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ソウルコヴェナントをクリアした感想

略称はソルコ。期待してた和製VRアクションゲーム!特にデザインと音楽とシナリオへの期待度は高かったけど、実際そこはとても満足できた。PSVR2持ってるけど装着が面倒なのでMeta Quest3版で遊んだ。

音楽は光田さん(プロキオンスタジオ)。最近だとゼノブレとかダンジョン飯で聞く。サントラもすでに配信されていて名曲しか無い。

ソウルサクリファイスというコンシューマゲームを作った人が関わっててキャラクターデザインはニーアの人らしくVRながらも和製コンシューマの色濃いところが実に良い。VRは洋ゲーが多く銃で兵士やゾンビと戦わされてばかりだから(軽い偏見)。特にキャラやUI含めたデザインと世界観はまさに和製コンシューマって感じがしてすごく良かった。


雑多な感想

ゲームとしてはマルチプレイアクション、要は狩りゲーでモンハン・・・というよりはデザイン的にゴッドイーターか?PSPかPS Vitaくらいの。マルチプレイは未プレイ。

個人的な趣向としては狩りゲーはあまり好みではない。「敵ボスがかなり固い」「ほぼのけぞったりしないので攻撃してる実感があまりない」「移動が遅い」「使い回しの多いボスとステージ」「それをひたすら繰り返す」・・・といったあたりが。正直マルチプレイ前提かつコストを抑えて作る目的が強いゲームジャンルだよなと思ってる。VRゲームは見込める売上の割に開発費かかってそうなのでVR向いてるといえば向いてるのかも。

アクションは右手(利き手)を握ると武器を出現させて振ることができ、左手を握ることでシールドを張ることができ、武器を両手で持つと変形して性能が変化する。ここはとても面白い!さらに左の腕には必殺技のデモニックバーストのトリガーがありゲージが貯まった状態で掴むと左手からビームを撃てる!このあたりのアクションはVRに最適化されてるなーとチュートリアルの時点ですごく好感触だった。

武器はスケープゴートと呼ばれ、強化人間である味方の死体パーツから作られたもので全部で4種類。つまり味方が死ぬたびに手に入る。最初は女師匠の片手剣+大鎌、2つ目は戦友男の斧+二刀流、3つ目は男師匠の片手剣+チェンソー、4つ目は戦友女のハルバード+戦斧。単純に後半になるほど性能も効果も強力。

後半の武器、特にチェンソーは当ててるだけでダメージに繋がるし戦斧は少しホーミング性能のある衝撃波を飛ばすのでかなり強い。戦友男の二刀流はクロスに斬ると衝撃波が飛ばせるカッコいいアクション付きなのだが、クロス斬りの判定がよくわからずに使い勝手が悪かった。本人がかなり短期間で死んだのもあってすごく印象が薄い。

基本はステージ選択式の狩りゲー

バトルの不満点まとめ

・ザコにトドメをさすと吹っ飛んでいって他の敵を巻き込めるフィニッシュブローのシステム。割と絵面が間抜けで世界観にあんまり合ってないと思った。「斬った」感がないので、どちらかというと血が吹き出て真っ二つになってほしかった。
・上記も合わせて過去のVRアクションと比較すると戦闘での物理的な感触は欠けていた。武器が床や武器同士で干渉することもない。そのためバトルはVRらしさを欠いた狩りゲー感が強め。
・デモニックバースト、起動方法や見た目はかなりかっこいい反面、めちゃくちゃ威力が低い。最初のチュートリアルでの発動のときですらザコを一層できなかった。
・しかもデモバ個別の強化項目があるので強化してないと後半ますます使いどころがなくなる。いっそ武器の性能依存でよかったような。何にせよ、もっと必殺技感が欲しかった。
・育成もHP、スタミナ、武器がすべて別になっててそれぞれで素材がけっこう必要になる上にUIの操作や切り替えが面倒。操作も強化項目ももうちょっとシンプルで良かった。最初の方の武器も強化しやすければ武器の選択の幅も広がったのだが。

