気になるのは、大学で勉強したいのなら、違うぞと。でも生徒の話を聞くと高校教師でもそんなのがけっこういるらしいからなあ。。

・近年の参考書なら当たり前なのでしょうが全文構文解析+音声無料ダウンロード付き。さらに「全文」と「パラグラフごと」の音声があるので、区切って音読・シャドーイングしやすくなっている。


◉注意すべき点
・長文読解にしろ英作文にしろ解説は最低限の文法・構文理解を前提としていて、一から懇切丁寧に説明してくれているわけではない。形容詞と副詞は何が違うんですか?名詞節って何ですか?というレベルで手を出しても効果は薄い。

・長文問題集としては記号問題しかなく、問題の幅が狭い。記述問題演習は別途強化する必要がある。

・自由英作文の解答例は異なる立場で2例載っているとは言っても、自分の書いたものをチェックしてもらう環境はほしい。上手く使いこなせるならChatGPT添削もありだけれども。

・高校生向けとは言え重めのテーマに軽いタッチの文体は好みが分かれる箇所はあるかも?あとライティングの受験参考書で「耳障りのいい」(p17)は気になるところ。。

◎まとめ
総じて、志望校に長文読解と自由英作文のある受験生および英検2級・準1級対策には強くおすすめできる参考書です。以上のレビューに「ときめく」(Spark Joy!)ところがあればぜひお試しあれ!

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