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地球上で人類だけは


昔どこかで聞いた話。

あるアナウンサーは
普通の人が大汗を流すような暑さの中でも
見苦しい姿を見せないように
顏から出る汗をピタッと止めて
涼しい顔して居られるそうだ。

でも、その代わりテーブルに隠れて
カメラに映らない場所では

「顏から出るはずだった汗かしら?」

というくらい
余計に汗が流れていたそう。


体から出る汗と同じで
抑え込んで我慢した何かは
決して無くなることはなく
別のところから出て来るようだ。


職場で我慢した怒りが
家で家族に向けられたり

睡眠欲を我慢する代わりに
食欲が抑えられなくなったり

人に満たされなかった孤独を
物を買うことで補おうとしたり

あっちで引っ込めた何かが
別の問題となって表れてくる。

その問題さえ許すまいと
更に抑え込み続けると
行き場を失ったストレスは
自分の内側に向かって
心や体を壊すみたいだ。


どちらにしても
我慢して抑え込んだものは
そのままスッと消えてはくれない。

それでも人間は
植物や動物に対してはあんなに

「ストレスは大敵だ」
「適した環境に置いてあげることが
いちばん健やかに美しく育つ秘訣だ」

と考えて
ストレスがかからないように
世話を焼いてあげるのに
自分たちのことだけは未だに

「ストレスで心身を壊すなんて言うのは
弱者のたわごと」
「努力して環境に適応すべき」

って地球上で人類だけは
生まれ持った仕組みの限界を超えて
生きられると思っている。


そうして

「人生は辛くて厳しいものなんだよ」
「でも、その苦痛に耐えて
努力し続ければいいこともあるから」

と辛い環境に身を置いて
「適応」するように勧める。


心や体を壊すという形で
「適応」できなかった人たちは
まだ分かりやすい。

心や体を壊したからには
その環境から離れるべきだと
自分でも分かるから。


問題なのは顏から引かせた汗を
別のところから流しているグループ。

世間で出せない怒りを家庭で出す。
家庭で出せない怒りを世間で出す。

他人に当たれない人は自分を傷つけ
自分を傷つけられない人は他人に当たる。

感謝されたり評価されたり
精神的に満たされないと
お金を得たり物を買ったり
物質的に埋めることで
「欠乏」を癒やしたくなる。


でも本人は
自分を破壊的な行動に走らせる原因について
分かっていない場合が多い。

自分は「自制できる人間」だと思っているので
ストレスなんて要因に
その場を離れてからも感情や行動を
左右されているとはあまり思わず

「自分はそういう性格なんだ」

と自分を責めて更に律しようとするか

「自分をそうさせる相手(環境)が悪い」

と誤認して
本当は問題の無い相手や
環境への攻撃を続けさせてしまう。


人間は自分たちを
動物や植物と同じって
思うのは嫌かもしれないけど

自分にいちばん適した環境で
安楽に過ごしている状態が
きっとその人の本来の姿で

自分すら知らず
心身を狂わせた状態ではなく

自分すら知らない
いちばん健やかで美しい姿が
他にあるんだと知っておいて欲しいんだ。

バランスを崩した状態を
真実だと誤解して
自分や他人に絶望する前に。


🌸最後までご覧くださり、ありがとうございました🌸