個人的にはやっぱりVRはゲーム性よりも体験を重視してほしい。マルチやクリア後のやり込みはともかく。バトルにあまり余裕がないのもあって二刀流のクロス斬り!とかゼロ距離デモニックバースト!とかカッコつけて戦うヒマはなかった。左手を前に出してバリア貼りつつ敵のドロップを回収しつつ右手をブンブン左右に振ってなるべく広い範囲のザコを殴り回すという交通整理の人みたいなあまり格好のつかない戦い方をせざる得なかった。

敵が多いので効率重視の戦闘になりがち(時間制限もある)

シナリオの感想(全体的な)

ぶっちゃけラストにすべてがあると言っても過言ではないくらいラストバトル前後の演出はよかった。実際のところ、このゲームはラストバトル寸前の時間から始まっており、プレイの大半はそこに至るまでの記録、走馬灯のようなものの追体験になる。

そのためもあってか各バトルステージ前後で挟まるストーリーは日誌形式の簡素なもの。だいたいは表示されたイメージが主人公のモノローグに合わせて切り替わっていく、正直ほぼ紙芝居でVRらしさは薄い。インタビューによるとプラネタリウムのイメージらしい。それならイメージが切り替えでなくて空中にたくさん浮かんでいったらもうちょっと見栄えしたかも。

たまに3Dモデルを用いた演出もあるが、これがもっと多かったりもう少し動きがあったらな。少し前に遊んだアスガルズラース2というVRゲームでも過去の回想では色付きの巨大なシルエットが少し動きながら奥から手前に流れてくる演出になってたけど、あれはなかなか理想的なVRストーリー演出だったと思う。狼と香辛料VRのようなフルのモーションアクターな演劇ですべてのストーリーが見れればそりゃそれに越したことはないのだがさすがにある程度ボリュームのあるシナリオでは無理だろうし。

敵の凝ったデザインの3Dモデルも比較的じっくり見れるこの演出

話題の頭蓋骨を割られたりする主人公の死亡演出については個人的にはあまり感情移入できないというかしたくないというか・・・まぁこんだけ何度も死んだり生き返ったりしてたら感情が死ぬかダンジョン飯みたく死ぬことに楽観的にもなろうよ。なので仲間を庇って串刺しになる場面では血まみれでこちらを見る仲間に向かってサムズアップしてた。なんなら死の体験はラストラビリンスで文字通り死ぬほど味わったのもあって死ぬ体験自体にはあまり魅力は感じなかった。正直VRにそういうのが多いってだけでグロ自体も特に好きではない・・・さっき話題にだしたアスガルズラースも起動するたびにグロい演出(ミイラが目の前に現れて口から大量に虫を吐く)が入るせいで起動が億劫になった面もある。マジで何故あんな起動演出にしたよ。

主人公のノアが何度も死ぬ一方で仲間もノアに未来を託して死んでいく。女師匠のユリアはストーリーの開始前に死んでおり、戦友男のエイトは短期間で距離を詰めてきてすぐに死ぬし、男師匠のタイガや戦友女のサラは第一印象が悪かったが敵に想い人をみて躊躇して死ぬ。ゲームボリュームや簡素な狩りゲーのバトルシステムの関係もあってあまり感情移入できない間にどんどん死んで武器になっていった。

顔が出るせいでちょっと面白い絵面のスケープゴート入手場面

ステージ選択や強化を行うVR空間には人工知能のイブだけがおり、ここで仲間と出会ったり武器を試しに振ってみたりすることはできない。イブの近くで彼女を見てると雑談がいくつか発生する。このゲームで唯一ゆっくりできるこの空間というのもあって、やっぱりいちばん印象に残るのはイブなんだよな。

クライマックスにすべてが詰まっていた

そのイブ、序盤は事務的機械的だが後半になるほど感情が漏れ出てくるようになる。そして後半で明かされる真実の数々・・・ぶっちゃけ主人公や仲間の死の数々よりもずっと感情を動かされたのがイブ、そしてラスボスのアダムたち人工知能の感情の、命の芽生えの方だった。(これは自分の性格とか癖のせいでもあるかもしれないが・・・SF、人外好き)

すべての戦闘記憶を体験し、走馬灯が終わりを向かえて遂に迎える現実でのラストバトルへの展開は本当によかった。ここに来て日誌形式ではないしっかりとした演出や演技も入ってくるし。そしてサラ。結果的に仲間の中でもっとも長く共闘することになる人間。ラスボスを倒して最後に迫られる選択肢は実質的にはイブかサラのどちらを選ぶかともとれる。つまりギャルg

絶対にマトリックスのアレの影響はある最後の選択場面

まぁイブかサラかでいったらイブと言いたいところだが最後まで共闘してくれたサラに主人公ノアの肉体を返す約束があったのでそちらを選んだ。もう1回ラスボスを倒してイブルートも観たいところなんだが・・・このラストバトル2回敗けていて、しかも演出はスキップできない・・・!(一部セリフは飛ばせるが)先に話した強化システムのせいで最初の方のボス素材がここに来て必要になり、過去のバトルをやり直す羽目になるメンドくせぇー!となった。

だが終わってみればというか終わり良ければ全て良しというか。このラストのおかげでとてもいい気分でゲームをクリアできた。日誌形式のストーリーはフルボイスな上に文量がけっこうあったせいもあり時間がかかる割に情報量や満足感が薄かったがラストバトルは挑むまでもラスボス登場も最後の展開もすべてが良かった・・・。

過去に遊んだVRゲームといくつかと比べる

アスガルズラース2は実はプレイ途中だが先に書いた起動時のグロさとか敵のグロさとかもあって続きはそのうちでいいかとなってる。あとボリュームも100時間とかあるそうだし。

オノゴロ物語はバランスがほんと良かった。オリジナリティの高い世界観はソルコでも好きな部分だが、パズルアクションと観光案内的なゲーム内容も良かったな。ストーリーは短いながらもキャラクターがしっかり動きや表情で演技をしてくれてるし。

くれゴブは個人開発故の粗さ(荒ぶる物理演算とかUIとか)は多かったが、武器で敵を斬る感触はかなりこだわってたし、そのおかげで戦っている感がしっかりとあった。ソルコを開発したThirdverseさんは過去にソードオブガルガンチュアという剣戟ゲームを作っててこれは武器と床がしっかり物理演算で干渉してたがソルコではオミットされていた。ザコがたくさん出てくる死闘感の演出のためかな?しかもザコのデザインもけっこう複雑だし。

こうして比べて振り返ると特に中盤あたりで狩りゲーと日誌で水増しされてる感はあったかな。バトルはもっと物理感触を感じられるか、あるいはもっとヒロイックに戦うことができて、ラスト以外のストーリー演出がもうちょっと凝ってたらもっと良かった。

とはいえやっぱりVRでしか味わうことができない、世界観の体感とか迫力ってのはあるし、ジワジワと模索されつつも進歩しているのも感じる。やはり和製のVRが最高!もっとくれ。

ひとまずソルコ以降で世界観を味わえるそうなVRは今のとこ発売予定にない。ブレイゼンブレイズというVRスマブラが近々出るみたいで少し気にはなるけど対戦がメインのようだし。今は普通にコンシューマのゲームが積み気味なのでソルコのやり込みや他のVRゲームはすぐには手を出せないけど、またこれくらいの、これ以上のクオリティの世界観を味わえるVRが出ることを期待したい。

既存作で未プレイのだとルインズメイガスがまだなのでしばらく出なかったらそっちも遊ぼう。

あとやっぱりイブが最高。美しすぎる

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